洋書に出てくる英語表現0166:pay through the nose【おすすめ英語フレーズ編146】

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「洋書に出てくる英語表現」の第166回は、英語学習や英会話に役立つ【おすすめ英語フレーズ編】の第146回として「pay through the nose」を取りあげます。

Pay through the noseの意味と由来

直訳すると、「鼻で支払う」となります。

この表現の由来についてはいくつか説があるのですが、その中で最も興味深いのは9世紀頃にデーン人がアイルランドで課した「鼻税(nose tax)」に由来するという説です。

「鼻税(nose tax)」とは、今で言うところの人頭税(poll tax)に相当するもので、税金の支払い能力の有無にかかわらず「一人当たりいくら」といった具合に頭数で税金が徴収され、支払うことができない場合には鼻をそぎ落とされたことからそのような名前が付きました。

この「鼻税」は法外でアイルランドの人たちにとっては負担が大きく、支払うことができない場合には鼻をそぎ落とされた、つまり法外な税金をお金ではなく「鼻で支払った」ことから、「pay through the nose」は「法外な代金を支払う」を意味するフレーズとして使用されるようになったと言われています。

日本語では「法外な代金を支払う」のほか、「目玉が飛び出るほどの金額を支払わされる」や「ぼられる」、「ぼったくられる」、「大枚をはたく」などと訳されます。

基本的には「法外な金銭」を払うことを意味するのですが、「大きな代償」や「大きな犠牲」を払うといったように金銭以外のものを払うことを意味する場合もあります。

Pay through the noseの英語による定義

pay too much (money) for something

洋書におけるpay through the noseの出現頻度

B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]

(AAA[超高頻度]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

Pay through the noseの年代分布

1886年 – 2013年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1886年発行の『The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde(邦題:ジーキル博士とハイド氏の怪事件)』(スティーヴンスン = 著)で、最も新しい洋書は2013年発行の『Undisputed Truth(邦題:真相 マイク・タイソン自伝)』(マイク・タイソン = 著)でした。

Pay through the noseの出現パターン

pay through the noseの出現パターンは主に以下の2つに分類することができます。

パターン1:(人)pay through the nose(for …)(基本型・最頻出パターン)
パターン2:(人)make someone pay through the nose

簡単に言うと、法外な代金を「ぼったくられる人」と「ぼったくる人」がいるとして、「ぼったくられる人」を主語にするのが基本型のパターン1で、「ぼったくる人」を主語にするのがパターン2ということになります。

パターン1の例文を挙げると次のようになります。

例文166-1)
I paid through the nose at a bar last night.
昨晩、私はバーでぼったくられました。

例文166-2)
You can’t get a ticket for the World Cup Final unless you pay through the nose for it.
法外な値段を支払わない限り、ワールドカップ決勝のチケットは手に入らないよ。

パターン2の例文を挙げると次のようになります。

例文166-3)
Don’t go to that shop. They will make you pay through the nose.
あの店に行ったらダメだよ。ぼられるよ。

洋書内の実例

pay through the noseのイメージ画像2です。

それでは、実際に洋書内にみられるpay through the noseの使用例を紹介していきます。

 

まずは、「ぼったくられる人」を主語にして「(人)pay through the nose(for …)」の形で使用する基本型のパターン1から紹介します。

パターン1:(人)pay through the nose(for …)(基本型・最頻出パターン)

実例1(パターン1):Undisputed Truth (2013)(邦題『真相 マイク・タイソン自伝』、マイク・タイソン = 著)より

Oh yeah, I was paying through the nose for my towels too.
自分のタオル一枚にも法外な料金をぼられていた

引用元:
(英語原著)Undisputed Truth (2013) by Mike Tyson; Chapter 11
(日本語版)『真相 マイク・タイソン自伝』(マイク・タイソン = 著、ジョー小泉 = 監訳、棚橋志行 = 訳)、ダイヤモンド社(2014/7);11(数々の裏切り)より
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

この英文は、ボクシングの元世界統一ヘビー級王者マイク・タイソンが1億ドル超の支払いを求めてプロモーターのドン・キングを訴えた時のことを記載したものです。

ドン・キングは、ありとあらゆる手段を使ってタイソンの懐から自分の懐に金が流れ込んでくるようにしていました。タイソンの知らないところでタイソンの豪邸の維持費に莫大な料金を請求していたり、自分の娘をほとんど実体のない「マイク・タイソン・ファンクラブ」の会長にしてタイソンの懐から年間5万ドル超が支払われるようにしていたりと、様々な方法が使われていました。そのような流れで出てくるのが上記引用文で、タイソンが使うタオル1枚にも「法外な料金をぼられていた」という部分が「pay through the nose」を用いて表現されています。

実例2(パターン1):The Lonely Skier (1947)(邦題『孤独なスキーヤー』、ハモンド・イネス = 著)より

‘I do not understand it,’ Mancini muttered angrily to me. ‘They will pay through the nose and make a bad business of it. There are hidden reasons. That Forelli woman is up to something. She is too clever with men.’
「いったい何のつもりなんだろう」マンチーニは腹立たしげに私に言った。「そんなに金を注(つ)ぎこんだって儲かるわけがないんだから。何か別の秘密の理由があるんですよ。あのフォレッリという女が何か企んでいるんです。あれは悪知恵の働く女ですから」

引用元:
(英語原著)The Lonely Skier (1947) by Hammond Innes; CHAPTER TWO. A ‘SLITTOVIA’ IS AUCTIONED
(日本語版)『孤独なスキーヤー』(ハモンド・イネス = 著、池央耿 = 訳)、グーテンベルク21(2008/3);二(競売)より

実例3(パターン1):The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde (1886)(邦題『ジーキル博士とハイド氏の怪事件』、スティーヴンスン = 著)より

Black-mail, I suppose; an honest man paying through the nose for some of the capers of his youth.
これはきっと、ゆすりでしょうね。立派な人間が若い時の道楽か何かを種にされて目の玉の飛び出るほどの額をねだり取られているのでしょうよ。

引用元:
(英語原著)The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde (1886) by Robert Louis Stevenson; STORY OF THE DOOR
(日本語版)『ジーキル博士とハイド氏の怪事件』(スティーヴンスン = 著、佐々木直次郎 = 訳)、新潮社(1950/11);戸口の話

【単語ノート】
black-mail (blackmail) = ゆすり、恐喝
caper = 悪ふざけ、違法行為

実例4(パターン1):Cat Among the Pigeons (1959)(邦題『鳩のなかの猫』、アガサ・クリスティー = 著)より

It was a very expensive school, but that was not really the point. It could be put better by saying that though you paid through the nose, you got what you paid for.
非常に高くつく学校ではあったが、実際にはその点は問題ではなかった。恐ろしく高い授業料を払わせられるにしても、支払っただけのものは得させてくれる学校だと言ったほうが、事実に近いだろう。

引用元:
(英語原著)Cat Among the Pigeons (1959) by Agatha Christie; Prologue Summer Term
(日本語版)『鳩のなかの猫』(アガサ・クリスティー = 著、橋本福夫 = 訳)、早川書房(2004/7);プロローグ ・夏季学期より
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

実例5(パターン1):Bird by Bird (1994)(邦題『ひとつずつ、ひとつずつ — 書くことで人は癒される』、アン・ラモット = 著)より

Even though so much of my writing time is stressful and disheartening, I carry a secret sense of accomplishment around with me, like a radium pack implanted near my heart that now leaches a quiet sense of relief through my system. But you pay through the nose for this.
執筆しているときにはストレスも多いし、気も滅入ることがあるけれど、ひそかな達成感はいつも感じている。ちょうど、心臓の近くに埋め込んだラジウムパックからひそやかな安堵が私の体に少しずつにじみ出ていくような感覚ね。ただし、これには法外な代償が伴う

引用元:
(英語原著)Bird by Bird (1994) by Anne Lamott; Part Four : Publication
(日本語版)『ひとつずつ、ひとつずつ — 書くことで人は癒される』(アン・ラモット = 著、森尚子 = 訳)、パンローリング (2013/12);第4章(本を書く理由)より

【単語ノート】
disheartening = がっかりするような、心が折れるような
leach = こし取る、濾過する、浸出する

「意味と由来」の項で、この表現は基本的に「法外な金銭」の支払いを意味しますが、金銭以外のものを払うことを意味する場合もあると書きましたが、この英文がその例となります。

この本の著者のアン・ラモットさんによると、自分の本を出版することにはたしかに大きな喜びがあるものの、作家であることには法外な代償もあるといい、上記英文では、その点が「pay through the nose」を用いて表現されています。

例えば、自分の本が注目されて何かのイベントに招待されたとします。そのイベント用にドレスを買いに行くと、店員からはどのようなイベントに出席するのかを根掘り葉掘り聞かれて、最終的に職業を聞き出されることになります。そこで「作家」だと白状すると、店中の店員から尊敬の眼差しを向けられてスターになったような気分を味わうことができるのですが、そこからが問題です。そのまま自分の名前を言わずにスター気分のまま帰れたら良いのですが、しつこく名前を聞かれてしょうがなく名前を言ったものの誰も自分のことを知らない場合には、その場が凍りついたような雰囲気になってしまい、とてもバツの悪い思いをしてしまいます。

上記英文ではそのような経験が「法外な代償」と表現されていて、著者のアン・ラモットさんが過去にそのような経験をした時には、それを乗り越えるのに1週間の期間と山ほどのチョコレートが必要だったということです。

 

次は「ぼったくる人」を主語にして「make someone pay through the nose」の形で使用するパターン2です。

パターン2:make someone pay through the nose

実例6(パターン2):The Spanish Cape Mystery (1935)(邦題『スペイン岬の裸死事件』、エラリー・クイーン = 著)より

Then he got the goods on them, turned on the screws, and made ‘em pay through the nose. The old story. Sure they were looking for the goods . . . .
それから女どもの弱味になる品物を手に入れて、ねじを巻きはじめ、法外な代償を払わせたんだ。よくある話です。きっと、あの女どもはその品物を探していたんでしょう。……

引用元:
(英語原著)The Spanish Cape Mystery (1935) by Ellery Queen; Chapter 10. THE GENTLEMAN FROM NEW YORK
(日本語版)『スペイン岬の裸死事件』(エラリー・クイーン = 著、石川年 = 訳)、グーテンベルク21(2006/9);十章(ニューヨークからの紳士)より。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/12/24確認)。(Kindle Unlimited 無料体験
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

【単語ノート】
get the goods on(人)= (人)の犯行の証拠(となる品物)を握る

実例7(パターン2):Pygmalion (1912)(邦題『ピグマリオン』、バーナード・ショー = 著)より

He is a son of a Clerkenwell watchmaker. He speaks English so villainously that he dare not utter a word of it without betraying his origin. I help him to pretend; but I make him pay through the nose. I make them all pay.
あの男はクラークンウェルの時計屋の息子です。ひどく汚い英語を喋るので、一言でも口にしたらすぐにお里が知れてしまう。わたしはそれがばれないように協力して、口止め料をぼったくってやりますよ。こういう連中から、ごっそりと。

引用元:
(英語原著)Pygmalion (1912) by George Bernard Shaw; Act III
(日本語版)『ピグマリオン』(バーナード・ショー = 著、小田島恒志 = 訳)、光文社(2013/11);第三幕より

【単語ノート】
villainously [vílənəsli] = ひどく悪く
dare not = …する勇気がない
betray = 裏切る;うっかり表す

Pay through the noseのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

pay through the nose

pay through the noseのイメージ画像1です。

  • 由来:9世紀頃にデーン人がアイルランドで課した「鼻税(nose tax)」に由来。鼻税を支払うことができない場合には鼻をそぎ落とされて、お金の代わりに鼻で法外な税金を支払ったことから(諸説あり)。
  • 意味:法外な代金を支払う、ぼられる
  • 英語による定義: pay too much (money) for something
  • 出現頻度:B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]
  • 出現パターン
    パターン1:(人)pay through the nose(for …)(基本型・最頻出パターン)
    パターン2:(人)make someone pay through the nose
  • 例文
    I paid through the nose at a bar last night.
    昨晩、私はバーでぼったくられました。
    You can’t get a ticket for the World Cup Final unless you pay through the nose for it.
    法外な値段を支払わない限り、ワールドカップ決勝のチケットは手に入らないよ。
    Don’t go to that shop. They will make you pay through the nose.
    あの店に行ったらダメだよ。ぼられるよ。

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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