洋書に出てくる英語表現0065:out of one’s depth【おすすめ英語フレーズ編48】

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「洋書に出てくる英語表現」の第65回は、フレーズ編の第48回として「out of one’s depth」を取り挙げます。

目次
  1. Out of one’s depthの意味と由来
  2. Out of one’s depthの英語による定義
  3. 洋書におけるout of one’s depthの出現頻度
  4. Out of one’s depthの年代分布
  5. Out of one’s depthの出現パターン
  6. 洋書内の実例
    1. 実例1(パターン1):”Surely You’re Joking, Mr. Feynman”: Adventures of a Curious Character (1985)(邦題『ご冗談でしょう、ファインマンさん—ノーベル賞物理学者の自伝〈1・2〉』、リチャード P. ファインマン = 著)より
    2. 実例2(パターン1):The Second Coming of Steve Jobs (2000)(邦題『スティーブ・ジョブズの再臨 世界を求めた男の失脚、挫折、そして復活』、アラン・デウッチマン = 著)より
    3. 実例3(パターン1): Audrey Hepburn (1996)(邦題『オードリー・ヘップバーン[上・下]』、永井淳=訳)より
    4. 実例4(パターン1):ENDER’S GAME (1977, 1985)(邦題『エンダーのゲーム』、オースン・スコット・カード = 著)より
    5. 実例5(パターン1):Memoirs of Sherlock Holmes (1894)(邦題『ホームズの回想』、コナン・ドイル = 著)より
    6. 実例6(パターン2):You Never Give Me Your Money: THE BATTLE FOR THE SOUL OF THE BEATLES (2009)(邦題『ザ・ビートルズ 解散の真実』、ピーター・ドゲット = 著)より
    7. 実例7(パターン2):JENSON BUTTON: LIFE TO THE LIMIT (2017)(邦題『ジェンソン・バトン自伝 ライフ・トゥ・ザ・リミット』、ジェンソン・バトン = 著)より
    8. 実例8(パターン2): Audrey Hepburn (1996)(邦題『オードリー・ヘップバーン[上・下]』、永井淳=訳)より
    9. 実例9(パターン2):Barca: The Making of the Greatest Team in the World (2012)(邦題『FCバルセロナの語られざる内幕 サッカー史上最強クラブはこうして誕生した』、グレアム・ハンター = 著)より
    10. 実例10(パターン3):The Greek Coffin Mystery (1932)(邦題『ギリシア棺謀殺事件』、エラリー・クイーン = 著)より
  7. Out of one’s depthのまとめ

Out of one’s depthの意味と由来

まず、次の文章を見て下さい。

He felt a curious mixture of elation and fear, such as he had not known since he had learned to swim and found himself for the first time, in water out of his depth.
彼は水泳をおぼえたころに、生まれてはじめて背の立たないところに出てしまったとき以来感じたことのないような、喜びと恐怖のいりまじった奇妙な心境だった。

引用元:
(英語原著)The Fountains of Paradise (1979) by Arthur C. Clarke; 56. View from the Balcony
(日本語版)『楽園の泉』(アーサー・C.クラーク = 著、山高昭 = 訳)、早川書房(1980/12);56(バルコニーからの眺め)より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間3分8秒

【単語ノート】
elation = 高揚感、気持ちの高まり

1979年に出版されたアーサー・C.クラークの『The Fountains of Paradise(邦題:楽園の泉)』からの引用です。

この引用文にあるように、「out of one’s depth」は海やプールなどの水中で足のつかない深いところにいる、つまり「背の立たない所にいる」ことを意味するフレーズです。

今回取り上げるのはこの「out of one’s depth」を比喩的な意味で使用するもので、ほとんど又は全く泳げない人がこのように水中で足のつかない深いところにいるのは、その人の対処できる能力の範囲を超えていることから、「out of one’s depth」は「(人)の力量の及ばない」や「(人)の理解の範囲を超えている」を意味するフレーズとして広く使用されるようになりました。

日本語では、「(人)の能力の及ばない」、「手に余る」、「背のびをした」、「実力不足である」、「背が立たない深みにはまり込んだ」などと訳されます。

Out of one’s depthの英語による定義

in a situation that is beyond one’s ability

洋書におけるout of one’s depthの出現頻度

AAA[超高頻度:極めて高い頻度で洋書に出てくる必須の英語表現](beyond one’s depthはC頻度)

(AAA[超高頻度]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

Out of one’s depthの年代分布

1839年 – 2019年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1839年発行の『The Fall of the House of Usher(邦題:アッシャー家の崩壊)』(ポー = 著)で、最も新しい洋書は2019年発行の『Weathering With You(日本語原著:小説 天気の子)』(新海誠 = 著)でした。

Out of one’s depthの出現パターン

out of one’s depthの出現パターンは主に以下の3つに分類することができます。

パターン1:be out of one’s depth(基本型・最頻出パターン)
パターン2:feel out of one’s depthなどbe動詞以外の動詞を使うもの
パターン3:beyond one’s depth

パターン1は、out of one’s depthをbe動詞とともに用いる基本型で、このパターンが最も多く見られます。

例文65-1)
I will be out of my depth in this class, because this curriculum is for university students.
このカリキュラムは大学生向けなので、このクラスだとおちこぼれてしまいます。

パターン2は、out of one’s depthをbe動詞以外の動詞とともに用いるものです。最も高頻度に使用される動詞はfeelで、feel以外にもlook、seem、getなどがよく使用されます。

例文65-2)
I always feel out of my depth when I’m taking Math class.
数学の授業を受けている時には、いつも自分の力が不足していると感じます。

例文65-3)
I got out of my depth as soon as the expert started to talk, because I just had superficial understanding of the problem.
私は、その問題を表面的にしか理解していなかったので、専門家が話し始めると、すぐについていけなくなりました。

パターン3は「out of」のかわりに「beyond」を使用するものです。「out of one’s depth」と「beyond one’s depth」の間に意味の違いはありませんが、使用頻度は「out of one’s depth」の方が圧倒的に高く、また「beyond one’s depth」は1900年代前半の使用例が多く、新しめの書籍ではあまり使用されていないのが特徴です。

パターン1 – 3に共通する用法上の注意点としては、基本的に「人が主語になる」ことが挙げられます。

例えば、次の例文を見てください

Richard Phillips Feynman is a Nobel Prize-winning physicist, but applied economics is out of his depth.(△)
リチャード P. ファインマンはノーベル賞物理学者ですが、応用経済学となると彼の手に余ります

この文章では「applied economics(応用経済学)」がout of his depthの主語となっています。このような使用例も全くないわけではないので、文法的には間違いではないと思うのですが、出現頻度としてはかなり低く、割合で言えば「人」が主語になる使用例が95%以上で、「手に余る物事」が主語になる使用例は5%未満です。また、「手に余る物事」が主語になっている文章は1800年代や1900年代初頭のものが多かったので、文法的に間違いではないものの、古めの用法と言えるかもしれません。

人を主語にすべきという点については、この表現の本来の意味を考えれば自明なのではないかと思います。本来、「out of one’s depth」は、人が水中で背の立たない所にいる状態を表しますので、背の立たないところにいて溺れそうになっているのが誰なのかを考えれば自ずと主語が決まってくるはずです。

上の文章で言えば、背の立たない所で溺れそうになっているのは、ファインマンさんであって、応用経済学ではありません。ファインマンさんが応用経済学の海で溺れそうになっているわけです。それならば、ファインマンさんを主語にするのが普通だと言えるのではないでしょうか。

そういうわけで、先ほどの文章は次のように書き換える方が自然だと考えられます。

例文65-4)
Richard Phillips Feynman is a Nobel Prize-winning physicist, but he is out of his depth when it comes to applied economics.
リチャード P. ファインマンはノーベル賞物理学者ですが、応用経済学となると彼の手に余ります。

洋書内の実例

out of one's depthのイメージ画像2です。

 

それでは、実際に洋書内にみられるout of one’s depthの使用例を紹介していきます。

 

まずは、be動詞とともに用いる基本型のパターン1から紹介します。

パターン1:be out of one’s depth(基本型・最頻出パターン)

実例1(パターン1):”Surely You’re Joking, Mr. Feynman”: Adventures of a Curious Character (1985)(邦題『ご冗談でしょう、ファインマンさん—ノーベル賞物理学者の自伝〈1・2〉』、リチャード P. ファインマン = 著)より

I realized I was way out of my depth. But finally at the end, the model was going to pose for thirty minutes. I worked very hard, and with great effort I was able to draw her whole outline.
これはとてもかなわないと思ったが、後になってモデルが今度は三〇分ポーズすることになったので、またもや一心に描いた。さんざん苦労したあげく、やっとモデルの輪郭だけは描き終えた。

引用元:
(英語原著)“Surely You’re Joking, Mr. Feynman”: Adventures of a Curious Character (1985) by Richard Phillips Feynman, as told to Ralph Leighton, edited by Edward Hutchings; Part 5. The World of One Physicist; But Is It Art?
(日本語版)『ご冗談でしょう、ファインマンさん—ノーベル賞物理学者の自伝〈1・2〉』(リチャード P. ファインマン = 著、大貫 昌子 = 訳)、岩波書店(1986/7);II巻・5(ある物理学者の世界)、「それでも芸術か?」より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

1965年に日本の朝永振一郎らとともにノーベル物理学賞を共同受賞したアメリカの物理学者、リチャード・P・ファインマンの自伝からの引用です。

あるパーティーでジェリーという名の絵かきと知り合いになったファインマンは、それ以来、ジェリーとは何度となく科学と芸術について長時間議論を闘わせるようになります。

そして、ジェリーの誕生日に招待された時にも夜中の3時まで議論を闘わせたといいます。このようにファインマンとジェリーが堂々巡りの議論を繰り返すのは、ファインマンが芸術のゲの字も知らず、ジェリーが科学のことをてんで知らないことが原因だと考えたファインマンは、翌朝ジェリーに電話をかけ、次の日曜日にファインマンがジェリーに科学を教え、その次の日曜日にはジェリーがファインマンに絵を教えるというようにこれから毎週日曜日に交代交代でお互いの得意分野を教えあうことを提案し、ジェリーもこれに賛同します。

こうしてデッサンを教わることになったファインマンですが、ファインマンは絵が苦手で、高校時代に描けたものといえば、ほとんど直線ばかりからなる砂漠の中のピラミッドくらいのもので、ときどきそれに太陽やヤシの木を一本書き加える程度のものだったと言います。

しかし、ジェリーは生徒を褒めて伸ばす名人で、その気になったファインマンは努力を重ね、ヌードモデルが登場する絵のクラスにも参加することになります。そうして参加した絵のクラスで、他の生徒たちはみな10分間で全身を描き終えて陰までつけていたのに対し、ファインマンはヌードモデルの足一本しか描けなかったといいます。

上記引用文では、その時のファインマンの心境が「I realized I was way out of my depth」と表現されていて、ここでは「これはとてもかなわないと思った」と訳されています。

同じ本の別の箇所にも「out of one’s depth」が再度登場します。

So I had a feeling that I was out of my depth, and that I shouldn’t be in this. Maybe I could just sit quietly and listen.
僕はいよいよ陸にあがった河童みたいな気がしてきた。これは僕などの出席すべき会議ではなさそうだ。黙って傍聴するしかないかもしれないと考えた。

引用元:
(英語原著)“Surely You’re Joking, Mr. Feynman”: Adventures of a Curious Character (1985) by Richard Phillips Feynman, as told to Ralph Leighton, edited by Edward Hutchings; Part 5. The World of One Physicist; Is Electricity Fire?
(日本語版)『ご冗談でしょう、ファインマンさん—ノーベル賞物理学者の自伝〈1・2〉』(リチャード P. ファインマン = 著、大貫 昌子 = 訳)、岩波書店(1986/7);II巻・5(ある物理学者の世界)、「電気は火ですか?」より引用

1950年代の初めごろ、ファインマンは「平等の道徳性」なるテーマについて話し合いをするニューヨークの会議に招かれます。その会議に参加するにあたり、「有意義と思われる読書リスト」が送られてきたので、ファインマンはそのリストに最初から最後まで目を通してみたのですが、ファインマンが読んだことのある本は1冊も見当たりませんでした。

この引用文ではその時のファインマンの心境が「out of one’s depth」を用いて表現されていて、「いよいよ陸にあがった河童みたいな気がしてきた」という素晴らしい訳が当てられています。

実例2(パターン1):The Second Coming of Steve Jobs (2000)(邦題『スティーブ・ジョブズの再臨 世界を求めた男の失脚、挫折、そして復活』、アラン・デウッチマン = 著)より

He was totally out of his depth,” recalls Louise Kehoe, the Financial Times correspondent, who had followed his career for many years.
彼は、自分の能力が及ばないことをしていました」と言うのは、彼のキャリアを数年に渡って追跡調査していたファイナンシャル・タイムズ紙の通信員のルイーズ・ケホーだ。

引用元:
(英語原著)The Second Coming of Steve Jobs (2000) by Alan Deutschman; 05 APPLE
(日本語版)『スティーブ・ジョブズの再臨 世界を求めた男の失脚、挫折、そして復活』(アラン・デウッチマン = 著、大谷和利 = 訳)、毎日コミュニケーションズ(2001/2);05(アップル)より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験

「彼」とは、1996年2月から1997年7月までアップルのCEOをつとめていたギル・アメリオのことを指しています。ギル・アメリオはスティーブ・ジョブズをアップルに呼び戻すという、後から振り返れば「最高の決断」をするのですが、CEOとしての評価は決して高くありませんでした。

この引用文では、そのギル・アメリオがアップルのCEOになる前にナショナル・セミコンダクター社のCEOをつとめていた時のことが「out of one’s depth」を用いて表現されていて、「自分の能力が及ばないことをしていました」と訳されています。

実例3(パターン1): Audrey Hepburn (1996)(邦題『オードリー・ヘップバーン[上・下]』、永井淳=訳)より

When asked about it, Audrey said, “I don’t think Holly really has known as many men as she pretends. It’s just a jazzy facade she creates, because basically she’s a small-town girl who’s out of her depth.”
その点について質問されたとき、オードリーは答えた。「ホリーは自分でいうほど多くの男を知っていたとは思えない。なぜなら彼女は本質的には背のびをした田舎娘で、ただ見栄を張っているにすぎないから」

引用元:
(英語原著)Audrey Hepburn (1996) by Barry Paris; CHAPTER 5 Huckleberry Friend (1958-1962)
(日本語版)『オードリー・ヘップバーン[上・下]』(バリー・パリス = 著、永井淳=訳)、集英社(1998/5);第5章 ハックルベリー・フレンド(一九五八 – 一九六二年) より引用

「ホリー」とは、1961年公開の映画『Breakfast at Tiffany’s(ティファニーで朝食を)』の中でオードリー・ペップバーンが演じた主人公のホリー・ゴライトリーを指しています。

『ティファニーで朝食を』の原作者であるトルーマン・カポーティは、主人公のホリー・ゴライトリー役にはマリリン・モンローが最適で、オードリー・ヘップバーンはミスキャストであると考えていました。

男性経験が豊富と思われるホリーのキャラクターとオードリーのイメージが重ならないことが原因で、この引用文はこうした点について質問された時のオードリーの返答を記載しています。その返答の中で、オードリーはホリーのことを「a small-town girl who’s out of her depth」と表現していて、ここでは「背のびをした田舎娘」と訳されています。

実例4(パターン1):ENDER’S GAME (1977, 1985)(邦題『エンダーのゲーム』、オースン・スコット・カード = 著)より

He felt good. He had won something, and against older boys. Probably not the best of the older boys, but he no longer had the panicked feeling that he might be out of his depth, that Battle School might he too much for him.
気分がよかった。自分は何かを勝ちとったのだった — それも年上の少年たちを相手にまわして。おそらく、年上の少年たちのうちの最優秀ではないだろう。しかし彼にはもう、自分の力がとても及ばないかもしれない、バトル・スクールは自分には荷が勝ちすぎるかもしれないという、あのうろたえた感覚はなかった。

引用元:
(英語原著)ENDER’S GAME (1977, 1985) by Orson Scott Card; Chapter 5 — Games
(日本語版)『エンダーのゲーム』(オースン・スコット・カード = 著、野口幸夫 = 訳)、早川書房(1987/11);5(ゲーム)より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

実例5(パターン1):Memoirs of Sherlock Holmes (1894)(邦題『ホームズの回想』、コナン・ドイル = 著)より

By the way, Sherlock, I expected to see you round last week, to consult me over that Manor House case. I thought you might be a little out of your depth.”
ところでシャーロック、先週はマナ・ハウス事件のことで君が相談に来るだろうと思っていたがね。少し無理じゃなかろうかと思って

引用元:
(英語原著)Memoirs of Sherlock Holmes (1894) by Arthur Conan Doyle; Adventure IX. The Greek Interpreter
(日本語版)『ホームズの回想』(コナン・ドイル = 著、鈴木幸夫 = 訳)、グーテンベルク21(2006/4);ギリシャ語通訳、より引用

 

次は、be動詞以外の動詞を使うパターン2です。

パターン2:feel out of one’s depthなどbe動詞以外の動詞を使うもの

実例6(パターン2):You Never Give Me Your Money: THE BATTLE FOR THE SOUL OF THE BEATLES (2009)(邦題『ザ・ビートルズ 解散の真実』、ピーター・ドゲット = 著)より

McCartney simply felt out of his depth. ‘This was like playing Monopoly on a very large scale with lawyers,’ he recalled.
マッカートニーはただただ、途方に暮れていた。「弁護士連中を相手に、とてつもないスケールのモノポリーをやってるような感じだった」と彼はふり返っている。

引用元:
(英語原著)You Never Give Me Your Money: THE BATTLE FOR THE SOUL OF THE BEATLES (2009) by PETER DOGGETT; Chapter 2
(日本語版)『ザ・ビートルズ 解散の真実』(ピーター・ドゲット = 著、奥田祐士 = 訳)、イースト・プレス(2014/12);Chapter 2より引用

実例7(パターン2):JENSON BUTTON: LIFE TO THE LIMIT (2017)(邦題『ジェンソン・バトン自伝 ライフ・トゥ・ザ・リミット』、ジェンソン・バトン = 著)より

I went out, feeling intimidated and out of my depth, the sensation increasing after a few laps. No, I thought, this isn’t for me, and I went back to where he stood and admitted that I’d bitten off more than I could chew.
コースに出て、周りのライダーに気圧されながら走り始めた。数周走ったあたりで、 “ダメだ、僕には無理だ” という心の声がした。父のところに戻り、自信がないと伝えた。

引用元:
(英語原著)JENSON BUTTON: LIFE TO THE LIMIT (2017) by Jenson Button; PART ONE
(日本語版)『ジェンソン・バトン自伝 ライフ・トゥ・ザ・リミット』(ジェンソン・バトン = 著、児島 修 = 訳)、東洋館出版社(2019/4);第一部(父と息子の冒険の始まり)より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

【単語ノート】
intimidated = おじけづいた

2009年にワールドチャンピオンを獲得した元F1ドライバーのジェンソン・バトンは、7歳の誕生日にヤマハの50ccバイクを買ってもらうのですが、バトンはすぐにそのバイクを乗りこなしてしまい、あっという間に飽きてしまいます。

そこで元レーサーの父はバトンを近くのサーキットに連れて行ったところ、さすがのバトンも他のライダー達に混じってコースを数周回っただけで自信をなくしてしまったといいます。この引用文では、その時のバトンの心境が「feeling intimidated and out of my depth」と表現されていて、「周りのライダーに気圧されながら」と訳されています。

「bite off more than one can chew」は、「欲張って自分の能力以上のことをしようとする」を意味するフレーズです。詳しくは「洋書に出てくる英語表現0047:bite off more than one can chew【フレーズ編34】」を参照して下さい。

実例8(パターン2): Audrey Hepburn (1996)(邦題『オードリー・ヘップバーン[上・下]』、永井淳=訳)より

Now and then, you find yourself out of your depth.
ときおり背の立たない深みに入りこんでしまったような気がするほどです。

引用元:
(英語原著)Audrey Hepburn (1996) by Barry Paris; CHAPTER 4 Ruling the World (1954-1957)
(日本語版)『オードリー・ヘップバーン[上・下]』(バリー・パリス = 著、永井淳=訳)、集英社(1998/5);上巻・第4章 世界を支配する(一九五四 – 一九五七年)より引用

1957年公開のアメリカ映画『パリの恋人(原題:Funny Face)』撮影中のある日、エキストラをつとめていた一人の少女が写真のフラッシュや照明に怯えて泣き出します。それを見たオードリー・ヘップバーンは少女に同情し、涙を拭いて慰めたといいます。

ここでは、この少女がそのまま大人になった姿をオードリー・ヘップバーンと重ねつつ、オードリーの言葉が引用されています。オードリーは、毎日カメラやマイクを向けられて、愛から政治までありとあらゆる質問を浴びせられる自分の状況を、この引用文のように「out of one’s depth」を使って表現しています。

実例9(パターン2):Barca: The Making of the Greatest Team in the World (2012)(邦題『FCバルセロナの語られざる内幕 サッカー史上最強クラブはこうして誕生した』、グレアム・ハンター = 著)より

Such accelerated promotion could have left him out of his depth, particularly given his timid nature, but, even though he was Argentinian, the Brazilians were about to come to the rescue.
このような急速な昇格は、特に生来の内気な性格からして、メッシの手に余る状況になっていたかもしれなかった。だが、アルゼンチン人のメッシに、ブラジルの選手たちが救いの手を差し伸べた。

引用元:
(英語原著)Barca: The Making of the Greatest Team in the World (2012) by Graham Hunter; 2 – THE MAKING OF MESSI
(日本語版)『FCバルセロナの語られざる内幕 サッカー史上最強クラブはこうして誕生した』(グレアム・ハンター = 著、松宮寿美 = 訳)、SBクリエイティブ(2012/11);第2章(奇跡のフットボーラー、メッシができるまで)より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間約5分

【単語ノート】
come to the rescue = 救いの手を差し伸べる、助けに来る、救助にかけつける

「out of one’s depth」の用法上の注意点としては、基本的に「人が主語になること」が挙げられ、「手に余る物事」が主語になっている文章の割合は全使用例の5%未満だと既に述べました。

「手に余る物事」が主語になるのが基本的な用法であれば、この引用文は「Such accelerated promotion could have been out of his depth」と書けるはずですが、そうは書かずにわざわざ「Such accelerated promotion could have left him out of his depth」と書いて「he(him)」を「out of his depth」の意味上の主語としていることからも、「人」を主語にするのが基本的な用法であることがお分かり頂けると思います。

 

最後は、「out of」のかわりに「beyond」を使用するパターン3です。

パターン3:beyond one’s depth

実例10(パターン3):The Greek Coffin Mystery (1932)(邦題『ギリシア棺謀殺事件』、エラリー・クイーン = 著)より

“The trouble with you is,” continued the Inspector slyly, “you think every case has to be a mental wrestling-match. You won’t give your old man credit for a little common-sense. Heck, that’s all a detective needs, anyway — common-sense. You’re beyond your depth, boy.”
「お前の困るところは」と、警視が茶化すようにつづけた。「お前は、どんな事件でも頭脳のレスリング試合のように考えとることだ。老人の常識というものをほとんど信用しておらん。ところが、探偵に必要なのはそれだけなんだ、ともかく──常識だ。お前にはそれがわからんのだ

引用元:
(英語原著)The Greek Coffin Mystery (1932); Chapter 19. Expose
(日本語版)『ギリシア棺謀殺事件』(エラリー・クイーン = 著、石川年 = 訳)、グーテンベルク21(2003/11);十九(EXPOSE……解明)より引用。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/6/11確認)。(Kindle Unlimited 無料体験
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Out of one’s depthのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

out of one’s depth

out of one's depthのイメージ画像1です。

  • 由来:泳げない人が海やプールなどの水中で足のつかない深いところにいるのは、その人の対処できる能力の範囲を超えていることから。
  • 意味:(人)の能力の及ばない、理解の範囲を超えている、手に余る、実力不足である、背が立たない深みにはまり込んだ
  • 英語による定義:in a situation that is beyond one’s ability
  • 出現頻度:AAA[超高頻度:極めて高い頻度で洋書に出てくる必須の英語表現](beyond one’s depthはC頻度)
  • 出現パターン
    パターン1:be out of one’s depth(基本型・最頻出パターン)
    パターン2:feel out of one’s depthなどbe動詞以外の動詞を使うもの
    パターン3:beyond one’s depth
  • 例文
    I will be out of my depth in this class, because this curriculum is for university students.
    このカリキュラムは大学生向けなので、このクラスだとおちこぼれてしまいます。
    I always feel out of my depth when I’m taking Math class.
    数学の授業を受けている時には、いつも自分の力が不足していると感じます。
    I got out of my depth as soon as the expert started to talk, because I just had superficial understanding of the problem.
    私は、その問題を表面的にしか理解していなかったので、専門家が話し始めると、すぐについていけなくなりました。
    Richard Phillips Feynman is a Nobel Prize-winning physicist, but he is out of his depth when it comes to applied economics.
    リチャード P. ファインマンはノーベル賞物理学者ですが、応用経済学となると彼の手に余ります。

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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