洋書に出てくる英語表現0164:in the doghouse【おすすめ英語フレーズ編144】

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「洋書に出てくる英語表現」の第164回は、英語学習や英会話に役立つ【おすすめ英語フレーズ編】の第144回として「in the doghouse」を取りあげます。

In the doghouseの意味と由来

直訳すると、「犬小屋の中に」となります。

この表現の由来については、いくつか説があるのですが、1つは屋内で飼われている犬が家の中で悪さをした時にお仕置きとして、その犬を家から追い出して戸外の粗末な犬小屋に入れる習慣に由来するというものです。

もう1つは、イギリスの小説家James Barrieによる1911年の小説『Peter and Wendy(ピーター・パンとウェンディ)』に出てくるウェンディの父・ダーリング氏の行動に由来するという説です。ダーリング氏は、自分の3人の子供達がピーター・パンとともにネバーランドに旅立ってしまったのは、自分が子供達のお気に入りである愛犬のナナを鎖に繋いだためだと思い込み、深い後悔の念からそのような事態を招いた自分自身へのお仕置きとして、自ら四つん這いになって犬小屋の中に入り、子供達が戻ってくるまでそこで生活するようになります。

いずれの説でも何か人の不興を買うようなことをしたがためのお仕置きとして「犬小屋行き」になったというところがポイントで、犬小屋へ行って償わなければならないほど人の不興を買う様子から、「in the doghouse」は「(他人の)不興を買って」や「(他人の)機嫌を損ねて」を意味するフレーズとして使用されるようになりました。

ただ、この表現は何か失敗や望ましくないことをした結果として比喩的に「犬小屋行き」になったと言っているだけで、「犬小屋行き」の具体的な内容までは記載されていないことが多いため、日本語に訳す場合には文脈にそってさまざまな訳が当てられます。「不興を買って」や「機嫌を損ねて」のほかにも、何か人の不興を買うような行動や失敗の結果として人間関係に影響が生じるような場合には、「関係が悪くなって」や「バツが悪くなって」というニュアンスで使用され、またそうした行動や失敗が原因で面目が潰れてしまうような場合には「面目を失って」といったニュアンスでも使用されます。

この表現が使用される典型的な例は、奥さんに頭のあがらない夫が何らかの行動のために奥さんの逆鱗に触れてしまった場合や、それが原因で奥さんに何らかのお仕置きを受けるようなケースです。実際に夫が犬小屋に入れられる訳ではありませんが、ユーモアを込めて比喩的に「犬小屋行き」と表現されるわけです。

そういう意味では、あえてこの「犬小屋行き」に近い日本語の表現を探すとすれば「お灸を据えられる」に近いのではないかと思います。

また、ある行動が原因で上司や目上の人に冷たく扱われるといったような場合にもよく使われますので、そのような場合は「冷遇される」という日本語のニュアンスにも近いのではないかと思います。

In the doghouseの英語による定義

in a situation where someone is angry with you because of your failure or wrong behaviour; in disgrace

洋書におけるin the doghouseの出現頻度

B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]

(AAA[超高頻度]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

In the doghouseの年代分布

1977年 – 2017年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1977年発行の『Agatha Christie: An autobiography(邦題:アガサ・クリスティー自伝)』で、最も新しい洋書は2017年発行の『JENSON BUTTON: LIFE TO THE LIMIT(邦題:ジェンソン・バトン自伝 ライフ・トゥ・ザ・リミット)』(ジェンソン・バトン = 著)でした。

In the doghouseの出現パターン

in the doghouseの出現パターンは主に以下の2つに分類することができます。

パターン1:be in the doghouse(基本型・最頻出パターン)
パターン2:その他

パターン1は、be動詞を伴って「be in the doghouse」の形で使用される基本型で、「in the doghouse」はほとんどがこの形で出てきます。

例文164-1)
Yesterday, I was in the doghouse for being late for an important meeting.
昨日、私は重要な会議に遅れて皆の不興を買いました。

また、「be in the doghouse with 人」の形で誰の不興や怒りを買っているのかを表すことができます。

例文164-2)
I don’t know why, but it looks like I’m in the doghouse with her.
なぜだかわかりませんが、彼女の機嫌を損ねてしまったようです。

例文164-3)
I was really in the doghouse with my wife when I forgot her birthday last year.
去年、妻の誕生日を忘れた時には、彼女の機嫌を完全に損ねてしまいました。

パターン2の「その他」については、次の「洋書内の実例」の中で紹介します。

洋書内の実例

in the doghouseのイメージ画像2

 

それでは、実際に洋書内にみられるin the doghouseの使用例を紹介していきます。

 

まずは、 be動詞を伴って「be in the doghouse」の形で使用する基本型のパターン1から紹介します。

パターン1:be in the dog house

実例1(パターン1):JENSON BUTTON: LIFE TO THE LIMIT (2017)(邦題『ジェンソン・バトン自伝 ライフ・トゥ・ザ・リミット』、ジェンソン・バトン = 著)より

I thanked my lucky stars that we were alive (and I wasn’t in the doghouse).
僕は命拾いをした幸運に感謝した(キムの前で面目が丸つぶれにならなくてよかった)。

引用元:
(英語原著)JENSON BUTTON: LIFE TO THE LIMIT (2017) by Jenson Button; PART ONE
(日本語版)『ジェンソン・バトン自伝 ライフ・トゥ・ザ・リミット』(ジェンソン・バトン = 著、児島 修 = 訳)、東洋館出版社(2019/4);第一部(父と息子の冒険の始まり)より
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

【単語ノート】
thank one’s stars, thank one’s lucky stars = 幸運に感謝する

この英文では、2009年にワールドチャンピオンを獲得した元F1ドライバーのジェンソン・バトンの17歳の頃のエピソードが記載されています。

ある週末に、17歳のバトンは初めての恋人のキムと車でビーチに出かけます。朝早くにビーチを見下ろす崖の上に到着するのですが、崖の上にはすでに他の若者達の車が停まっていました。その時、バトンはニヤニヤ笑っている若者達に挑発されたものと勝手に解釈し、挑発を受けて立ちます。

バトンはアクセルを踏み込んで、若者達の車を目がけてぐんぐん加速し、ギリギリのところでハンドルを切ると同時にハンドブレーキを引きます。華麗なハンドブレーキターンを決めて若者達に自分の存在感を見せつけるつもりでした。

しかし、若者達の車が停まっていた芝生は朝露で濡れていて、バトンの車はスリップしてブレーキが効かなくなります。そしてバトンの車は回転しながら若者達の車の横をすり抜け、海を見下ろす崖の端の方に近づいていきます。助手席のキムが金切り声を上げるなか、バトンはそのまま崖から落ちて死ぬことも覚悟したといいます。

しかし幸いなことに、朝露に濡れた芝生と崖の端との間には砂利道があり、それらの砂利による摩擦のおかげでバトンの車は急停車することができ、落下を免れます。

恋人のキムは最初こそ怒っていたものの、すぐにスリル満点の体験だったと思い直してくれたそうで、その流れで上記の「in the doghouse」が出てきます。

「意味と由来」の項で、この表現は比喩的に「犬小屋行き」になったと言っているだけで具体的な解釈は読み手に委ねられているので、文脈にそってさまざまな訳が当てられるといったことを書きましたが、この引用文を見ていただければその意味がなんとなく分かっていただけるのではないかと思います。

ここでも、単に「犬小屋行きにならなくてよかった」と書かれているだけで、それ以上の情報はないので、「キムのご機嫌を損ねなくてよかった」や「キムをかんかんに怒らせなくてよかった」などの訳も可能ですが、ここでは「面目が丸つぶれにならなくてよかった」と訳されています。

実例2(パターン1):First Man: The Life of Neil A. Armstrong (2005)(邦題『ファースト・マン:初めて月に降り立った男、ニール・アームストロングの人生 上・下』、ジェイムズ・R・ハンセン = 著)より

In Rome, attending “an elegant party right out of La Dolce Vita at Gina Lollobrigida’s,” without his wife, Buzz did not return to their hotel room until after dawn and was “in the doghouse” for the rest of the day.
ローマではバズは、「ジーナ・ロロブリジーダの家で開かれた、映画『甘い生活』さながらの優雅なパーティー」に妻を連れずに出席した。ホテルの部屋に帰ってきたのは夜が明けてからで、その日は一日中「叱られていた」

引用元:
(英語原著)First Man: The Life of Neil A. Armstrong (2005) by James R. Hansen; Chapter 26: For All Mankind
(日本語版)『ファースト・マン:初めて月に降り立った男、ニール・アームストロングの人生 上・下』(ジェイムズ・R・ハンセン = 著、日暮雅通、水谷淳 = 訳)、河出書房新社(2019/1);下巻・第二六章(全人類のために)より
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

この「in the doghouse」も解釈が読み手に委ねられていて、さまざまな解釈が可能だと思いますが(ホテルの部屋を犬小屋にたとえているとしたら「一日中ホテルの部屋に閉じ込められて、一歩も外に出してもらえなかった」など)、ここでは「叱られていた」と訳されています。

実例3(パターン1):A Study in Charlotte (2016)(邦題『女子高生探偵シャーロット・ホームズの冒険(上・下)』、ブリタニー・カヴァッラーロ = 著)より

“His family is like a big deal — they have all this money, and we don’t, not anymore — so they got the charges dropped. But I was in the doghouse for months. The worst part of it was that he stopped talking to me.
「あいつは大物の家の子なんだ。その金の力で起訴は取り下げられたけど、おれは何ヵ月も肩身の狭い思いをした。最悪だったのは、あいつがおれと口をきかなくなったことさ。

引用元:
(英語原著)A Study in Charlotte (2016) by Brittany Cavallaro; eight
(日本語版)『女子高生探偵シャーロット・ホームズの冒険(上・下)』(ブリタニー・カヴァッラーロ = 著、入間眞 = 訳)、竹書房(2016/9);第八章より。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/12/20確認)。(Kindle Unlimited 無料体験
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

【単語ノート】
charge = 告発、告訴、非難

実例4(パターン1):Bad Soldier (2016)(邦題『血泥の戦場 : SAS部隊イラクIS司令官襲撃作戦(上・下)』、クリス・ライアン = 著)より

Barker and Connor were in the doghouse after the fuck-up with Kailash McCaffrey, but the general situation was too serious for anyone to be truly out in the cold. The security services needed all available personnel present.
バーカーとコナーはカイラス・マキャフリーをめぐる不手際から一時職務停止を命じられたが、この非常時に人を遊ばせておく余裕はなく、ふたたび猫の手も借りたい現場に駆り出された。

引用元:
(英語原著)Bad Soldier (2016) by Chris Ryan; TWENTY-THREE
(日本語版)『血泥の戦場 : SAS部隊イラクIS司令官襲撃作戦(上・下)』(クリス・ライアン = 著、石田享 = 訳)、竹書房(2019/3);第23章より。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/12/20確認)。(Kindle Unlimited 無料体験
(英語Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

【単語ノート】
fuck-up = へま、どじ
out in the cold = のけ者にされて

 

次は「その他」のパターン2です。

パターン2:その他

実例5(パターン2):Inside Apple: How America’s Most Admired — and Secretive — Company Really Works (2012)(邦題『インサイド・アップル』、アダム・ラシンスキー = 著)より

“I was very critical of Apple in the 1997 to 2000 time frame,” he recalled, and he eventually fell victim to the “long memory” of Steve Jobs. As Apple’s fortunes improved, including after Apple shifted to Intel chips for its Macintosh computers, Yoffie remained in the doghouse, despite having “changed my tune” and begun commenting positively on Apple.
「1997年から2000年にかけては、アップルに対してかなり批判的でした」
最終的にヨフィーは、ジョブズの「根に持つ性格」の餌食になった。マッキントッシュにインテルのチップを採用する決定も含めて、アップルの業績が上向きになってきたころ、ヨフィーは「態度を改め」、アップルに好意的なコメントを出しはじめたが、それでも不興を買っていた

引用元:
(英語原著)Inside Apple: How America’s Most Admired — and Secretive — Company Really Works (2012) by Adam Lashinsky; 6. Own Your Message
(日本語版)『インサイド・アップル』(アダム・ラシンスキー = 著、依田 卓巳 = 訳)、早川書房(2012/3);第6章(伝えるべきメッセージを選ぶ)より

【単語ノート】
fall victim to = …の犠牲になる
change one’s tune = がらりと態度を変える

実例6(パターン2):Agatha Christie: An autobiography (1977)(邦題『アガサ・クリスティー自伝』、アガサ・クリスティー = 著)より

‘You see,’ he said, ‘she always has favourites.’
‘Mrs Woolley?’
‘Yes. They don’t stay the same, you know. Sometimes one person, sometimes another. But, I mean, either everything you do is wrong, or everything is right. I’m the one in the doghouse at present.’
「彼女にはいつもお気に入りがあるんですよ」
「ウーリー夫人の?」
「そうです。いつも同じじゃないんです、それが。あるときはこの人、あるときはべつの人といったふうにね。だけど、つまり何でもかでもある人のすることはまちがいか、あるいは何でも正しいかなんですよ。今、ぼくは人気なしのほうなんです

引用元:
(英語原著)Agatha Christie: An autobiography (1977) by Agatha Christie; PART VIII SECOND SPRING
(日本語版)アガサ・クリスティー自伝〈上・下〉 (アガサ・クリスティー = 著、乾 信一郎 = 訳) 、早川書房(2004/10);下巻・第八部(二度目の春)より
(Audible版)Audible–完全版;サンプル再生時間4分51秒

In the doghouseのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

in the doghouse

in the doghouseのイメージ画像1

  • 由来:屋内で飼われている犬が家の中で悪さをした時に「お仕置き」として、その犬を家から追い出して戸外の粗末な犬小屋に入れる習慣から。あるいは1911年の小説『Peter and Wendy(ピーター・パンとウェンディ)』に出てくるウェンディの父・ダーリング氏が自分自身への「お仕置き」として自ら犬小屋の中で生活したことから。
  • 意味:(他人の)不興を買って、(他人の)機嫌を損ねて、(自分の)面目を失って
  • 英語による定義: in a situation where someone is angry with you because of your failure or wrong behaviour; in disgrace
  • 出現頻度:B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]
  • 出現パターン
    パターン1:be in the dog house(基本型・最頻出パターン)
    パターン2:その他
  • 例文
    Yesterday, I was in the doghouse for being late for an important meeting.
    昨日、私は重要な会議に遅れて皆の不興を買いました。
    I don’t know why, but it looks like I’m in the doghouse with her.
    なぜだかわかりませんが、彼女の機嫌を損ねてしまったようです。
    I was really in the doghouse with my wife when I forgot her birthday last year.
    去年、妻の誕生日を忘れた時には、彼女の機嫌を完全に損ねてしまいました。

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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