洋書に出てくる英語表現0139:overshoot the mark【おすすめ英語フレーズ編120】

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「洋書に出てくる英語表現」の第139回は、フレーズ編の第120回として「overshoot the mark」を取りあげます。

Overshoot the markの意味と由来

直訳すると、「的を飛び超える」となります。

「overshoot the mark」の「mark」は、前回取り上げた「hit the mark」と同じく、アーチェリー競技の「的(まと)」を指していて、この表現は放たれた矢が目標を外して的を飛び越えていく様子に由来します。そのように放たれた矢が的を外して「行き過ぎる」様子から、「overshoot the mark」は「(限度を超えて)やり過ぎる」や「(目標地点を超えて)行き過ぎる」を意味するフレーズとして使用されるようになりました。

目標地点を誤って通り過ぎてしまうような「物理的に行き過ぎる場合」にも、ある物事を調子に乗ってやりすぎてしまうような「行動が行き過ぎる場合」にも使用されます。

日本語では、「(限度を超えて)やり過ぎる」や「(目標地点を超えて)行き過ぎる」のほか、「(目標地点を)通り過ぎる」、「(目標を)飛び越える」などと訳されます。

Overshoot the markの英語による定義

go past the intended point; do something to a greater extent than needed

洋書におけるovershoot the markの出現頻度

B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]

(AAA[超高頻度]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

Overshoot the markの年代分布

1936年 – 2018年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1936年発行の『The Shadow Over Innsmouth(邦題:インスマウスの影)』(H.P.ラヴクラフト = 著)で、最も新しい洋書は2018年発行の『The Fourth Age(邦題:人類の歴史とAIの未来)』(バイロン・リース = 著)でした。

Overshoot the markの出現パターン

overshoot the markの用法に特に出現パターンと言えるような特別な型は見当たりません。

例文を挙げると次のようになります。

例文139-1)
Regular exercise is necessary to keep the body healthy, but we should be careful not to overshoot the mark.
体を健康に保つには定期的な運動が必要ですが、やりすぎには注意する必要があります。

洋書内の実例

overshoot the markのイメージ画像2です。

それでは、実際に洋書内にみられるovershoot the markの使用例を紹介していきます。

実例1:The Shadow Over Innsmouth (1936)(邦題『インスマウスの影』、H.P.ラヴクラフト = 著)より

In my donations I was careful not to overshoot the mark, for I did not wish Zadok’s vinous garrulousness to pass into a stupor.
もっとも、酒をおごるのはよいのだが、うっかり酒がききすぎて、ザドックがいい気持に酔っぱらって、つい眠ってしまうことのないようにわたしは気をつけた。

引用元:
(英語原著)The Shadow Over Innsmouth (1936) by Howard Phillips Lovecraft
(日本語版)『ラヴクラフト全集1』(H.P.ラヴクラフト = 著、大西尹明 = 訳)、東京創元社(1974/12);ラヴクラフト全集1より

【単語ノート】
vinous [váinəs] = ワインの、ワイン色の
garrulous [gǽrələs] = おしゃべりな、冗長な
stupor [stjúːpər] = 意識朦朧(の状態)

実例2:The Romanov Cross (2013)(邦題『ロマノフの十字架(上・下)』、ロバート・マセロ = 著)より

With no landmarks to go by, it was impossible to calculate the distance they’d traveled. All he could do was plow ahead and count on spotting the cove where the Kodiak was anchored; from there, he could easily find his way back into the cave. But if he missed it, or overshot the mark, both he and Eddie could wind up either lost in the storm, or worse.
道しるべもないので、どれだけ歩いてきたか見当もつかなかった。とにかくコディアック号が座礁した地点をめざして進むしかない。そこから洞窟まではすぐだ。だが、気づかずに通り過ぎたりすると、悪天候の中で道に迷って、ヤバいことになる。

引用元:
(英語原著)The Romanov Cross (2013) by Robert Masello; Chapter 39
(日本語版)『ロマノフの十字架(上・下)』(ロバート・マセロ = 著、石田享 = 訳)、竹書房(2014/12);39(強奪)より。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/11/13確認)。(Kindle Unlimited 無料体験

【単語ノート】
landmarks = 目印;歴史的建造物;画期的な出来事
plow ahead = 進む

実例3:The Fourth Age (2018)(邦題『人類の歴史とAIの未来』、バイロン・リース = 著)より

COMPUTER: I am the world’s first fully conscious computer.
コンピュータ:私は世界初の、意識を持つコンピュータです。

CHIEF PROGRAMMER: Ummmm. Well, not exactly. You are a computer running sophisticated AI software designed to give you the illusion of consciousness.
チーフプログラマー:うーん、正確にはちょっと違います。あなたは、あなたに意識という幻想を与えるよう設計された、極めて高性能なAIソフトウェアを実行するコンピュータです。

COMPUTER: Well, someone deserves a little something extra in their paycheck this week, because you guys overshot the mark. I actually am conscious.
コンピュータ:おや、どうやら誰か、今週の報酬にボーナスを上乗せしてもらえる人がいるようですね。あなた方は目標を飛び越えたようです。私には、実際に意識があるのです。

引用元:
(英語原著)The Fourth Age (2018) by Byron Reese; 18. Consciousness
(日本語版)『人類の歴史とAIの未来』(バイロン・リース = 著、古谷美央 = 訳)、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2019/4);18(意識)より
(英語Audible版)Audible-完全版Kindle Unlimited 無料体験);サンプル再生時間5分1秒

実例4:Paranormality: Why We See What Isn’t There (2011)(邦題『超常現象の科学 : なぜ人は幽霊が見えるのか』、リチャード・ワイズマン = 著)より

In another study Wegner asked golfers to try to putt a ball onto a spot, and discovered that asking participants not to overshoot the mark made them especially likely to hit the ball too hard.
ウェグナーはある実験で、ゴルファーにグリーン上のボールをホールに向けて打ってもらった。そして目標地点を越えないように念を押すと、かえってゴルファーがボールを強く打ちすぎることを発見した。

引用元:
(英語原著)Paranormality: Why We See What Isn’t There (2011) by Richard Wiseman; 4. TALKING WITH THE DEAD
(日本語版)『超常現象の科学 : なぜ人は幽霊が見えるのか』(リチャード・ワイズマン = 著、木村博江 = 訳)、文藝春秋(2012/2);第4章(霊媒師のからくり)より
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験

【単語ノート】
putt = ゴルフのパットを打つ

上記英文では、1990年代にハーバード大学の心理学者ダニエル・ウェグナーが発見した「反動効果(rebound effect)」について記載されています。

「反動効果」とは、何かについて考えまいとすると、かえってそのことばかり考えてしまう現象のことです。ウェグナーはこうした反動効果は運動面にも働くのではないかと考え、さまざまな実験を行いました。その実験の1つが上記引用文に記載されているゴルフのパットに関する実験で、ゴルファーに対して「目標地点を越えないように」指示してからパットを打ってもらうと、かえってボールを強く打ってしまうという部分が「overshoot the mark」を用いて表現されています。

実例5:NIGEL MANSELL: My Autobiography (1995)(邦題『全開 マンセル自伝』、ナイジェル・マンセル + ジェイムス・アレン = 著)より

I took the lead from Gerhard on lap 24 and everything was looking good. As long as I had a decent tyre stop I would be in good shape to win. Unfortunately, there was confusion in the pits and I overshot my pit stop mark.
24周目にはゲルハルトから首位を受け継ぎ、すべて問題なさそうで、タイヤ交換さえうまくすませられれば、いい形で優勝できそうだった。でもその時ピットロードが混雑していたせいで、私は自分のピットストップの目印を通り越してしまった

引用元:
(英語原著)NIGEL MANSELL: My Autobiography (1995) by Nigel Mansell OBE with James Allen; 19 PROBLEMS WITH PROST
(日本語版)『全開 マンセル自伝』(ナイジェル・マンセル + ジェイムス・アレン = 著、熊倉重春 = 訳)、二玄社(1996/10);第19章(プロストとのいざこざ)より

この英文は、1989年のF1ポルトガルグランプリについて記載したものです。当時フェラーリのドライバーだったナイジェル・マンセルは、このレースの40周目にタイヤ交換のためにピットインしたものの、誤ってフェラーリのピットを「通り越して」しまい、上記引用文ではこの点が「overshoot the mark」を用いて表現されています。

マンセルは、その後バックギアに入れてフェラーリのピットまで戻り、タイヤ交換を行ってコースに戻りますが、マンセルはこの行為により失格となり、黒旗が提示されます。しかし、マンセルは黒旗を無視して走り続け、最終的に前を走るセナと接触してしまい、セナをリタイアに追い込みます。

マンセルによると、時速320 kmで走っている時に黒旗など見えないとのことだったのですが、マンセルには5万ドルの罰金と次戦のスペイングランプリへの出場停止の処分が課せられたということです。

Overshoot the markのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

overshoot the mark

overshoot the markのイメージ画像1です。

  • 由来:アーチェリー競技で放たれた矢が目標を外して的を飛び越えていく様子から。
  • 意味:(限度を超えて)やり過ぎる、(目標地点を超えて)行き過ぎる、(目標地点を)通り過ぎる、(目標を)飛び越える
  • 英語による定義:go past the intended point; do something to a greater extent than needed
  • 出現頻度:B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]
  • 出現パターン:特に出現パターンと言えるような特別な型は見当たりません。
  • 例文
    Regular exercise is necessary to keep the body healthy, but we should be careful not to overshoot the mark.
    体を健康に保つには定期的な運動が必要ですが、やりすぎには注意する必要があります。

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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