洋書に出てくる英語表現0177:slip of the tongue【おすすめ英語フレーズ編157】

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「洋書に出てくる英語表現」の第177回は、英語学習や英会話に役立つ【おすすめ英語フレーズ編】の第157回として「slip of the tongue」を取りあげます。

Slip of the tongueの意味(と由来)

直訳すると、「舌のすべり」となります。

日本語にも「口がすべる」という大変よく似た表現がありますので、英語の「slip of the tongue」は日本語の「口がすべる」と同一の表現だと考えてしまいがちですが、英語の「slip of the tongue」 は日本語の「口がすべる」から想像される状況とは若干異なるシチュエーションでも使用されることに注意する必要があります。

日本語の「口がすべる」は「言ってはいけないことをうっかり言ってしまう」、つまり「失言する」という意味で主に使用されます。

それに対して、英語の「slip of the tongue」は日本語と同じように「失言」の意味でも使用されるのですが、単なる「言い間違い」の意味でもよく使用されます。

例えば、ある人が誰かと日曜日の「朝9時」に待ち合わせの約束をしたつもりだったのに、間違えて「夜9時」と言ってしまったために会うことができなかったとします。

そのような場合、日本語では「つい口がすべって夜の9時だと言ってしまった」とはまずいいませんが、英語の「slip of the tongue」 はそのような場合にも使用されます(むしろそのような場合に使うことの方が多いかもしれません)。

slipは、日本語で「スリップ」というように「すべる」が中心的な意味ですが、「error」や「mistake」、すなわち「誤り」や「間違い」の意味もあり、先ほどの待ち合わせの例では「舌のすべり」というよりも「舌の間違い」の意味で使用されているものと考えられます。

まとめると、「slip of the tongue」は日本語の「口がすべる」と同じように「失言」という意味で使用されるのに加えて、単なる「言い間違い」という意味でも使用されることに注意する必要があります。

Slip of the tongueの英語による定義

an unintentional mistake in speaking

洋書におけるslip of the tongueの出現頻度

AA[高頻度: 高い頻度で洋書に出てくる必須の英語表現]

(AAA[超高頻度]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

Slip of the tongueの年代分布

1898年 – 2018年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1898年発行の『The Turn of the Screw(邦題:ねじの回転)』(ジェイムズ = 著)で、最も新しい洋書は2018年発行の『Alita: Battle Angel – The Official Movie Novelization(邦題:アリータ : バトル・エンジェル)』(パット・カディガン = 著)でした。

Slip of the tongueの出現パターン

slip of the tongueの出現パターンは主に以下の2つに分類することができます。

パターン1:slip of the tongue(基本型・最頻出パターン)
パターン2:tongueを主語に持ってくるもの

パターン1は「slip of the tongue」の形で使用する基本型で例文を挙げると次のようになります。

例文177-1)
Did I really say so? Sorry, it was just a slip of the tongue.
私が本当にそう言ったの?ごめんなさい。私の言い間違いでした。

例文177-2)
The politician had an embarrassing slip of the tongue in front of many cameras and reporters.
その政治家は、多くのカメラと報道陣の前で恥ずかしい言い間違いをしてしまいました。

「言い間違いをする」という場合、この例文のように動詞haveが使用されるほか、makeを使って「make a slip of the tongue」と表現することもできます。

パターン2は、tongueを主語に持ってくるもので次のように使用されます。

例文177-3)
Her tongue slipped and she let out the secret.
彼女はつい口がすべって秘密を漏らしてしまいました。

洋書内の実例

slip of the tongueのイメージ画像2です。

それでは、実際に洋書内にみられるslip of the tongueの使用例を紹介していきます。

 

まずは「slip of the tongue」の形で使用する基本型のパターン1から紹介します。

パターン1:slip of the tongue(基本型・最頻出パターン)

実例1(パターン1):iCon: Steve Jobs (2005)(邦題『スティーブ・ジョブズ 偶像復活』、ジェフリー・S・ヤング + ウィリアム・L・サイモン = 著)より

“After ten frustrating months, we ended our talks with Disney,” Steve said. “Frustrating” was no slip of the tongue.
「いらだたしい10カ月を交渉に費やしてきたが、このたび、ディズニーとの交渉を打ち切ることにした」とスティーブは発表した。「いらだたしい」の一言は、つい、口が滑ったものではない

引用元:
(英語原著)iCon: Steve Jobs – THE GREATEST SECOND ACT IN THE HISTORY OF BUSINESS (2005) by Jeffrey S. Young and William L. Simon; 12 Clash of the Titans
(日本語版)『スティーブ・ジョブズ 偶像復活』(ジェフリー・S・ヤング + ウィリアム・L・サイモン = 著、井口耕二 = 訳)、東洋経済新報社(2005/11);第12章(巨人の衝突)より

スティーブ・ジョブズ率いるアニメーション企業ピクサーは、全編コンピュータアニメーションによる初の映画『トイ・ストーリー』(1995)や『モンスターズ・インク』(2001)、『ファインディング・ニモ』(2003)など、ディズニーと提携して大ヒット作品を次々と世に送り出しますが、ヒットを重ねるにつれてピクサーの名声はぐんぐん高まり、必ずしもディズニーに頼らなくても良い状況が生まれます。

そのためスティーブ・ジョブズはディズニーと交渉して提携条件を改善しようと試みるのですが、なかなか交渉は進展しませんでした。そして迎えた2004年1月、スティーブ・ジョブズはついにディズニーとの交渉の打ち切りを宣言します。

そうした流れで出てくるのが上記引用文で、スティーブ・ジョブズは10ヵ月間に及んだディズニーとの交渉を「いらだたしい(frustrating)」と表現するのですが、その言葉はつい口が滑って出てきたものではないという内容が「slip of the tongue」を用いて表現されています。

実例2(パターン1):The Man in the Brown Suit (1924)(邦題『茶色の服を着た男』、アガサ・クリスティ = 著)より

Colonel Race’s boast was not an idle one. He knew a great deal. At the same time, he made one or two curious mistakes – slips of the tongue, I might almost have thought them. But he was quick to take his cue from me and to cover them up.
レイス大佐の知識は自慢するだけのことはあった。が、実によく知っていると同時に、一つ二つおかしな間違いもやってのけた。たぶん言い間違いだろう、と思っていると、私の話し方からすぐ気づいて上手にごまかしてしまうのだ。

引用元:
(英語原著)The Man in the Brown Suit (1924) by Agatha Christie; Chapter 11
(日本語版)『茶色の服を着た男』(アガサ・クリスティ = 著、赤冬子 = 訳)、グーテンベルク21(2004/4);第十一章より

【単語ノート】
boast [bóust] = 自慢、うぬぼれ
idle = 根拠のない、無駄な

“That’s it. I thought that was what you said.”
「それよ。たしかあなたはさっきそういったと思うわ」

“Did I? It was a slip of the tongue. I meant dolichocephalic,” I said with all the assurance I could muster.
「そう? じゃあいいまちがえたんだわ、長頭(ドリコケファリック)といったつもりだったのよ」私は必死で確信があるふりを装っていった。

引用元:
(英語原著)The Man in the Brown Suit (1924) by Agatha Christie; Chapter 15
(日本語版)『茶色の服を着た男』(アガサ・クリスティ = 著、赤冬子 = 訳)、グーテンベルク21(2004/4);第十五章より

【単語ノート】
assurance [əʃúərəns] = 確信、自信;保証
muster [mʌ’stər] = …を奮い起こす;…をかき集める、招集する

実例3(パターン1):Black Order (2006)(邦題『ナチの亡霊(上・下)』、ジェームズ・ロリンズ = 著)より

The slip of tongue plainly revealed some anxiety about the object.
うっかり言い間違いをするあたり、この件に対して漠然とした不安を抱えている証拠だ。

引用元:
(英語原著)Black Order (2006) by James Rollins; 2 DARWIN’S BIBLE
(日本語版)『ナチの亡霊(上・下)』(ジェームズ・ロリンズ = 著、桑田健 = 訳)、竹書房(2012/7);上巻・2(ダーウィンの聖書)より

実例4(パターン1):Alita: Battle Angel – The Official Movie Novelization (2018)(邦題『アリータ : バトル・エンジェル』、パット・カディガン = 著)より

Was that a slip of the tongue, or did he really want her to think he was in this with her?
単に口を滑らせただけなのか、それとも本気で協力者と見なしてほしいのだろうか。

引用元:
(英語原著)Alita: Battle Angel – The Official Movie Novelization (2018) by Pat Cadigan; CHAPTER 10
(日本語版)『アリータ : バトル・エンジェル』(パット・カディガン = 著、入間眞 = 訳)、竹書房(2019/2);第十章より

実例5(パターン1):The Sigh of Haruhi Suzumiya (2009)(日本語原著『涼宮ハルヒの溜息』、谷川流 = 著)より

“Why are you telling me this?”
「なぜ俺にそんなことを教える」

Merely a slip of the tongue. There is no reason.
口が滑ったんですよ。理由なんかありません。

引用元:
(英語版)The Sigh of Haruhi Suzumiya (2009) by Nagaru Tanigawa, English translation by Chris Pai for MX Media LLC; Chapter 5
(日本語原著)『涼宮ハルヒの溜息』(谷川流 = 著)、角川書店(2003/10);第五章より

 

次は「tongue」を主語に持ってくるパターン2です。

パターン2:tongueを主語に持ってくるもの

実例6(パターン2):The Case of the Stuttering Bishop (1936)(邦題『どもりの主教』、E・S・ガードナー = 著)より

And there are other reasons why we are particularly anxious at this time to get the evidence of these witnesses before the public . . . that is, before the Court.”
またわれわれが何故に現在、公衆の前に……いや、裁判長の前において、これらの証人から証拠を得ることを特に熱心に望むかには、ほかにも理由があるのであります」

Mason shrugged and said, “Counsel’s tongue slipped. He meant before the public.”
メイスンが肩をすくめて言った。「検察官は口がすべりましたな。本心は公衆の前というつもりなのです」

引用元:
(英語原著)The Case of the Stuttering Bishop (1936) by Erle Stanley Gardner; Chapter 15
(日本語版)『どもりの主教』(E・S・ガードナー = 著、田中西二郎 = 訳)、グーテンベルク21(2004/9);十五より

【単語ノート】
shrug [ʃrʌ’g] = 肩をすくめる

Slip of the tongueのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

slip of the tongue

slip of the tongueのイメージ画像3です。

  • 意味:日本語の「口がすべる」と同じように「失言」という意味で使用されるだけでなく、「言い間違い」という意味でも使用されます。
  • 英語による定義: an unintentional mistake in speaking
  • 出現頻度:AA[高頻度: 高い頻度で洋書に出てくる必須の英語表現]
  • 出現パターン
    パターン1:slip of the tongue(基本型・最頻出パターン)
    パターン2:tongueを主語に持ってくるもの
  • 例文
    Did I really say so? Sorry, it was just a slip of the tongue.
    私が本当にそう言ったの?ごめんなさい。私の言い間違いでした。
    The politician had an embarrassing slip of the tongue in front of many cameras and reporters.
    その政治家は、多くのカメラと報道陣の前で恥ずかしい言い間違いをしてしまいました。
    Her tongue slipped and she let out the secret.
    彼女はつい口がすべって秘密を漏らしてしまいました。

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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