洋書に出てくる英語表現0064:right under one’s nose【おすすめ英語フレーズ編47】

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「洋書に出てくる英語表現」の第64回は、フレーズ編の第47回として「right under one’s nose」を取り挙げます。

Right under one’s noseの意味と由来

直訳すると、「鼻のすぐ下」となります。

この「right under one’s nose」という表現は、日本語の「目と鼻の先」によく似た表現で、「鼻のすぐ下」くらい自分との距離が近いことを表すのですが、「目と鼻の先」と微妙に異なるのは、「目と鼻の先」が単に距離的に近いことを表すのに対し、「right under one’s nose」の場合は「自分と距離的に近いこと」に加えて、「近すぎて鼻が邪魔になって見えない」というようなニュアンスが含まれる場合が多いのが特徴です。

つまり、「right under one’s nose」は「目と鼻の先」に「灯台下暗し」のニュアンスが加わったものと言えると思います(単に距離が近いことだけを表す場合もあります)。

鼻の低いアジア人にとってはいまいちピンと来ませんが、欧米人のように鼻が高いときっと鼻が邪魔になって自分の真下にあるものを見逃すことがあるのではないでしょうか。

日本語では、「すぐ目の前で」、「目と鼻の先で」、「鼻先で」などと訳されます。

Right under one’s noseの英語による定義

very close to someone (but they cannot see it or don’t notice it); right in front of someone, in someone‘s presence

洋書におけるright under one’s noseの出現頻度

AAA[超高頻度:極めて高い頻度で洋書に出てくる必須の英語表現]

(AAA[超高頻度]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

Right under one’s noseの年代分布

1850年 – 2019年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1850年発行の『The Scarlet Letter(邦題:緋文字)』(ホーソーン = 著)で、最も新しい洋書は2019年発行の『The Courage to Be Happy(邦題:幸せになる勇気)』(岸見一郎、古賀史健 = 著)でした。

このように当ブログの調査では1850年が最も古い使用例でしたが、複数の英文資料によると1600年代初期に既に使用例がみられるそうです。

Right under one’s noseの出現パターン

right under one’s noseの出現パターンは主に以下の3つに分類することができます。

パターン1:right under one’s nose(基本型・最頻出パターン)
パターン2:under one’s very nose
パターン3:under one’s nose

パターン1 – 3はいずれも同じ意味で、「鼻のすぐ下」くらい自分との距離が非常に近いことを表すのですが、使用頻度には大きな差が見られます。割合でいうと、パターン1が70%、パターン2が25%、パターン3が5%未満といったところです。

パターン3の「under one’s nose」については、「鼻のすぐ下くらい距離的に近い」という比喩的な意味よりも、物理的な「鼻の下」(匂いを嗅ぐために物を鼻の下に近づけるなど)の意味で使う場合の方が圧倒的に多いので注意が必要です。

例文をあげると次のようになります。

例文64-1)
“Do you know where my cell phone is?”
“It’s right under your nose.”
「私の携帯電話どこにあるか知らない?」
「あなたのすぐ目の前にあるじゃない」

例文64-2)
He was bold enough to try to steal my cell phone under my very nose.
彼は大胆にも私のすぐ目の前で私の携帯電話を盗もうとしました。

洋書内の実例

right under one's noseのイメージ画像2です。

それでは、実際に洋書内にみられるright under one’s noseの使用例を紹介していきます。

まずは、 最頻出のパターン1から紹介します。

パターン1:right under one’s nose(基本型・最頻出パターン)

実例1(パターン1):The Courage to Be Happy (2019)(日本語原著『幸せになる勇気』、 岸見一郎、古賀史健 = 著)より

YOUTH: So you’re saying I should just let them do bad things right under my nose and not do anything about it? But that’s no different from saying that a thief shouldn’t be caught and punished, now is it? Would Adler accept such lawlessness?
青年 じゃあ、悪事を前にしながら放置しろと? それは泥棒を捕まえるな、泥棒を罰するな、と言っているのと同じことですよ? アドラーはそんな無法地帯を認めるのですか?

引用元:
(英語版)The Courage to Be Happy (2019) by Ichiro Kishimi and Fumitake Koga; First published in Australia and New Zealand by Allen & Unwin in 2019; PART II WHY NEGATE REWARD AND PUNISHMENT
(日本語原著)『幸せになる勇気』(岸見一郎、古賀史健 = 著)、ダイヤモンド社(2016/2);第二部(なぜ「賞罰」を否定するのか)より引用

【単語ノート】
lawlessness = 無法(状態)

この作品の前作にあたる『嫌われる勇気』でアドラーの思想に感化された「青年(YOUTH)」は、子どもたちに光を届けるためにそれまで働いていた大学図書館を辞めて、母校の中学校で教師を始めます。しかし、「青年」はアドラーの思想を教育の現場で実践した結果、アドラーの思想は現実社会では何の役にも立たない机上の空論だという結論に至り、再び「哲人(PHILOSOPHER)」のもとを訪れます。

そうして「哲人」と「青年」の間で議論が繰り広げられるのですが、ここでは「叱ってはいけない、ほめてもいけない」というアドラーの主張の是非が議論されています。生徒が問題を起こしても「叱ってはいけない」と主張する「哲人」に対して、「青年」が反論しているのがこの引用文で、自分の「すぐ目の前」で悪事が行われていながら放置することが「right under one’s nose」を用いて表現されています。

実例2(パターン1):MONEYBALL: The Art of Winning an Unfair Game (2003)(邦題『マネー・ボール〔完全版〕』、マイケル・ルイス = 著)より

But the wonderful thing about this little lecture was what happened right under Joe Morgan’s nose, as he was giving it.
モーガンがこの講釈を垂れている目と鼻の先で、ひどく皮肉な展開が始まっていた。

引用元:
(英語原著)MONEYBALL: The Art of Winning an Unfair Game (2003) by Michael Lewis; Chapter Twelve: The Speed of the Idea
(日本語版)『マネー・ボール〔完全版〕』(マイケル・ルイス = 著、中山 宥 = 訳)、早川書房(2013/4);第12章(ひらめきを乗せた船)より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間4分31秒

「モーガン」とは、野球殿堂入りの元プロ野球選手(二塁手)で、野球解説を務めていたジョー・モーガン氏を指しています。モーガン氏は、盗塁やバントの推奨派で、盗塁の後にホームランが出た場合などには「盗塁でアウトにならなくて良かった」ではなく、「盗塁がその後のホームランを生み出した」と考えるタイプの解説者だったのですが、ある試合でモーガン氏がまさにそのような講釈を垂れている「目と鼻の先で」モーガン氏の持論とは全く逆の攻撃が展開されていたという部分が「right under Joe Morgan’s nose」で表現されています。

ちなみにこの試合では、アスレチックスは試合開始直後に先頭打者が四球で出塁したものの、モーガン氏の持論とは逆に、盗塁もバントも行わずにスリーランホームランで3点を先制したということです。

実例3(パターン1):Harry Potter and the Prisoner of Azkaban (1999)(邦題『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』、J.K.ローリング = 著)より

Malfoy’s pale eyes narrowed; he wasn’t fool enough to pick a fight right under a teacher’s nose.
マルフォイは薄青い目を細めた。先生の鼻先でけんかを吹っかけるほどバカではない。

引用元:
(英語原著)Harry Potter and the Prisoner of Azkaban (1999) by J.K. Rowling; Chapter 5 The Dementor
(日本語版)『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(J.K.ローリング = 著、松岡 佑子 = 訳)、静山社(2001/7);第5章(吸魂鬼ディメンター)より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間約5分

【単語ノート】
pick a fight = けんかを吹っかける

 

次は「under one’s very nose」の形で使用するパターン2です。

パターン2:under one’s very nose

実例4(パターン2):The Adventures of Tom Sawyer (1876)(邦題『トム・ソーヤーの冒険』、トウェイン = 著)より

All through supper his spirits were so high that his aunt wondered “what had got into the child.” He took a good scolding about clodding Sid, and did not seem to mind it in the least. He tried to steal sugar under his aunt’s very nose, and got his knuckles rapped for it. He said:
“Aunt, you don’t whack Sid when he takes it.”
夕食のあいだじゅう、トムはやけに快活で、ポリーおばさんが「いったいこの子はどうなっちゃったんだろうね」といぶかるほどだった。シッドに泥だんごを投げつけたことをこっぴどく叱られても、いっこうにこたえていない様子だし、おばさんが見ている目の前で砂糖をくすねようともした。手の甲をぴしゃっと叩かれると、トムは、「なんだよ、おばさん、シッドが砂糖を取っても叩かないのに」と言った。

引用元:
(英語原著)The Adventures of Tom Sawyer (1876) by Mark Twain; CHAPTER III
(日本語版)『トム・ソーヤーの冒険』(トウェイン = 著、土屋京子 = 訳)、光文社(2012/6);第3章より引用。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/7/30確認)。(Kindle Unlimited 無料体験 (英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

【単語ノート】
knuckle = げんこつ、こぶしの部分の指関節部分
whack = 〜をぴしゃりと叩く

実例5(パターン2):Have His Carcase (1932)(邦題『死体を探せ』、ドロシー・セイヤーズ = 著)より

And then the murderer, knowing that you were there, deliberately committed his murder under your very nose, so to speak.”
「すると、君がいるのを知ってて、そのすぐ鼻の先で、殺人を犯したことになる」

引用元:
(英語原著)Have His Carcase (1932) by Dorothy L. Sayers; CHAPTER XXIX THE EVIDENCE OF THE LETTER
(日本語版)『死体を探せ』(ドロシー・セイヤーズ = 著、宇野 利泰 = 訳)、グーテンベルク21(2007/11);二十九(手紙の話)より引用

【単語ノート】
deliberately = わざと、故意に、計画的に
so to speak = 言ってみれば、あたかも

 

最後は、under one’s noseの形をとるパターン3です。

パターン3:under one’s nose

実例6(パターン3):THE STEVE JOBS WAY: iLEADERSHIP FOR A NEW GENERATION (2011)(邦題『ジョブズ・ウェイ 世界を変えるリーダーシップ』、ジェイ・エリオット、ウィリアム・L ・サイモン = 著)より

A team of IBMers showed up to present the company’s offer to Steve, and shoved a hundred-page contract under his nose.
IBMの交渉グループがやってきて、条件を提示し、百ページの契約書をスティーブの鼻先に突きつけた

引用元:
(英語原著)THE STEVE JOBS WAY: iLEADERSHIP FOR A NEW GENERATION (2011) by Jay Elliot with William L. Simon; 7 Maintaining Momentum
(日本語版)『ジョブズ・ウェイ 世界を変えるリーダーシップ』(ジェイ・エリオット、ウィリアム・L ・サイモン = 著、中山 宥 = 訳)、ソフトバンク クリエイティブ株式会社;7(勢いを保つ)より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間約2分30秒

【単語ノート】
shove = ぐいと押す、押しのける、押し進める

スティーブ・ジョブズがアップルを追放された後に設立したNeXT社は、全くと言ってもよいほど何の成果もあげられていなかったのですが、一時期、IBMがNeXT社のOSであるNeXTstepを自社のコンピューターに搭載することを真剣に検討していたといいます。

上記引用文はその際の交渉について記載したもので、IBMは百ページにも及ぶ契約書をスティーブ・ジョブズの「鼻先に」突きつけたという部分が「under one’s nose」を使って表現されています。

ちなみに、この時スティーブ・ジョブズは、その百ページにも及ぶ契約書を受け取ったものの、すぐにゴミ箱に投げ捨てて、3、4ページの契約書にまとめ直して出直してくるように言い放ったということです。

実例7(パターン3):Mbappe (2018)(邦題『エムバペ 19歳で世界を獲った男』 ルーカ・カイオーリ & シリル・コロー = 著)より

As the final whistle blew, Kylian was obviously disappointed to see a first European final be taken from under his nose.
試合終了のホイッスルが聞こえたとき、キリアンは初めてのチャンピオンズリーグ決勝が目前で消えてしまったことに明らかな落胆を見せていた。

引用元:
(英語原著)Mbappe (2018) by Luca Caioli and Cyril Collot; Chapter 11 International
(日本語版)『エムバペ 19歳で世界を獲った男』(ルーカ・カイオーリ & シリル・コロー = 著、タカ大丸 = 訳)、扶桑社(2018/10);第11章(フランス代表デビュー)より引用

「キリアン」とは、サッカー・フランス代表のキリアン・エムバペ(ムバッペ)選手のことを指しています。

エムバペ選手は、2017年5月9日に行われたイタリアの名門ユヴェントスとのUEFAチャンピオンズリーグ準決勝第2戦でゴールを挙げたものの、エムバペ選手が当時所属していたASモナコは敗退してしまいます。上記引用文は、その時の様子について記載したもので、チャンピオンズリーグ決勝が「目前で」消えてしまったことが「under one’s nose」を使って表現されています。

Right under one’s noseのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

right under one’s nose

right under one's noseのイメージ画像1です。

  • 由来:「鼻のすぐ下」くらい自分との距離が近いという発想から。
  • 意味:すぐ目の前で、目と鼻の先で、鼻先で
  • 英語による定義: very close to someone (but they cannot see it or don’t notice it); right in front of someone, in someone‘s presence
  • 出現頻度:AAA[超高頻度:極めて高い頻度で洋書に出てくる必須の英語表現]
  • 出現パターン
    パターン1:right under one’s nose(基本型・最頻出パターン)
    パターン2:under one’s very nose
    パターン3:under one’s nose
  • 例文
    “Do you know where my cell phone is?”
    “It’s right under your nose.”
    「私の携帯電話どこにあるか知らない?」
    「あなたのすぐ目の前にあるじゃない」
    He was bold enough to try to steal my cell phone under my very nose.
    彼は大胆にも私のすぐ目の前で私の携帯電話を盗もうとしました。

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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