洋書に出てくる英語表現0130:eat someone’s dust【おすすめ英語フレーズ編113】

「洋書に出てくる英語表現0130:eat someone’s dust【おすすめ英語フレーズ編113】」のアイキャッチ画像

「洋書に出てくる英語表現」の第130回は、フレーズ編の第113回として「eat someone’s dust」を取りあげます。

Eat someone’s dustの意味と由来

直訳すると、「埃を食べる」となります。

この表現は、自動車レースや競馬などで後ろを走る車や馬が前を走る車や馬の巻き上げる埃を浴びながら走る様子に由来します。そのように前の車や馬に遅れをとって埃を浴びながら走れば、ドライバーやジョッキーは息を吸うたびに「埃を食べる」ような状態になることから、「eat someone’s dust」は「遅れをとる」を意味するフレーズとして使用されるようになりました。

レースで競争相手の巻き上げる「埃を食べる」のは競争相手から少し遅れて並走しているような場合ではなく、競争相手から完全に遅れて後ろを走っているような場合であることから、この表現は単に「遅れをとる」のではなく「大きく」遅れを取ることを意味する場合が多いのが特徴と言えます。

レースなどで実際に競争相手の物理的な後ろを走っている場合に使用されることもあれば、成績や計画の進み具合などが競争相手に比べて遅れている場合に使用されることもあります。

日本語では「(大きく)遅れをとる」のほか、「後塵を拝する」などと訳されます。

Eat someone’s dustの英語による定義

fall (far) behind someone

洋書におけるeat someone’s dustの出現頻度

B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]

(AAA[超高頻度]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

Eat someone’s dustの年代分布

1977年 – 2018年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1977年発行の『ENDER’S GAME(邦題:エンダーのゲーム)』(オースン・スコット・カード = 著)で、最も新しい洋書は2018年発行の『Alita: Battle Angel – The Official Movie Novelization(邦題:アリータ : バトル・エンジェル)』(パット・カディガン = 著)でした。

Eat someone’s dustの出現パターン

eat someone’s dustの出現パターンは主に以下の2つに分類することができます。

パターン1:eat someone’s dust(基本型・最頻出パターン)
パターン2:leave someone eating someone’s dust
*いずれの場合も「someone’s dust」の代わりに「the dust」が使用されることがあります

パターン1は「eat someone’s dust」の形で「後塵を拝する」を意味する基本型で、例文をあげると次のようになります。

例文130-1)
He was head and shoulders above the rest in the race, so we had to eat his dust.
そのレースで、彼は頭一つ抜けていたので、我々は彼の後塵を拝さなければなりませんでした。

head and shoulders aboveについては以下の記事で詳しく解説しています。

パターン2は「leave someone eating someone’s dust」の形で「抜き去る」や「後塵を拝させる」(= make/let someone eat someone’s dust)を意味するもので、例文をあげると次のようになります。

例文130-2)
I hit the gas pedal and left him eating my dust.
私はアクセルを踏んで、彼を抜き去りました。

例文130-3)
The Yomiuri Giants won the pennant this year, leaving the other teams eating the dust.
今年は、読売巨人軍が他のチームを大きく引き離してぶっちぎりで優勝しました。

洋書内の実例

eat someone's dustのイメージ画像2です。

それでは、実際に洋書内にみられるeat someone’s dustの使用例を紹介していきます。

 

まずは、パターン1から紹介します。

パターン1:eat someone’s dust(基本型・最頻出パターン)

実例1(パターン1):JENSON BUTTON: LIFE TO THE LIMIT (2017)(邦題『ジェンソン・バトン自伝 ライフ・トゥ・ザ・リミット』、ジェンソン・バトン = 著)より

I’d end the weekend standing on a podium, golden boy grinning from ear to ear, trophy held aloft. ‘Eat my dust.’
僕は週末には表彰台に立ち、満面の笑みを浮かべてトロフィーを掲げるゴールデンボーイだった。誰にも負けない、という気持ちになれた。

引用元:
(英語原著)JENSON BUTTON: LIFE TO THE LIMIT (2017) by Jenson Button; PART ONE
(日本語版)『ジェンソン・バトン自伝 ライフ・トゥ・ザ・リミット』(ジェンソン・バトン = 著、児島 修 = 訳)、東洋館出版社(2019/4);第一部(父と息子の冒険の始まり)より
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

【単語ノート】
podium = 演壇、表彰台

この英文の主語である「I」は、2009年にワールドチャンピオンを獲得した元F1ドライバーのジェンソン・バトンを指しています。

小学生から中学生にかけてのバトンは、週末に参戦していたカートレースの世界では将来有望なゴールデンボーイだったものの、平日の学校生活ではパッとしない生徒であったため、毎週日曜日の夜になると明日からまた学校に行かなければならないという憂鬱な気分に襲われていたといいます。

胸踊る高揚感に満たされる週末のレースと、ボール扱いが下手でサッカーチームのメンバー選びでも煙たがられるような存在だった学校生活とのギャップは激しく、毎週の日曜日から月曜日にかけての変化は「ヒーローからゼロへ」という表現がぴったりでした。

上記引用文は、こうしたバトンの少年時代の「ヒーロー」の部分を記載したもので、週末には「誰にも負けない」という気持ちであったことが「Eat my dust.」と表現されています。

「grin from ear to ear」という表現にも注目してください。口の両端が一方の耳からもう一方の耳に届くくらいに口を左右に大きく広げて笑う様子に由来する表現で、「満面の笑みを浮かべる」を意味します。

実例2(パターン1):Necessary but Not Sufficient (2000)(邦題『チェンジ・ザ・ルール!:なぜ、出せるはずの利益が出ないのか』、エリヤフ・ゴールドラット = 著)より

The Irishman nods, “Seriously, the competition is going to eat our dust.”
ショーンも同感らしい、横でうなずいている。「確かに、他社はびっくりすると思いますよ

引用元:
(英語原著)Necessary but Not Sufficient (2000) by Eliyahu M. Goldratt with Eli Schragenheim and Carol A. Ptak; Chapter 4 APRIL 30, 1998
(日本語版)『チェンジ・ザ・ルール!:なぜ、出せるはずの利益が出ないのか』(エリヤフ・ゴールドラット = 著、三本木亮 = 訳)、ダイヤモンド社(2002/10);3 April 30, 1998より

「competition」は「競争」という意味で使用されることもあれば、この英文のように「競争相手」という意味で使用されることもあります。

この文章は直訳すると「競争相手は我々の後塵を拝することになる」となり、ここでは「他社はびっくりすると思いますよ」という文脈に沿った訳が当てられています。

実例3(パターン1):The Devil Colony (2011)(邦題『ジェファーソンの密約(上・下)』、ジェームズ・ロリンズ = 著)より

Kai raced after Jordan through Buckhorn Wash. He rode a black four-wheel all-terrain vehicle while she pursued him in a white one. She kept low, swerving right and left, looking for a break so she could pass him, eating too much of his dust.
カイはバックホーン・ウォッシュを疾走するジョーダンの後を追っていた。ジョーダンが乗るのは黒の四輪バギー、カイのは白のバギーだ。低い姿勢で右や左にハンドルを切り、ジョーダンのバギーがたてる土ぼこりを浴びながらも、追い抜く機会をうかがう

引用元:
(英語原著)The Devil Colony (2011) by James Rollins; Chapter 23
(日本語版)『ジェファーソンの密約(上・下)』(ジェームズ・ロリンズ = 著、桑田健 = 訳)、竹書房(2014/11);23より。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/10/28確認)。(Kindle Unlimited 無料体験
(英語Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験

【単語ノート】
terrain = 地形(all-terrain vehicleはあらゆる地形に対応可能な乗り物という意味で、ここでは「バギー」と訳されています)
swerve = 急に向きを変える

実例4(パターン1):Map of Bones (2005)(邦題『マギの聖骨(上・下) 』、ジェームズ・ロリンズ = 著)より

“I’m done following the bastards. We need to pass them. Let them eat our dust for a change.”
「連中を追いかけるのはもううんざりだ。やつらを追い越さないといけない。今度は先回りしてやろうじゃないか

引用元:
(英語原著)Map of Bones (2005) by James Rollins; 7 ROLLING THE BONES
(日本語版)『マギの聖骨(上・下)』(ジェームズ・ロリンズ = 著、桑田健 = 訳)、竹書房(2012/7);7(骨の謎)より。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/10/28確認)。(Kindle Unlimited 無料体験
(英語Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

【単語ノート】
for a change = 気晴らしに、憂さ晴らしに、趣向を変えて

 

次は「leave someone eating someone’s dust」の形で「抜き去る」や「後塵を拝させる」を意味するパターン2です。

パターン2:leave someone eating someone’s dust

実例5(パターン2):The Difference Engine (1990)(邦題『ディファレンス・エンジン』、ウィリアム・ギブスン、ブルース・スターリング = 著)より

When we go to Epsom Downs, and this machine of ours leaves the competitors eating her dust, the gentry will stand in queues for the famous work of the Vapor Mechanics.’
わしらがエプソム・ダウンズに行って、この機械が競争相手に後塵を拝させたら、紳士階級は列をなして気体職人の有名な製品を買い求めますぞ』とな。

引用元:
(英語原著)The Difference Engine (1990) by William Gibson & Bruce Sterling; SECOND ITERATION Derby Day
(日本語版)『ディファレンス・エンジン』(ウィリアム・ギブスン、ブルース・スターリング = 著、黒丸尚 = 訳)、角川書店(1991/6);上巻・第二の反復(ダービイの競馬日)より
(英語Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

【単語ノート】
gentry = 紳士階級(上流階級)の人たち
queue = 列

実例6(パターン2):Alita: Battle Angel – The Official Movie Novelization (2018)(邦題『アリータ : バトル・エンジェル』、パット・カディガン = 著)より

“A double-spin kick from Ajakutty sends Claymore into the boards while Crimson Wind leaves them both eating her dust — and here comes Jashugan!”
「アジャカティの放ったダブル・スピンキックでクレイモアがボードに激突! 隙を突いて〝真紅の疾風(クリムゾンウィンド)〟が一気に抜き去った! さあ、ジャシュガン登場!」

引用元:
(英語原著)Alita: Battle Angel – The Official Movie Novelization (2018) by Pat Cadigan; CHAPTER 11
(日本語版)『アリータ : バトル・エンジェル』(パット・カディガン = 著、入間眞 = 訳)、竹書房(2019/2);第十一章より

“Word on the street is she’s a pretty good Motorball player. Left a lot of guys eating her dust.” As if she were the talk of the town.
「小耳にはさんだんだが、モーターボールがかなりうまいそうだな。男どもをぶっちぎるらしいじゃないか」あたかも町中の噂になっているように話す。

引用元:
(英語原著)Alita: Battle Angel – The Official Movie Novelization (2018) by Pat Cadigan; CHAPTER 17
(日本語版)『アリータ : バトル・エンジェル』(パット・カディガン = 著、入間眞 = 訳)、竹書房(2019/2);第十七章より。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/10/28確認)。(Kindle Unlimited 無料体験
(英語Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

【単語ノート】
talk of the town = 町中の噂、町中の話題、持ちきりの話題

「word on the street」という表現にも注目してください。直訳すると「路上の言葉」となるこの表現は「巷(ちまた)に広まっている噂」を意味し、この引用文のように「Word on the street is (that) …」の形で使用された場合には「巷の噂によると…」や「小耳に挟んだところによると…」を意味します。

Eat someone’s dustのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

eat someone’s dust

eat someone's dustのイメージ画像1です。

  • 由来:自動車レースや競馬などで後ろを走る車や馬が前を走る車や馬の巻き上げる埃を浴びながら走る様子から。
  • 意味:(大きく)遅れをとる、後塵を拝する
  • 英語による定義:fall (far) behind someone
  • 出現頻度:B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]
  • 出現パターン
    パターン1:eat someone’s dust(基本型・最頻出パターン)
    パターン2:leave someone eating someone’s dust
    *いずれの場合も「someone’s dust」の代わりに「the dust」が使用されることがあります
  • 例文
    He was head and shoulders above the rest in the race, so we had to eat his dust.
    そのレースで、彼は頭一つ抜けていたので、我々は彼の後塵を拝さなければなりませんでした。
    I hit the gas pedal and left him eating my dust.
    私はアクセルを踏んで、彼を抜き去りました。
    The Yomiuri Giants won the pennant this year, leaving the other teams eating the dust.
    今年は、読売巨人軍が他のチームを大きく引き離してぶっちぎりで優勝しました。

例文内で使用したhead and shoulders aboveについては以下の記事で詳しく解説していますので、是非あわせてお読みください。

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

☆☆いつも応援ありがとうございます☆☆
にほんブログ村 英語ブログ 洋書・洋楽の英語へ
にほんブログ村

英語ランキング