洋書に出てくる英語表現0057:Kodak moment【おすすめ英語フレーズ編43】

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「洋書に出てくる英語表現」の第57回は、フレーズ編の第43回として「Kodak moment」を取りあげます。

Kodak momentの意味と由来

直訳すると、「コダックの瞬間」となります。

ここでいう「コダック」とは、1881年に創業したアメリカの写真用品メーカー「イーストマン・コダック社(Eastman Kodak Company)」のことを指しています。

カメラや写真フィルムの販売により写真を一般大衆に普及させたコダック社は、かつては世界屈指の大企業で、コダック社の名を知らない者などいないと思われるような時代がありました。

今では考えられませんが、デジタルカメラが普及する前は、テレビで当たり前のように写真フィルムのCMが流れていて、中でもコダック社の「コダカラー」はカラーフィルムの代表的ブランドでした。

こうしたコダック社の成功から生まれたのが「Kodak moment」という表現で、(写真に撮って残しておきたいような)「決定的瞬間」や「絶好のシャッターチャンス」という意味で使われるようになりました。

そのコダック社も、アナログ分野での成功があまりに大きなものであったがために、デジタル化の波に完全に乗り遅れてしまい、2012年に倒産してしまいます。(時代の流れは恐ろしく速いもので、今ではコダック社を倒産に追い込んだデジタルカメラが携帯電話に取って代わられようとしています)

現在のコダック社は規模を大幅に縮小して再出発しているとのことで、テレビCMも流れていない今では「コダック」という名前すら知らない人も結構いるようです。

Kodak momentの英語による定義

a big moment that is worth taking a picture of

洋書におけるKodak momentの出現頻度

B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]

(AAA[超高頻度]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

Kodak momentの年代分布

1996年 – 2015年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1996年発行の『Audrey Hepburn(邦題:オードリー・ヘップバーン[上・下])』(バリー・パリス = 著)で、最も新しい洋書は2015年発行の『Becoming Steve Jobs: The Evolution of a Reckless Upstart Into a Visionary Leader (邦題:スティーブ・ジョブズ 無謀な男が真のリーダーになるまで(上・下))』(ブレント・シュレンダー、リック・テッツェリ = 著)でした。

コダック社の創業が1881年で、倒産が2012年ということから考えて、主に1900年代の中盤から後半にかけて使われた表現かと思いきや、当ブログの調査ではこの表現は予想に反して1900年代の書籍にはあまりみられず、主に2000年代の書籍に認められました。

Kodak momentの出現パターン

Kodak momentの用法に特に出現パターンと言えるような特別な型は見当たりませんでした。

例文を挙げると、次のようになります。

例文57-1)
I miss my school days. Those days were full of Kodak moments.
学生時代がなつかしいよ。あの頃は、写真にとって残しておきたいような瞬間でいっぱいだったよ。

例文57-2)
My son suddenly took his first toddling steps last night. It was a Kodak moment.
昨晩、突然うちの息子がはじめてよちよち歩きをしたんだ。写真にとっておきたいような瞬間だったよ。

洋書内の実例

kodak momentのイメージ画像2です。

それでは、実際に洋書内にみられるKodak momentの使用例を紹介していきます。

実例1: Audrey Hepburn (1996)(邦題『オードリー・ヘップバーン[上・下]』、永井淳=訳)より

But there was nothing to prevent Mansfield from reporting a Kodak moment she witnessed at the end of their chat:
しかしマンスフィールドはインタヴューの終りに目撃した光景を書かずにはいられなかった。

引用元:
(英語原著)Audrey Hepburn (1996) by Barry Paris; CHAPTER 9 Dutch Treat (1980-1989)
(日本語版)『オードリー・ヘップバーン[上・下]』(バリー・パリス = 著、永井淳=訳)、集英社(1998/5);下巻・第9章 オランダのごちそう(一九八〇 – 一九八九年) より引用

【単語ノート】
witness = 目撃する、証言する

1985年、この年56歳を迎えるオードリー・ヘップバーンは、2年前にこの世を去っていたウィリアム・ワイラー(1953年の映画『ローマの休日』の監督)をたたえるドキュメンタリー番組に出演するためにニューヨークを訪れます。

その際、個人的な質問はしないという条件でニューヨーク・ポスト紙の取材を受けるのですが、その時の記者が上記引用文に出てくるマンスフィールド氏です。

マンスフィールド氏によると、オードリー・ヘップバーンは、取材後に長身でハンサムな24歳の青年(1人目の夫メル・ファーラーとの間に生まれた子供)と落ちあって、仲睦まじい様子をみせていたそうで、この引用文ではその光景が「Kodak moment」と表現されています。

実例2:Dreamcatcher (2001)(邦題『ドリームキャッチャー』、スティーヴン・キング = 著)より

Sweet as pie, a real Kodak moment, only now he’s got a lipstick print that ain’t lipstick growing on his cheek.’
じつに感動的な光景で、〈コダック〉のカメラがあったら最高のシャッターチャンスだったろうな。ところがいま、その兵士の頬には見事なキスマークができている。口紅そっくりだが、あいにく口紅なんかじやない」

引用元:
(英語原著)Dreamcatcher (2001) by Stephen King; PART TWO, CHAPTER THIRTEEN AT GOSSELIN’S
(日本語版)『ドリームキャッチャー(1・2・3・4)』(スティーヴン・キング = 著、白石朗 = 訳)、新潮社(2003/2[1・2]、2003/3[3・4]);ドリームキャッチャー3・第二部・十三 〈ゴッセリンズ〉にて、より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

実例3:Senna Versus Prost(2009)(邦題『セナvsプロスト:史上最速の”悪魔”は誰を愛したのか!?』、マルコム・フォリー = 著)より

A picture of this moment hangs in the study of his apartment in Paris, a rare souvenir on display from a lifetime of Kodak moments. A picture that could be legitimately captioned: ‘Alain Prost – a street fighting man.’
この瞬間を捉えた写真は、今でもパリの彼の自宅の壁に飾られている。それは、彼のキャリアを象徴する貴重な一枚でもある。

引用元:
(英語原著)Senna Versus Prost (2009) by Malcolm Folley; 9 STREET FIGHTING MAN
(日本語版)『セナvsプロスト:史上最速の”悪魔”は誰を愛したのか!?』(マルコム・フォリー = 著、五十嵐 哲 = 訳)、三栄書房(2010/7);第8章(サーキットの”ならず者”)より引用
*日本語版は全訳ではないため、英語原著と日本語版では章立てが異なり、英語原著のChapter 9が日本語版の第8章に相当。

【単語ノート】
study = 書斎、勉強部屋

1986年、フランスの元F1ドライバー、アラン・プロストはF1のワールドチャンピオン争いでウィリアムズ・ホンダのナイジェル・マンセルに6ポイント差をつけられた2位で最終戦のオーストラリアGPを迎えます。

プロストがマンセルを逆転してワールドチャンピオンを獲得するためには、プロストが最終戦で優勝し、なおかつマンセルが4位以下でなければならず、逆にマンセルからすれば、3位以内でゴールすれば、プロストの順位にかかわらずチャンピオンを獲得できるという状況でした。

有利な状況のマンセルはチャンピオン獲得に必要な3位以内を着実に走行していたのですが、レース終盤に突然リヤタイヤがバーストしてリタイアに終わります。

一方のプロストは、マンセルのリタイア後にトップを走行していたものの、彼のマシンのコンピュータは「ガス欠」を示していて、ゴールする前にガソリンがなくなってリタイアしてしまいそうな状況でした。

しかし、幸いにも「ガス欠」の表示はコンピュータのエラーだったらしく、プロストは1位でゴールし、2年連続のワールドチャンピオンに輝きます。

レース後、マシンから降りたプロストは両手を突き上げながら跳び上がって喜んだそうで、引用文では、跳び上がって喜ぶプロストの姿を捉えた写真が「Kodak moment」を使って表現されています。

実例4:Fifty Shades of Grey (2011)(邦題『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ(上・中・下)』、E L ジェイムズ = 著)より

“Yes, your face was a picture, a Kodak moment.” I giggle.
「そうだ、あのときのあなたの顔。写真に撮っておけばよかった」わたしはくすくす笑った。

引用元:
(英語原著)Fifty Shades of Grey (2011) by E L James; Chapter Twenty-Three
(日本語版)『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ(上・中・下)』(E L ジェイムズ = 著、池田真紀子 = 訳)、早川書房(2015/1);23より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間4分49秒

【単語ノート】
giggle = くすくす笑う

実例5:Becoming Steve Jobs (2015)(邦題『スティーブ・ジョブズ 無謀な男が真のリーダーになるまで(上・下)』、ブレント・シュレンダー、リック・テッツェリ = 著)より

As Smith writes online: “I have to stop here — it’s a Kodak moment — something you want to remember.
スミスはこう書いている。
「このくらいにしておきましょう。なんというか、これは写真に撮っておきたいくらい貴重な場面です。一生の思い出ですよ。

引用元:
(英語原著)Becoming Steve Jobs: The Evolution of a Reckless Upstart Into a Visionary Leader (2015) by Brent Schlender and Rick Tetzeli; Chapter 10 Following Your Nose
(日本語版)『スティーブ・ジョブズ 無謀な男が真のリーダーになるまで(上・下)』(ブレント・シュレンダー、リック・テッツェリ = 著、井口 耕二 = 訳)、日本経済新聞出版社(2016/9);下巻・第10章(勘を頼りに歩む)より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験

この引用文では、ティム・スミスという名のデザイナーが体験した貴重な出来事について記載されています。

このデザイナーは、「サンビーム・アルパイン」という古い車に乗ってパロアルトの街をドライブしていたところ、なんとスティーブ・ジョブズの自宅の真ん前で車が壊れて動かなくなってしまったといいます。

このデザイナーが途方に暮れていたところ、ジョブズの妻のローリーンが家から出てきてビールを勧めてくれただけでなく、サンビームに詳しい友達がいるからと言ってその友達を呼び出してくれたといいます。

そして、その友達がパーティーか何かに行くところだったのかなぜか正装姿で到着すると、スティーブ・ジョブズと息子のリードも家から出てきてみんなでなんとか自分の車を動かそうとしてくれたといいます。

この状況に感動したデザイナーが人気サイトに投稿した文章が上記の引用文で、このデザイナーがジョブズの妻ローリーンと立ち話をしている横で、ジョブズと息子のリード、そしてサンビームに詳しいローリーンの正装姿の友人が自分の車を必死に修理してくれている光景が「Kodak moment」と表現されていて、ここでは「写真に撮っておきたいくらい貴重な場面」と訳されています。

Kodak momentのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

Kodak moment

kodak momentのイメージ画像1です。

  • 由来:かつて世界屈指の大企業であった1881年創業のアメリカの写真用品メーカー「イーストマン・コダック社(Eastman Kodak Company)」の社名から。
  • 意味:写真に撮って残しておきたいような決定的瞬間、絶好のシャッターチャンス
  • 英語による定義:a big moment that is worth taking a picture of
  • 出現頻度:B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]
  • 出現パターン:特に出現パターンと言えるような特別な型は見当たりません。
  • 例文
    I miss my school days. Those days were full of Kodak moments.
    学生時代がなつかしいよ。あの頃は、写真にとって残しておきたいような瞬間でいっぱいだったよ。
    My son suddenly took his first toddling steps last night. It was a Kodak moment.
    昨晩、突然うちの息子がはじめてよちよち歩きをしたんだ。写真にとっておきたいような瞬間だったよ。

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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