洋書に出てくる英語表現0186:go in one ear and out the other【おすすめ英語フレーズ編166】

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「洋書に出てくる英語表現」の第186回は、英語学習や英会話に役立つ【おすすめ英語フレーズ編】の第166回として「go in one ear and out the other」を取りあげます。

目次
  1. Go in one ear and out the otherの意味と由来
  2. Go in one ear and out the otherの英語による定義
  3. 洋書におけるgo in one ear and out the otherの出現頻度
  4. Go in one ear and out the otherの年代分布
  5. Go in one ear and out the otherの出現パターン
  6. 洋書内の実例
    1. 実例1(パターン1):David Beckham: My Side (2003)(邦題『D・ベッカム自叙伝 ベッカム:マイサイド』、デイヴィット・ベッカム & トム・ワット = 著)より
    2. 実例2(パターン1):Ric Flair: To Be the Man (2004)(邦題『リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン』、リック・フレアー、キース・エリオット・グリーンバーグ = 著)より
    3. 実例3(パターン1):Underground (2000)(日本語原著『アンダーグラウンド』、『約束された場所で:Underground 2』、村上春樹 = 著)より
    4. 実例4(パターン1):Emotional Blackmail (1997)(邦題『となりの脅迫者 : 家族・恋人・友人・上司の言いなりをやめる方法』、スーザン・フォワード = 著)より
    5. 実例5(パターン1):The Courage to Be Happy (2019)(日本語原著『幸せになる勇気』、 岸見一郎、古賀史健 = 著)より
    6. 実例6(パターン1):Newcomer (2018)(日本語原著『新参者』、東野圭吾 = 著)より
    7. 実例7(パターン2):The Wavering of Haruhi Suzumiya (2011)(日本語原著『涼宮ハルヒの動揺』、谷川流 = 著)より
    8. 実例8(パターン2):The Phantom Tollbooth (1961)(邦題『マイロのふしぎな冒険』、ノートン・ジャスター = 作)より
  7. Go in one ear and out the otherのまとめ

Go in one ear and out the otherの意味と由来

直訳すると、「一方の耳から入ってもう一方の耳から出る」となります。

この表現は非常に古く、西暦95年頃に発表されたと言われるローマ帝国の修辞学者クインティリアヌス(Quintilianus)の著書『弁論家の教育(Institutionis Oratoriae)』にも同様の表現が見られることから、少なくともその発想自体は西暦1世紀にまで遡ると言われています。

話した内容が聞き手の心には残らずに右の耳から入って左の耳から抜けるようにすぐに忘れ去られてしまう様子から、「go in one ear and out the other」は「聞いたばかりの内容をすぐに忘れてしまう」を意味するフレーズとして使用されます。

このほか日本語では、「記憶に残らない」や「右の耳から左の耳へと抜ける」、「聞く耳を持たない」などと訳されます。

Go in one ear and out the otherの英語による定義

be heard but soon forgotten

洋書におけるgo in one ear and out the otherの出現頻度

B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]

(AAA[超高頻度]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

Go in one ear and out the otherの年代分布

1961年 – 2019年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1961年発行の『The Phantom Tollbooth(邦題:マイロのふしぎな冒険)』(ノートン・ジャスター = 作)で、最も新しい洋書は2019年発行の『Weathering With You(日本語原著:小説 天気の子)』(新海誠 = 著)でした。

Go in one ear and out the otherの出現パターン

go in one ear and out the otherの出現パターンは主に以下の2つに分類することができます。

パターン1:(物事)go in one ear and out the other(基本型・最頻出パターン)
パターン2:その他

パターン1は「記憶に残らない物事」を主語にして「(物事)go in one ear and out the other」の形で使用する基本型で、例文を挙げると次のようになります。

例文186-1)
I tried hard to persuade him, but my words seemed to go in one ear and out the other.
彼を説得しようと懸命に努力しましたが、私の言葉は右の耳から左の耳へと抜けたようでした。

パターン2の「その他」には、人を主語にして「(人)let something go in one ear and out the other」の形で「受け流す」や「聞き流す」、「聞く耳を持たない」を意味するものなどが含まれます。例文186-1)をこのパターンで書き換えると次のようになります。

例文186-2)
I tried hard to persuade him, but he just let my words go in one ear and out the other.
彼を説得しようと懸命に努力しましたが、彼は私の言葉に対して聞く耳を持ちませんでした。

洋書内の実例

go in one ear and out the otherのイメージ画像1です。

それでは、実際に洋書内にみられるgo in one ear and out the otherの使用例を紹介していきます。

 

まずは、「記憶に残らない物事」を主語にして「(物事)go in one ear and out the other」の形で使用する基本型のパターン1から紹介します。

パターン1:(物事)go in one ear and out the other(基本型・最頻出パターン)

実例1(パターン1):David Beckham: My Side (2003)(邦題『D・ベッカム自叙伝 ベッカム:マイサイド』、デイヴィット・ベッカム & トム・ワット = 著)より

Things people said to me would go in one ear and out the other.
誰かに何か言われても、片方の耳からもう一方の耳へと素通りしていった。

引用元:
(英語原著)David Beckham: My Side (2003) by David Beckham & Tom Watt; 13 About Loyalty
(日本語版)『D・ベッカム自叙伝 ベッカム:マイサイド』(デイヴィット・ベッカム & トム・ワット = 著、東本貢司監修、高月園子ほか訳)、扶桑社(2003/10);13(忠誠心について)より

かねてよりアレックス・ファーガソン監督との確執が伝えられていたデイビッド・ベッカムは、2002-03シーズンの終了後にイングランドのマンチェスター・ユナイテッドからスペインの名門レアル・マドリードに移籍するのですが、この英文はその移籍前の二人の確執について記載したものです。

ファーガソン監督はさまざまな出来事からベッカムに対してよそよそしい態度をとるようになり、文句がある時以外はベッカムを無視するようになります。そして、ベッカムは深く落ち込んで自分の殻に閉じこもるようになり、家でも練習場でもすっかり元気がなくなってしまいます。

そうした流れで出てくるのがこの英文で、深く落ち込んだベッカムは周りから何か言われても上の空で、言葉が「片方の耳からもう一方の耳へと素通りしていった」ことが「go in one ear and out the other」を用いて表現されています。

実例2(パターン1):Ric Flair: To Be the Man (2004)(邦題『リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン』、リック・フレアー、キース・エリオット・グリーンバーグ = 著)より

I could see that my words were going in one ear and out the other. Bonnie had so much control over him. Obviously, Ricky was now in an awkward situation and had to tell his wife everything that I said. As a result, Bonnie and I became mortal enemies.
聞き流されているのがわかった。ボニーの影響力が大きいのだ。困り果てた末に、私の言葉をそのままボニーに伝えるしかなかった。その結果、ボニーと私は激しく対立するようになってしまった。

引用元:
(英語原著)Ric Flair: To Be the Man (2004) by Ric Flair and Keith Elliot Greenberg; CHAPTER 13 TEST OF TIME
(日本語版)『リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン』(リック・フレアー、キース・エリオット・グリーンバーグ = 著、山木詩織、横山加奈子、サトウナオコ = 訳)、エンターブレイン(2004/12);第13章(色あせない不朽の名勝負)より

実例3(パターン1):Underground (2000)(日本語原著『アンダーグラウンド』、『約束された場所で:Underground 2』、村上春樹 = 著)より

But it was an important day, and I knew I had to just bear with it — though everything went in one ear and out the other.
でも大事な引き継ぎの日ですから、なんとか我慢しなくちゃと思って我慢していました。頑張らなくちゃと思って。でも何を聞いても、右から左なんです

引用元:
(英語版)Underground (2000) by Haruki Murakami, translated from the Japanese by ALFRED BIRNBAUM AND PHILIP GABRIEL; PART ONE UNDERGROUND
(日本語原著)『アンダーグラウンド』、村上春樹 = 著、講談社(1997/3)、『約束された場所で:Underground 2』、村上春樹 = 著、文藝春秋(1998/11);『アンダーグラウンド』より

この英文は、1995年の地下鉄サリン事件で被害に遭われた20代女性に対する村上春樹氏のインタビューから引用したものです。

この女性は事件当日、通勤時にサリンの入った袋が置かれた地下鉄に運悪く乗っていてサリン中毒の症状も現れはじめていたのですが、その日は大事な仕事の引き継ぎがあったため、何とか頑張ってぎりぎりの時刻に会社に到着します。

そして大事な仕事の引き継ぎをしていたところ、だんだんと目の焦点が合わなくなって字が読めなくなり、吐き気も催してきたという流れで出てくるのが上記引用文で、何を聞いても右から左だったという内容が「go in one ear and out the other」を用いて表現されています。

実例4(パターン1):Emotional Blackmail (1997)(邦題『となりの脅迫者 : 家族・恋人・友人・上司の言いなりをやめる方法』、スーザン・フォワード = 著)より

“I’ll try something like, ‘I’m not willing to make a decision right now,’ but I know that’s going to go in one ear and out the other.
「『いますぐに結論を出すつもりはない』というようなことを言ってみようと思います。でも、そんなの、彼の右の耳から入って左の耳から出ていってしまうに決まってます

引用元:
(英語原著)Emotional Blackmail (1997) by Susan Forward; 8 Before You Get Started
(日本語版)『となりの脅迫者 : 家族・恋人・友人・上司の言いなりをやめる方法』(スーザン・フォワード = 著、亀井よし子 = 訳)、パンローリング(2012/7);第8章(行動に入る前に — 心の準備)より

実例5(パターン1):The Courage to Be Happy (2019)(日本語原著『幸せになる勇気』、 岸見一郎、古賀史健 = 著)より

YOUTH: Believe in the other party?
青年 相手を信じること?

PHILOSOPHER: Yes. If I were to speak to you about Adler with a sense of distrust, it’d just go in one ear and out the other. Regardless of the validity of my discourse, you would have no intention of listening from the very start. That would be perfectly natural.
哲人 そう。もしもわたしがあなたに不信感を抱いたままアドラーを語っても、あなたは聞く耳を持ってくれないでしょう。その言説の妥当性に関係なく、はなから聞く耳を持たない。これは当然のことです。

引用元:
(英語版)The Courage to Be Happy (2019) by Ichiro Kishimi and Fumitake Koga; First published in Australia and New Zealand by Allen & Unwin in 2019; PART IV GIVE, AND IT SHALL BE GIVEN UNTO YOU
(日本語原著)『幸せになる勇気』(岸見一郎、古賀史健 = 著)、ダイヤモンド社(2016/2);第四部(与えよ、さらば与えられん)より

【単語ノート】
distrust [distrʌ’st] = 不信、疑惑
validity = 妥当性、正当性
discourse [dískɔɚs] = 講話、講演
from the very start = はじめから

実例6(パターン1):Newcomer (2018)(日本語原著『新参者』、東野圭吾 = 著)より

They introduced themselves to Naho, but their names went in one ear and out the other.
二人も自己紹介をしたが、彼等の名前は菜穂の記憶には残らなかった

引用元:
(英語版)Newcomer (2018) by Keigo Higashino, translated by Giles Murray; 1. THE GIRL AT THE RICE CRACKER SHOP
(日本語原著)『新参者』(東野圭吾 = 著)、講談社(2009/9);第一章(煎餅屋の娘)より

 

次は、「その他」のパターン2です。

パターン2:その他

実例7(パターン2):The Wavering of Haruhi Suzumiya (2011)(日本語原著『涼宮ハルヒの動揺』、谷川流 = 著)より

I shrugged, letting Haruhi’s overlong philosophy of romance go in one ear and out the other.
俺は肩をすくめてハルヒの一言多い恋愛論を受け流した

引用元:
(英語版)The Wavering of Haruhi Suzumiya (2011) by Nagaru Tanigawa, English translation by Paul Starr; LOVE AT FIRST SIGHT
(日本語原著)『涼宮ハルヒの動揺』(谷川流 = 著)、角川書店(2005/4);ヒトメボレLOVER

【単語ノート】
shrug = 肩をすくめる
overlong = 長すぎる
philosophy = 哲学、原則、一般理論

実例8(パターン2):The Phantom Tollbooth (1961)(邦題『マイロのふしぎな冒険』、ノートン・ジャスター = 作)より

In one ear and out the other,” scolded the duke, attempting to stuff one of his words through the earl’s head.
片方の耳から入って、もう一方の耳から出てしまう、とはきみのことだよ」
どなりながら、公爵が伯爵の耳にことばをつめこもうとしました。

引用元:
(英語原著)The Phantom Tollbooth (1961) by NORTON JUSTER; 7. The Royal Banquet
(日本語版)『マイロのふしぎな冒険』(ノートン・ジャスター = 作、斎藤健一 = 訳)、PHP研究所(1998/9/22);7(王様のばんさん会)より

【単語ノート】
scold = 叱る、怒る、説教する
duke = 公爵
earl [ə’ːr] = 伯爵
stuff = 詰め込む

Go in one ear and out the otherのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

go in one ear and out the other

go in one ear and out the otherのイメージ画像2です。

  • 由来:話した内容が聞き手の心には残らずに右の耳から入って左の耳から抜けるようにすぐに忘れ去られてしまう様子から。
  • 意味:記憶に残らない、右の耳から左の耳へと抜ける、聞く耳を持たない
  • 英語による定義:be heard but soon forgotten
  • 出現頻度:B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]
  • 出現パターン
    パターン1:(物事)go in one ear and out the other(基本型・最頻出パターン)
    パターン2:その他
  • 例文
    I tried hard to persuade him, but my words seemed to go in one ear and out the other.
    彼を説得しようと懸命に努力しましたが、私の言葉は右の耳から左の耳へと抜けたようでした。
    I tried hard to persuade him, but he just let my words go in one ear and out the other.
    彼を説得しようと懸命に努力しましたが、彼は私の言葉に対して聞く耳を持ちませんでした。

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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