洋書に出てくる英語表現0076:shrinking violet【おすすめ英語フレーズ編59】

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「洋書に出てくる英語表現」の第76回は、フレーズ編の第59回として「shrinking violet」を取りあげます。

Shrinking violetの意味と由来

スミレ(violet)は、道端や日陰に隠れてひっそりと咲いているイメージから、西洋では昔から奥ゆかしさや謙虚さの象徴とされてきました。この奥ゆかしさや謙虚さの象徴とされる「violet」を「shrinking」で修飾したのが「shrinking violet」で、直訳すると「しおれかけのスミレ」となります。

「shrink」には「縮む」以外にも「尻込みする」や「ひるむ」という意味がありますので、「shrinking violet(しおれかけのスミレ)」は「尻込みしているスミレ」と訳すこともできます。

元々奥ゆかしさや謙虚さの象徴で日陰にひっそりと咲いているスミレが、さらに尻込みして奥に引っ込んでいる様子から、「shrinking violet」は「非常に恥ずかしがりで引っ込み思案の人」を意味するフレーズとして使用されるようになりました。

日本語では、「恥ずかしがり屋」、「はにかみ屋」、「引っ込み思案(の人)」、「内気(な人)」などと訳されます。

Shrinking violetの英語による定義

very shy person

洋書におけるshrinking violetの出現頻度

B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]

(AAA[超高頻度]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

Shrinking violetの年代分布

1929年 – 2017年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1929年発行の『The Roman Hat Mystery(邦題:ローマ劇場毒殺事件)』(エラリー・クイーン = 著)で、最も新しい洋書は2017年発行の『The Demon Crown(邦題:スミソニアンの王冠(上・下))』(ジェームズ・ロリンズ = 著)でした。

このように当ブログの調査では1929年が最も古い使用例でしたが、複数の英文資料にも、この表現は1900年代初期に使用され始めたことが記載されています。

Shrinking violetの出現パターン

shrinking violetの用法に特に出現パターンと言えるような特別な型は見当たりません。

例文を挙げると次のようになります。

例文76-1)
I felt so out of place and became a shrinking violet at the party.
私は、そのパーティーでとても場違いに感じて、引っ込み思案になってしまいました。

例文76-2)
He is very quiet but not a shrinking violet. He talks a lot when necessary.
彼はとても静かですが、引っ込み思案な人ではありません。必要な時にはよく喋りますよ。

洋書内の実例

shrinking violetのイメージ画像2です。

それでは、実際に洋書内にみられるshrinking violetの使用例を紹介していきます。

実例1:KILLING KENNEDY: The End of Camelot (2012)(邦題『ケネディ暗殺 50年目の真実』、ビル・オライリー&マーティン・デュガード = 著)より

But Marina is no shrinking violet. She screams at him for not making enough money and complains that he is indifferent to her.
だが、当のマリーナも大人しく黙っていない。オズワルドに向かって稼ぎが少ないと金切り声を上げ、自分に関心を払わないと文句を言う。

引用元:
(英語原著)KILLING KENNEDY: The End of Camelot (2012) by Bill O’Reilly and Martin Dugard; Chapter 6
(日本語版)『ケネディ暗殺 50年目の真実』(ビル・オライリー&マーティン・デュガード = 著、江口泰子 = 訳)、講談社(2013/11);第6章より引用

【単語ノート】
scream = 金切り声を上げる
be indifferent to = …に無関心である

「オズワルド」とは、アメリカのケネディ大統領暗殺の実行犯であるリー・ハーヴェイ・オズワルドのことで、「マリーナ」とはオズワルドの妻のマリーナ・オズワルドを指しています。

オズワルドは、偉そうに振る舞うのが好きで、時には自分の権力を確かめるために妻のマリーナを怒りに任せて殴ることもあったと言います。

そのような流れで出てくるのがこの引用文で、妻のマリーナはそのようなオズワルドの態度に対して大人しく黙っていたわけではなかったという部分が「shrinking violet」を用いて表現されています。

実例2:Journey Of Souls (1994)(邦題『死後の世界が教える「人生はなんのためにあるのか」退行催眠による「生」と「生」の間に起こること』、マイケル・ニュートン = 著)より

Dr. N: I’m hearing a lot of self-gratification here, Allum.
ニュートン  アラム、どこまで自慢話を続けるつもりですか。

S: (defensively) And what’s wrong with that? Our group is not made up of shrinking violets, you know!
被験者  (弁解するように)それのどこがいけないんですか。私たちのグループはしなびたナスみたいな連中とは違うんですよ!

引用元:
(英語原著)Journey Of Souls (1994) by Michael Newton; The Intermediate Soul
(日本語版)『死後の世界が教える「人生はなんのためにあるのか」退行催眠による「生」と「生」の間に起こること』(マイケル・ニュートン = 著、澤西康史 = 訳)、パンローリング (2013/3);第九章(若い魂)より引用。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/8/11確認)。(Kindle Unlimited 無料体験

【単語ノート】
self-gratification = 自己満足

実例3:Barca: The Making of the Greatest Team in the World (2012)(邦題『FCバルセロナの語られざる内幕 サッカー史上最強クラブはこうして誕生した』、グレアム・ハンター = 著)より

Though the Barca players largely followed the club’s orders in not sniping at Madrid, not entering into the traps Mourinho was laying for them, these are warriors, not shrinking violets.
バルサの選手たちは、レアルを中傷することを禁じたクラブの命令に従ってモウリーニョが仕掛けたワナにはまらずにいたが、真の姿は勇敢な戦士であり、尻込みしていたわけではなかった

引用元:
(英語原著)Barca: The Making of the Greatest Team in the World (2012) by Graham Hunter; 1 – THE ROAD TO WEMBLEY
(日本語版)『FCバルセロナの語られざる内幕 サッカー史上最強クラブはこうして誕生した』(グレアム・ハンター = 著、松宮寿美 = 訳)、SBクリエイティブ(2012/11);第1章(ウェンブリーへの道)より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間約5分

【単語ノート】
snipe at = (…を)けなす、中傷する(スナイパーのsnipe [snaɪp] で「狙撃する」という意味もあります)

2010年にレアル・マドリードの監督に就任したジョゼ・モウリーニョは、バルセロナが審判から有利な判定を受けていると発言するなど、バルセロナに対して失礼な言動を繰り返していて、この引用文では、そうしたモウリーニョの言動が「ワナ(traps)」と表現されています。

バルセロナの選手たちは、クラブの命令に従ってモウリーニョの仕掛けた「ワナ」にはまらないようにしていたが、「尻込みしていたわけではなかった」という部分が「shrinking violet」を用いて表現されています。

実例4:ALEX FERGUSON: My Autobiography (2013)(邦題『アレックス・ファーガソン自伝』、アレックス・ファーガソン = 著より)

After the game I also said: ‘They can’t be shrinking violets here. They have to be men, and they were men that night.’
試合後に私はこうも言った。
腰の引けた戦いをするわけにはいかない。男らしく戦うんだ。今夜の選手たちは立派な男だった」

引用元:
(英語原著)ALEX FERGUSON: My Autobiography (2013) by Alex Ferguson; 17. One Night in Moscow
(日本語版)『アレックス・ファーガソン自伝』(アレックス・ファーガソン =著、小林玲子 = 訳)、日本文芸社(2014/5);第17章(モスクワの夜)より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);

「私」は、イングランドのプレミアリーグの名門マンチェスター・ユナイテッドFCの監督を27年間つとめたアレックス・ファーガソンを指しています。

この引用文は、2008年のUEFAチャンピオンズリーグ準決勝でスペインのFCバルセロナに勝利した試合後のアレックス・ファーガソンのコメントで、「They can’t be shrinking violets here」が「腰の引けた戦いをするわけにはいかない」と訳されています。

実例5:BANZAI BABE RUTH: Baseball, Espionage, & Assassination during the 1934 Tour of Japan (2012)(邦題『大戦前夜のベーブ・ルース:野球と戦争と暗殺者』、ロバート・K・フィッツ = 著)より

After dinner Averill trudged into his room, ready for sleep. The maid, the innkeeper’s daughter, followed him. As he turned to face her she reached out and tried to unbutton his overcoat. Startled, the burly slugger, who Stuart Bell noted “hasn’t the reputation of being exactly a shrinking violet with women, … brushed her hands aside.”
夕食の後、アベリルは疲れた足を引きずり、就寝のため自分の部屋に入った。すると、女中として働いている宿屋の主人の娘がついてきた。アベリルが女中のほうに顔を向けると、女中は手を伸ばし、彼のコートのボタンを外そうとする。アベリルはびっくりした。スチュワート・ベルはこう記している。
「アベリルははにかみ屋と言われたことなどまるでない男だったが……思わず女中の手を振り払った」。

引用元:
(英語原著)BANZAI BABE RUTH: Baseball, Espionage, & Assassination during the 1934 Tour of Japan (2012) by Robert K. Fitts; 15
(日本語版)『大戦前夜のベーブ・ルース:野球と戦争と暗殺者』(ロバート・K・フィッツ = 著、山田美明 = 訳)、原書房(2013/10);第15章(函館 仙台)より引用
(英語Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間4分53秒

【単語ノート】
trudge [trʌʤ] = 重い足取りで歩く

「アベリル」とは、1934年に行われた全米野球チームの日本遠征に参加したアール・アベリル選手を指しています。アベリルら全米野球チームの一行は、日本遠征中に福井館という日本旅館に泊まったのですが、その旅館では、選手達が夜寝る前に女中が選手のコートや靴、靴下を脱がせてくれ、朝にも再び女中がやってきて着替えの手伝いをしてくれたといいます。この引用文は、女性にいきなり服を脱がされたアベリル選手の戸惑いが記載されていて、「shrinking violet」が「はにかみ屋」と訳されています。

朝食時にアベリル選手がこの体験を周りに話したところ、他の選手達も同じ様な体験をしていたということです。

実例6:The Demon Crown (2017)(邦題『スミソニアンの王冠(上・下)』、ジェームズ・ロリンズ = 著)より

Kat continued, “Thanks for expediting a medical team to the tarmac. Monk was worried about her blood pressure, but she seems to have shaken off the drug’s effects. She insists that she’s good to keep going.”
キャットの説明は続いている。「滑走路に医療チームを派遣していただいて助かりました。モンクは彼女の血圧を心配していましたが、どうやら薬の影響はほとんど残っていないみたいです。彼女はこの先も同行すると言い張っています」

“I’m not surprised. The woman didn’t strike me as a shrinking violet.
「それには驚かないな。ちょっとやそっとのことではひるまない女性だという印象だったし

引用元:
(英語原著)The Demon Crown (2017) by James Rollins; 22
(日本語版)『スミソニアンの王冠(上・下)』(ジェームズ・ロリンズ = 著、桑田健 = 訳)、竹書房(2019/3);22より引用。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/8/11確認)。(Kindle Unlimited 無料体験
(英語Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

【単語ノート】
tarmac [ˈtɑrˌmæk] = 滑走路、駐機場

Shrinking violetのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

shrinking violet

shrinking violetのイメージ画像1です。

  • 由来:元々奥ゆかしさや謙虚さの象徴で日陰にひっそりと咲いているスミレ(violet)が、さらに尻込みして奥に引っ込んでいる様子から(shrinkには「縮む」以外にも「尻込みする」や「ひるむ」という意味があります)。
  • 意味:恥ずかしがり屋、はにかみ屋、引っ込み思案の人、内気な人
  • 英語による定義: very shy person
  • 出現頻度:B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]
  • 出現パターン:出現パターンと言えるような特別な型は見当たりません。
  • 例文
    I felt so out of place and became a shrinking violet at the party.
    私は、そのパーティーでとても場違いに感じて、引っ込み思案になってしまいました。
    He is very quiet but not a shrinking violet. He talks a lot when necessary.
    彼はとても静かですが、引っ込み思案な人ではありません。必要な時にはよく喋りますよ。

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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