洋書に出てくる英語表現0174:eat one’s heart out【おすすめ英語フレーズ編154】

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「洋書に出てくる英語表現」の第174回は、英語学習や英会話に役立つ【おすすめ英語フレーズ編】の第154回として「eat one’s heart out」を取りあげます。

目次
  1. Eat one’s heart outの意味と由来
  2. Eat one’s heart outの英語による定義
  3. 洋書におけるeat one’s heart outの出現頻度
  4. Eat one’s heart outの年代分布
  5. Eat one’s heart outの出現パターン
  6. 洋書内の実例
    1. 実例1(パターン1):The 7 Habits of Highly Effective People (1989)(邦題『7つの習慣 – 成功には原則があった!』、スティーブン・R・コヴィー = 著)より
    2. 実例2(パターン1):Death comes as the end (1945)(邦題『死が最後にやってくる』、アガサ・クリスティー = 著)より
    3. 実例3(パターン1):By the Pricking of My Thumbs (1968)(邦題『親指のうずき』、アガサ・クリスティー = 著)より
    4. 実例4(パターン1):Honeymoon to Nowhere (1972)(日本語原著『ゼロの蜜月』、高木彬光 = 著)より
    5. 実例5(パターン1):The Four of Hearts (1938)(邦題『ハートの4』、エラリー・クイーン = 著)より
    6. 実例6(パターン1):The Sign of the Four (1890)(邦題『四つの署名』、コナン・ドイル = 著)より
    7. 実例7(パターン1):The Chrysanthemum and the Sword: Patterns of Japanese Culture (1946)(邦題『菊と刀』、ベネディクト = 著)より
    8. 実例8(パターン2):ESTHER THE WONDER PIG: Changing the World One Heart at a Time (2016)(邦題『エスター、幸せを運ぶブタ』、スティーヴ・ジェンキンズ、デレク・ウォルター = 著)より
    9. 実例9(パターン2):THE DARK TOWER IV : Wizard and Glass (2003)(邦題『ダーク・タワーIV:魔道師と水晶球(上・中・下)』、スティーヴン・キング = 著)より
  7. Eat one’s heart outのまとめ

Eat one’s heart outの意味と由来

直訳すると、「自分の心臓を食べ尽くす」となります。

この表現はとても古く、一説には旧約聖書やホメロスの叙事詩『オデュッセイア』に由来すると言われていますが、正確な由来は不明です。

ただ、「heart」という英単語が「心」を意味する場合もあれば、「心臓」を意味する場合もあることからわかるように、かつては人間は脳ではなく心臓で物事を考えると一般に考えられていました。いわば、心臓は人間の感情の中心で、昔の人たちは何か大きな精神的ショックを受けて心を痛めることは感情の中心である心臓を痛めていることに等しいと考えて、そうした様子を「自分の心臓を食べ尽くす」と比喩的に表現したものと考えられます。

「自分の心臓を食べ尽くす」というのがどうもイメージしづらいという方は、「心臓(胸)が張り裂けるほどの心の苦しみ」あるいは「心臓が押しつぶされるほどの心の苦しみ」をイメージする方がこの表現のニュアンスがつかみやすいかもしれません。

そうした悲しさや嫉妬などの強いマイナスの感情が原因で感情の中心である自分の「心臓を食べ尽くす」との発想から、この「eat one’s heart out」という表現は「(深い悲しみや嫉妬などのために)心を痛める」や「心がさいなまれる」を意味するフレーズとして使用されるようになりました。

心を痛める原因が悲しみの場合には「悲嘆に暮れる」などと訳されるほか、嫉妬が原因の場合には「嫉妬に苦しむ」、恋愛感情が原因の場合には「恋焦がれる」などと訳されます。また、「がっかりする」や「頭をかかえる」のように、「悲嘆に暮れる」ほど深刻ではないような場面でも使用されます。

Eat one’s heart outの英語による定義

suffer from great sadness, jealousy, or other strong negative emotions

洋書におけるeat one’s heart outの出現頻度

B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]

(AAA[超高頻度]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

Eat one’s heart outの年代分布

1890年 – 2016年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1890年発行の『The Sign of the Four(邦題:四つの署名)』(コナン・ドイル = 著)で、最も新しい洋書は2016年発行の『ESTHER THE WONDER PIG: Changing the World One Heart at a Time(邦題:エスター、幸せを運ぶブタ)』(スティーヴ・ジェンキンズ、デレク・ウォルター = 著)でした。

Eat one’s heart outの出現パターン

eat one’s heart outの出現パターンは主に以下の3つに分類することができます。

パターン1:eat one’s heart out(基本型・最頻出パターン)
パターン2:Eat one’s heart out!のように命令形で用いるもの

パターン1は「eat one’s heart out」の形で使用する基本型で例文を挙げると次のようになります。

例文174-1)
Jack has been eating his heart out ever since he got fired from his job.
ジャックは、仕事をクビになって以来ずっと悲嘆に暮れています。

例文174-2)
Suzan ate her heart out when her ex-boyfriend married her best friend.
スーザンは、元彼が自分の親友と結婚した時、嫉妬に苦しみました。

また、この表現はよく著名人や歴史上の人物などの名前を添えて次のように命令形で使用されます(パターン2)。

例文174-3)
I scored three goals in a football match yesterday. Eat your heart out, Messi!
俺は昨日サッカーの試合でゴールを3つも決めたんだ。メッシも真っ青だぜ!

これは直訳すると「メッシよ!自分の心臓を食べ尽くせ!」となってキツイ表現に思われるかも知れませんが、それほどキツイわけではありません。日本語のニュアンスで言えば、冗談半分でちょっと自慢したい時に「すごいでしょ?」や「羨ましいでしょ?」と言うくらいのイメージで、言い方や状況にもよりますがそこまで嫌味な感じではありません。

洋書内の実例

eat one's heart outのイメージ画像1です。

それでは、実際に洋書内にみられるeat one’s heart outの使用例を紹介していきます。

 

まずは、パターン1から紹介します。

パターン1:eat one’s heart out(基本型・最頻出パターン)

実例1(パターン1):The 7 Habits of Highly Effective People (1989)(邦題『7つの習慣 – 成功には原則があった!』、スティーブン・R・コヴィー = 著)より

I see my friends or relatives achieve some degree of success or receive some recognition, and I smile and congratulate them enthusiastically. But inside, I’m eating my heart out. Why do I feel this way?
友達が成功したり認められたりすると、私は笑顔で祝福の言葉を口にはするが、内心は嫉妬やうらやましい気持ちでいっぱいだ。なぜそのように感じるのだろうか。

引用元:
(英語原著)The 7 Habits of Highly Effective People (1989) by Stephen R. Covey; Part One PARADIGMS and PRINCIPLES
(日本語版)『7つの習慣 – 成功には原則があった!』(スティーブン・R・コヴィー = 著、ジェームス・スキナー、川西 茂 = 訳)、キングベアー出版(1996/12);第一部(パラダイムと原則について)より

【単語ノート】
enthusiastically = 熱心に、熱烈に

実例2(パターン1):Death comes as the end (1945)(邦題『死が最後にやってくる』、アガサ・クリスティー = 著)より

Poor Nofret – the concubine of a fussy, elderly man – eating her heart out for love of a gay, careless, handsome young man who had cared little or nothing for her.
可哀そうなノフレト — 口やかましい年寄りの妾になって — 明るい、気ままな、ハンサムな若い男に恋焦がれて、しかも、男は彼女のことをほとんど、いや、少しも思ってはくれない。

引用元:
(英語原著)Death comes as the end (1945) by Agatha Christie; Chapter 19 SECOND MONTH OF SUMMER, 15TH DAY
(日本語版)『死が最後にやってくる』(アガサ・クリスティー = 著、加島祥造 = 訳)、早川書房(1958);第十九章(夏期第二月十五日)より

【単語ノート】
concubine [kάŋkjʊbὰɪn] = 妾(めかけ)
gay [géɪ] = 同性愛の;陽気な

上記英文のように、「gay」は「同性愛の」のほかにも「陽気な」の意味で使用されることがあります。ただ、「陽気な」の意味でのgayはやや古めかしい表現で、「同性愛の」という意味に誤解される可能性もあってまぎらわしいため、それほど高頻度に使用されるわけではありません。

実例3(パターン1):By the Pricking of My Thumbs (1968)(邦題『親指のうずき』、アガサ・クリスティー = 著)より

‘I loved her — I always loved her — no matter what she was, what she did. I wanted her safe — to keep her safe — not shut up — a prisoner for life, eating her heart out.
「わたしは彼女を愛していた —— つねに深く愛していた —— 彼女がどんな人間だろうと —— なにをしでかそうと —— わたしは彼女の安全を願った —— 彼女を安全にしてやりたかった —— といっても、どこかに閉じこめて —— みじめな囚人のような暮らしはさせたくなかった。

引用元:
(英語原著)By the Pricking of My Thumbs (1968) by Agatha Christie; CHAPTER 17 Mrs. Lancaster
(日本語版)『親指のうずき』(アガサ・クリスティー = 著、深町真理子 = 訳)、早川書房(1970);17(ランカスター夫人)より

実例4(パターン1):Honeymoon to Nowhere (1972)(日本語原著『ゼロの蜜月』、高木彬光 = 著)より

In his speech at the wedding reception Koike let the cat out of the bag by announcing the couple would spend the night at the New Tokyo Hotel and leave for Kyoto on the super-express the following morning. Yesterday he was eating his heart out over this slip of the tongue, but actually the victim’s honeymoon plans had been common knowledge days before the wedding.
たとえば、披露宴のスピーチで、小池弁護士は、
— 新郎新婦は、今晩は『新東京ホテル』に一泊、明日の朝、九時の『ひかり』で、京都へ出かける予定です。
ともらしてしまったようです。ご本人は、それがいけなかったか — と頭をかかえていましたが、なに、被害者の教室の連中は、女の子にいたるまで、みんなホテルの名前を知っていたようです。

引用元:
(英語版)Honeymoon to Nowhere (1972) by Akimitsu Takagi, translated by Sadako Mizuguchi; 7
(日本語原著)『ゼロの蜜月』(高木彬光 = 著)、光文社(1965);第七章(三つの場合)より

「let the cat out of the bag」や「slip of the tongue」という表現にも注目してください。

「let the cat out of the bag」は直訳すると「袋から猫を出す」となりますが、「うっかり秘密を漏らす」という意味になります。また、「slip of the tongue」は直訳すると「舌の滑り」となり、これは「うっかり口を滑らせること」を意味します。日本語では「口」を滑らせると表現して、英語では「舌」を滑らせると表現する点も面白いですね。

この2つも面白い表現ですので、近いうちに当ブログで取り上げたいと思います。

実例5(パターン1):The Four of Hearts (1938)(邦題『ハートの4』、エラリー・クイーン = 著)より

“Yes? You’re eating my heart out.”
「そうですか? そいつはがっかりしましたね

引用元:
(英語原著)The Four of Hearts (1938) by Ellery Queen; Chapter 10 FREEDOM OF THE PRESS
(日本語版)『ハートの4』(エラリー・クイーン = 著、長谷川修二 = 訳)、グーテンベルク21(2006/1);一〇(出版の自由)より

実例1から実例4はいずれも「自分で自分の心臓を食べ尽くす」という表現だったのですが、この実例5は「あなたが私の心臓を食べ尽くす」という表現になっています。頻度としては低いのですが、このような形で使用されることもあります。

実例6(パターン1):The Sign of the Four (1890)(邦題『四つの署名』、コナン・ドイル = 著)より

It was enough to make a man eat his heart out to have to stand the kick and the cuff of every petty jack-in-office, to have rice to eat and water to drink, when that gorgeous fortune was ready for him outside, just waiting to be picked up.
豪勢な宝物が、外で取りにくるのを待っているというのに、米や飲み水にありつくために、けちな小役人に蹴ったり殴られたりされるのを、じっとこらえているなんて、全く情ないことでした

引用元:
(英語原著)The Sign of the Four (1890) By Arthur Conan Doyle; Chapter 12 -The Strange Story of Jonathan Small
(日本語版)『四つの署名』(コナン・ドイル = 著、鮎川信夫 = 訳)、グーテンベルク21(2003/6);第十二章(ジョナサン・スモールの不思議な物語)より

【単語ノート】
cuff = 袖口;平手打ち
petty = 小さな;けちな、しみったれた
jack-in-office = 威張った小役人

実例7(パターン1):The Chrysanthemum and the Sword: Patterns of Japanese Culture (1946)(邦題『菊と刀』、ベネディクト = 著)より

But even this kind of underground aggression is rarer today than turning it against oneself. There one has two choices: to use it as a goad to drive oneself to the ‘impossible,’ or to let it eat out one’s heart.
しかし今日では、この種の隠微な攻撃ですら稀になっている。もっと多いのは、攻撃を自分自身に向けるケースである。その場合、選択肢は二つある。一つは、「不可能なこと」に立ち向かう刺激剤として利用すること。もう一つは、攻撃のことを気にかけ悶々とすることである。

引用元:
(英語原著)The Chrysanthemum and the Sword: Patterns of Japanese Culture (1946) by Ruth Benedict; 8 Clearing One’s Name
(日本語版)『菊と刀』(ベネディクト = 著、角田安正 = 訳)、光文社(2008/10);第8章(汚名をすすぐ)より

【単語ノート】
goad [góʊd] = 家畜を追い立てる時に使う突き棒;人を突き動かす物、刺激

 

次は、著名人や歴史上の人物などの名前を添えて命令形で使用するパターン2です。

パターン2:Eat one’s heart out!のように命令形で用いるもの

実例8(パターン2):ESTHER THE WONDER PIG: Changing the World One Heart at a Time (2016)(邦題『エスター、幸せを運ぶブタ』、スティーヴ・ジェンキンズ、デレク・ウォルター = 著)より

We posted a photo of Esther’s giant rump and said, Eat your heart out, Kim Kardashian! We thought it was obvious that this was just a joke, but certain people jumped all over us — some claimed we were sexualizing Esther.
あるとき、エスターの巨大なお尻の写真をアップし、〝お騒がせセレブ〟のキム・カーダシアンにひっかけて、〝たんと召しあがれ、キム・カーダシアン!〟というフレーズを添えたところ、なんてことを言うんだ、と噛みついてきた連中がいたのには驚いた。ぼくらはエスターを性的にもてあそんでいる、と主張する者まで現れた。

引用元:
(英語原著)ESTHER THE WONDER PIG: Changing the World One Heart at a Time (2016) by Steve Jenkins and Derek Walter with Caprice Crane; CHAPTER FIVE
(日本語版)『エスター、幸せを運ぶブタ』(スティーヴ・ジェンキンズ、デレク・ウォルター = 著、高見浩 = 訳)、飛鳥新社(2016/7);第五章(運命が変わった日)より

実例9(パターン2):THE DARK TOWER IV : Wizard and Glass (2003)(邦題『ダーク・タワーIV:魔道師と水晶球(上・中・下)』、スティーヴン・キング = 著)より

Bally, Gucci, eat your heart out,” Eddie said. “This is great stuff.”
〈バリー〉や〈グッチ〉もビックリ」とエディ。「こいつは高級品だぜ」

引用元:
(英語原著)THE DARK TOWER IV : Wizard and Glass (2003) by Stephen King; PART FOUR ALL GOD’S CHILLUN GOT SHOES, CHAPTER II SHOES IN THE ROAD
(日本語版)『ダーク・タワーIV:魔道師と水晶球(上・中・下)』(スティーヴン・キング = 著、風間賢二 = 訳)、新潮社(2006/3);下巻・第四部(神の子どもたちはみな靴を履く)・第二章(路上の靴)より

Eat one’s heart outのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

eat one’s heart out

eat one's heart outのイメージ画像4です。

  • 由来:心臓が張り裂けるほどの心の苦しみを「自分の心臓を食べ尽くす(eat one’s heart out)」と比喩的に表現したもの(正確な由来は不明)。
  • 意味:(深い悲しみや嫉妬などのために)心を痛める、心がさいなまれる、悲嘆に暮れる、嫉妬に苦しむ
  • 英語による定義:suffer from great sadness, jealousy, or other strong negative emotions
  • 出現頻度:B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]
  • 出現パターン
    パターン1:eat one’s heart out(基本型・最頻出パターン)
    パターン2:Eat one’s heart out!のように命令形で用いるもの
  • 例文
    Jack has been eating his heart out ever since he got fired from his job.
    ジャックは、仕事をクビになって以来ずっと悲嘆に暮れています。
    Suzan ate her heart out when her ex-boyfriend married her best friend.
    スーザンは、元彼が自分の親友と結婚した時、嫉妬に苦しみました。
    I scored three goals in a football match yesterday. Eat your heart out, Messi!
    俺は昨日サッカーの試合でゴールを3つも決めたんだ。メッシも真っ青だぜ!

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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