「洋書に出てくる英語表現」の第168回は、英語学習や英会話に役立つ【おすすめ英語フレーズ編】の第148回として「packed like sardines」を取りあげます。
- Packed like sardinesの意味と由来
- Packed like sardinesの英語による定義
- 洋書におけるpacked like sardinesの出現頻度
- Packed like sardinesの年代分布
- Packed like sardinesの出現パターン
- 洋書内の実例
- 実例1(パターン1):Undisputed Truth (2013)(邦題『真相 マイク・タイソン自伝』、マイク・タイソン = 著)より
- 実例2(パターン1):ENDURANCE: Shackleton’s Incredible Voyage (1959)(邦題『エンデュアランス — 史上最強のリーダー シャクルトンとその仲間はいかにして生還したか』、アルフレッド・ランシング = 著)より
- 実例3(パターン1):Broken Music: A Memoir (2003)(邦題『スティング』、スティング = 著)より
- 実例4(パターン1):Wellcome to My World (2011)(邦題『ジョニー・ウィアー自伝 Welcome to My World』、ジョニー・ウィアー = 著)より
- 実例5(パターン2):The Innocent Man (2006)(邦題『イノセントマン(上・下)』、ジョン・グリシャム = 著)より
- 実例6(パターン2):Bad Soldier (2016)(邦題『血泥の戦場 : SAS部隊イラクIS司令官襲撃作戦(上・下)』、クリス・ライアン = 著)より
- 実例7(パターン3):PURE DYNAMITE (1999)(邦題『ピュア・ダイナマイト:ダイナマイト・キッド自伝』、ダイナマイト・キッド = 著)より
- 実例8(パターン3):Cell (2006)(邦題『セル(上・下)』、スティーブン・キング = 著)より
- Packed like sardinesのまとめ
Packed like sardinesの意味と由来
直訳すると、「イワシのように詰め込まれて」となります。
この表現はイワシの缶詰の中にイワシがびっしり詰め込まれている様子に由来します。どこか狭い場所に人間が所狭しと押し込まれている様子が缶詰の中のイワシに似ていることから、「packed like sardines」は「すし詰めになって」を意味するフレーズとして使用されるようになりました。
日本語では「すし詰めになって」のほか、「ぎゅうぎゅう詰めになって」や「びっしり詰め込まれて」などと訳されます。
Packed like sardinesの英語による定義
crowded very close together in a small space
洋書におけるpacked like sardinesの出現頻度
B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]
(AAA[超高頻度]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)
Packed like sardinesの年代分布
1868年 – 2016年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)
当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1868年発行の『Little Women(邦題:若草物語)』(オールコット = 作)で、最も新しい洋書は2016年発行の『Bad Soldier(邦題:血泥の戦場 : SAS部隊イラクIS司令官襲撃作戦)』(クリス・ライアン = 著)でした。
Packed like sardinesの出現パターン
packed like sardinesの出現パターンは主に以下の3つに分類することができます。
パターン1:(be) packed like sardines(基本型・最頻出パターン)
パターン2:(be) stuck/crammed like sardinesなどpack以外の動詞を使うもの
パターン3:like sardines in a tin/can
パターン1は「(be) packed like sardines」の形で使用する基本型で、例文を挙げると次のようになります。
例文168-1)
In Tokyo, subway trains are very crowded, and the commuters are packed like sardines every morning.
東京では、地下鉄は大変混雑していて、通勤者は毎朝すし詰め状態です。
パターン2はpack以外の動詞を使うもので、pack以外の動詞としてはstickやcram、squashなどが使用されます。
例文168-2)
In that factory, many low-paid workers had been crammed like sardines into small rooms.
その工場では、多くの低賃金労働者が小さな部屋に押し込められていました。
パターン3は「like sardines in a tin/can」の形で使用されるもので、例文を挙げると次のようになります。
例文168-3)
The beach was so crowded that people had to lie like sardines in a can.
ビーチはとても混雑していたので、人々は缶詰の中のイワシのようにびっしりと身を寄せ合って寝そべらなくてはなりませんでした。
洋書内の実例
それでは、実際に洋書内にみられるpacked like sardinesの使用例を紹介していきます。
まずは、動詞のpackとともに使用するパターン1から紹介します。
パターン1:(be) packed like sardines(基本型・最頻出パターン)
実例1(パターン1):Undisputed Truth (2013)(邦題『真相 マイク・タイソン自伝』、マイク・タイソン = 著)より
The place was packed like sardines when we were there.
俺たちがいると、あそこはイワシの群れみたいに人でぎっしりになった。
引用元:
(英語原著)Undisputed Truth (2013) by Mike Tyson; Chapter 7
(日本語版)『真相 マイク・タイソン自伝』(マイク・タイソン = 著、ジョー小泉 = 監訳、棚橋志行 = 訳)、ダイヤモンド社(2014/7);7(堕ちてゆく王者)より
(英語原著Audible版)Audible-完全版(一冊無料!Audible無料体験
);サンプル再生時間5分
「意味と由来」の項に記載したように、この「packed like sardines」という表現は、どこか狭い場所に押し込まれている人間を缶詰の中のイワシにたとえたものなので、基本的には人間が主語になるのですが、この英文のように「人」ではなく「混雑している場所」を主語にしている文章を見かけることがまれにあります。
厳密に言えば誤用のような気もしますが、低頻度ながらもこのような用例も実際に見られますので、以下の実例では「何を主語にしているのか」にも是非注目してみてください。
実例2(パターン1):ENDURANCE: Shackleton’s Incredible Voyage (1959)(邦題『エンデュアランス — 史上最強のリーダー シャクルトンとその仲間はいかにして生還したか』、アルフレッド・ランシング = 著)より
Macklin described conditions in No. 5 tent: “. . . there are eight of us living in it, packed like sardines….Clark has an almost intolerable sniff — he sniffs the whole day long and almost drives one mad when one has to remain inside with him.
マクリンは五番テントの中の様子をこう綴っている。〈……六人がすし詰め状態で押し込まれている……クラークが鼻をすする音にはどうにも我慢ならない。一日中ああやって鼻をすすっているので、一緒にいる我々は気が狂いそうだ。
引用元:
(英語原著)ENDURANCE: Shackleton’s Incredible Voyage (1959) by Alfred Lansing; Part III, Chapter 3
(日本語版)『エンデュアランス — 史上最強のリーダー シャクルトンとその仲間はいかにして生還したか』(アルフレッド・ランシング = 著、山本光伸 = 訳)、パンローリング株式会社(2014/9);第3部・第三章より。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/12/27確認)。(Kindle Unlimited 無料体験
)
(英語原著Audible版)Audible-完全版(一冊無料!Audible無料体験
);サンプル再生時間5分
【単語ノート】
sniff = 〈動〉鼻をすする、においを嗅ぐ、〈名〉鼻をすすること(or すする音)、においを嗅ぐこと(or におい)
drive someone mad = 人の気を狂わせる
実例3(パターン1):Broken Music: A Memoir (2003)(邦題『スティング』、スティング = 著)より
We are way over the limit as far as the fire regulations go, but everyone is smiling, packed like sardines, and happy to see us back.
消防法にひっかかるぎりぎりのラインを越えてすし詰めになりながらも、誰もが笑顔で私たちの帰還を喜んでくれていた。
引用元:
(英語原著)Broken Music: A Memoir (2003) by Sting; Chapter 13
(日本語版)『スティング』(スティング = 著、東本 貢司 = 訳)、PHP研究所(2004/12);第13章(母の手紙と父の訪問)より
【単語ノート】
fire regulations = 消防条例、防火法規
実例4(パターン1):Wellcome to My World (2011)(邦題『ジョニー・ウィアー自伝 Welcome to My World』、ジョニー・ウィアー = 著)より
Skaters packed themselves into one room like sardines and filled the bathtubs with liquor and ice.
選手たちは一部屋に集まってぎゅうぎゅう詰めになりながら、バスタブをお酒と氷でいっぱいにする。
引用元:
(英語原著)Wellcome to My World (2011) by Johnny Weir; 6 Razzle-Dazzle
(日本語版)『ジョニー・ウィアー自伝 Welcome to My World』(ジョニー・ウィアー = 著、田村明子 = 訳)、新書館(2011/4);6(自分さがし)より
この英文では、「be packed like sardines」が受動態ではなく能動態で使用されています。
次は、stickやcram、squashなどpack以外の動詞を使うパターン2です。
パターン2:(be) stuck/crammed like sardinesなどpack以外の動詞を使うもの
実例5(パターン2):The Innocent Man (2006)(邦題『イノセントマン(上・下)』、ジョン・グリシャム = 著)より
Everybody here is stuck here like sardines. I know for a fact this is the most suffering I’ve ever had to endure.
ここではだれもが缶詰のイワシそっくり、身動きがまったくとれません。これはどの苦しみを強いられてきたことはないと断言できます。
引用元:
(英語原著)The Innocent Man (2006) by John Grisham; Chapter 11
(日本語版)『イノセントマン(上・下)』(ジョン・グリシャム = 著、白石 朗 = 監訳)、ゴマブックス株式会社(2016/10);(下)・11より
(英語原著Audible版)Audible-完全版(一冊無料!Audible無料体験
);サンプル再生時間3分57秒
【単語ノート】
suffering = 苦しみ、苦痛、苦悩
「I know for a fact (that …)」という表現にも注目してください。直訳すると「私は(that以下を)事実として知っている」となりますが、上記引用文のようにそれとは若干異なるニュアンスで使用されることがよくあります。
上記引用文を見て頂ければ分かるように、この表現は「事実として知っている」というよりも、明確に確認したわけではないけれども「(that以下を)事実だと言ってもいいくらいにきっぱりと断言できる」、つまりそれくらいに(that以下の内容に)強い確信を持っている、というニュアンスで使用されることが多いのが特徴です。
実例6(パターン2):Bad Soldier (2016)(邦題『血泥の戦場 : SAS部隊イラクIS司令官襲撃作戦(上・下)』、クリス・ライアン = 著)より
As Danny counted more of the kids on to the ship – twenty, twenty-five – his loathing for whoever had crammed them like sardines into that small boat intensified.
子どもの数が二〇を超えて二五人に達すると、ダニーの憤りも高まった。どこのどいつか知らないが、子どもたちをイワシみたいに船倉にすし詰めにしたろくでなしに激しい嫌悪を覚えた。
引用元:
(英語原著)Bad Soldier (2016) by Chris Ryan; TWO
(日本語版)『血泥の戦場 : SAS部隊イラクIS司令官襲撃作戦(上・下)』(クリス・ライアン = 著、石田享 = 訳)、竹書房(2019/3);第2章(オーシャン・スター号)より。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/12/27確認)。(Kindle Unlimited 無料体験
)
(英語Audible版)Audible-完全版(一冊無料!Audible無料体験
);サンプル再生時間5分
【単語ノート】
loathing [ˈləʊðɪŋ] = 嫌悪感
最後は「like sardines in a tin/can」の形で使用するパターン3です。
パターン3:like sardines in a tin/can
実例7(パターン3):PURE DYNAMITE (1999)(邦題『ピュア・ダイナマイト:ダイナマイト・キッド自伝』、ダイナマイト・キッド = 著)より
So there we were, like sardines in a tin, driving along the highway, when all of a sudden this very nice Buick overtook us.
俺たちを乗せた満員のバンがハイウェーを走行していると、突然イカしたビュイックが横に並んだ。
引用元:
(英語原著)PURE DYNAMITE (1999) by Former “British Bulldog” Tom Billington WITH ALISON COLEMAN; CHAPTER FOURTEEN
(日本語版)『ピュア・ダイナマイト:ダイナマイト・キッド自伝』(ダイナマイト・キッド = 著、ウォーリー山口 = 監修、今川みゆき = 翻訳協力)、エンターブレイン(2001/10);第14章より
実例8(パターン3):Cell (2006)(邦題『セル(上・下)』、スティーブン・キング = 著)より
Every inch of grass was covered with phone-crazies. They were lying on their backs like sardines in a can, leg to leg and hip to hip and shoulder to shoulder.
芝は一部の隙間さえないほど、携帯狂人たちで埋めつくされていた。狂人たちは缶詰のサーディンのように、いちように仰向けで寝ていた — 足と足、腰と腰、肩と肩を接しあって。
引用元:
(英語原著)Cell (2006) by Stephen King; GAITEN ACADEMY
(日本語版)『セル(上・下)』(スティーブン・キング = 著、白石 朗 = 訳)、新潮社(2007/12);ガイテン・アカデミーより
(英語原著Audible版)Audible-完全版(一冊無料!Audible無料体験
);サンプル再生時間4分45秒
Packed like sardinesのまとめ
それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。
packed like sardines
- 由来:缶詰の中にイワシがびっしり詰め込まれている様子から。
- 意味:すし詰めになって、ぎゅうぎゅう詰めになって
- 英語による定義: crowded very close together in a small space
- 出現頻度:B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]
- 出現パターン:
パターン1:(be) packed like sardines(基本型・最頻出パターン)
パターン2:(be) stuck/crammed like sardinesなどpack以外の動詞を使うもの
パターン3:like sardines in a tin/can - 例文:
In Tokyo, subway trains are very crowded, and the commuters are packed like sardines every morning.
東京では、地下鉄は大変混雑していて、通勤者は毎朝すし詰め状態です。
In that factory, many low-paid workers had been crammed like sardines into small rooms.
その工場では、多くの低賃金労働者が小さな部屋に押し込められていました。
The beach was so crowded that people had to lie like sardines in a can.
ビーチはとても混雑していたので、人々は缶詰の中のイワシのようにびっしりと身を寄せ合って寝そべらなくてはなりませんでした。
今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。