洋書に出てくる英語表現0056:The tail wags the dog【おすすめ英語フレーズ編42】

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「洋書に出てくる英語表現」の第56回は、フレーズ編の第42回として「The tail wags the dog」を取り挙げます。

The tail wags the dogの意味と由来

直訳すると、「しっぽが犬を振る」となります。

もちろん本来の形は「The dog wags the tail(犬がしっぽを振る)」で、犬としっぽの役割が逆転してしっぽが犬を振っている様子から、「本来の役割が逆転していること」や、「より小さなものや重要性の低いものが全体を支配していること」を意味する表現として使用されるようになりました。

日本語では、「本末転倒」や「あべこべ」などと訳されます。

1858年の演劇「Our American Cousin」内のセリフがこの表現の由来になったという説もありますが、正確にな由来は定かではありません。

The tail wags the dogの英語による定義

a situation where usual roles are reversed, or something smaller or less important is controlling the whole thing

洋書におけるThe tail wags the dogの出現頻度

B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]

(AAA[超高頻度]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

The tail wags the dogの年代分布

1935年 – 2014年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1935年発行の『The Scandal of Father Brown(邦題:ブラウン神父の醜聞)』(G.K.チェスタートン = 著)で、最も新しい洋書は2014年発行の『How Google Works(邦題:How Google Works 私たちの働き方とマネジメント)』(エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル = 著)でした。

The tail wags the dogの出現パターン

The tail wags the dogの用法に特に出現パターンと言えるような特別な型は見当たりませんでした。

例文を挙げると次のようになります。

例文56-1)
There’s nothing wrong with studying through the night to get a good grade on an exam, but the tail is wagging the dog when you are too sleepy to concentrate during an exam.
試験で良い成績をとるために徹夜で勉強するのは悪いことではありませんが、試験中に眠たくて集中できないようでは本末転倒です。

洋書内の実例

The tail wags the dogのイメージ画像2です。

 

それでは、実際に洋書内にみられるThe tail wags the dogの使用例を紹介していきます。

実例1:THE MEANING OF ICHIRO (2004)(邦題『イチロー革命 — 日本人メジャー・リーガーとベースボール新時代』、ロバート・ホワイティング = 著)より

“I couldn’t understand it,” said Valentine later, “how those guys could talk the way they did to me. I was supposed to be the manager. The tail was wagging the dog.”
ヴァレンタインはのちにこう語っている。
「理解できなかったよ。連中がなんでぼくにあんな口をきけるんだろう、ってね。監督はこのぼくじゃないか。これじゃ、あべこべだよ

引用元:
(英語原著)THE MEANING OF ICHIRO: The New Wave from Japan and the Transformation of Our National Pastime (2004) by Robert Whiting; 8 GAIJIN KANTOKU
(日本語版)『イチロー革命 — 日本人メジャー・リーガーとベースボール新時代』(ロバート・ホワイティング = 著、松井みどり = 訳)、早川書房(2004/10);第8章(ガイジン監督)より引用

「ヴァレンタイン」とは、1995年にロッテの監督に就任したアメリカ出身のボビー・バレンタイン(Bobby Valentine)氏のことを指しています。

この『イチロー革命』という本の第8章では、「ガイジン監督」と題して、ロッテのボビー・バレンタイン監督や、2003年に日本ハムの監督に就任したトレイ・ヒルマンなどの外国人監督について記載されています。特に、ボビー・バレンタイン監督については多くのページが割かれていて、大リーグ方式を持ち込んだバレンタイン監督と日本式にこだわるコーチ陣との確執が詳しく記載されています。

この引用文では、まだ暑さが残るシーズン終盤に、選手の疲労回復を優先して試合の予定がない翌日の全体練習をキャンセルしたバレンタイン監督と、チームの面目をかけて全力を尽くすべきだとして全体練習の実施を強く主張した江尻コーチの対立について記載されています。

バレンタイン監督は、しつこく食い下がる江尻コーチに対して、明日、全体練習をさせたら、残り試合で同じ勝率を維持できると保証できるのかい?もし、維持できなかったら君たちを首にするぞ、という主旨のことを述べます。すると江尻コーチは、「あんたには、チームの人事に口出しする権利はない!」といって激怒したといいます。

こうしたやりとりについて、ボビー・バレンタイン氏が後から振り返っているのが上記引用文で、コーチが監督に対して偉そうな口をきく様子を「The tail was wagging the dog」、つまり「しっぽが犬を振っている」と表現していて、ここでは「これじゃ、あべこべだよ」と訳されています。

結局この年、ロッテはシーズンを2位で終え、バレンタイン監督はチームを10年ぶりのAクラスに導くのですが、バレンタイン監督は1年限りで監督を首にされ、替わりに手柄を独り占めした江尻コーチが新監督となります。

実例2:The Da Vinci Code (2003)(邦題『ダ・ヴィンチ・コード 〈上・中・下〉』、ダン・ブラウン = 著)より

“Tell me,” Aringarosa said to the young priest, “when did the tail start wagging the dog?
「教えてくれ」アリンガローサは若い司祭に言った。「本末転倒したのはいつのことかね

引用元:
(英語原著)The Da Vinci Code (2003) by Dan Brown; Chapter 34
(日本語版)『ダ・ヴィンチ・コード 〈上・中・下〉』(ダン・ブラウン = 著、越前敏弥 = 訳)、角川書店(2004/5);上巻・第34章より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間6分

【単語ノート】
priest = 司祭、神父

実例3:Hero (The Secret) (2013)(邦題『ヒーロー:The Secret』 ロンダ・バーン = 著)より

We all need food, shelter, and clothing, but the pursuit of material things for their sake alone robs us of the freedom to live a truly fulfilling life. Don’t let the tail wag the dog by making security and the pursuit of material things the purpose of your life instead of following your dreams.
人は、食べ物、住居、衣服を必要としますが、物を手に入れること自体を目的にすると、真に充実した生活を送る自由が奪われてしまいます。安定を選び、夢を追う代わりに物を追い求めて、本末転倒にならないようにしましょう

引用元:
(英語原著)Hero (The Secret) (2013) by Rhonda Byrne; Part One (THE DREAM)
(日本語版)『ヒーロー:The Secret』(ロンダ・バーン = 著、山川紘矢、山川亜希子、佐野美代子 = 訳)、KADOKAWA(2015/2);第一部(夢)より引用

【単語ノート】
food, shelter, and clothing = 衣食住
pursuit = 追求
fulfilling life = 充実した生活

実例4:The Handbook of Portfolio Mathematics: Formulas for Optimal Allocation & Leverage (2007)(邦題『ラルフ・ビンスの資金管理大全:最適なポジションサイズとリスクでリターンを最大化する方法』、ラルフ・ビンス = 著)より

All too often, the definition of risk in literature pertaining to it has ignored the fact that this is exactly what practitioners in the field define risk to be! Rather than the tail wagging the dog here, we opt to accept this real-world definition for risk.
リスク関連における書籍では、この分野の人々が定義したリスクのこの本来の意味が無視されることがあまりにも多い。われわれはリスクに関しては本末を転倒することなく、現実世界における本来の定義を用いる

引用元:
(英語原著)The Handbook of Portfolio Mathematics: Formulas for Optimal Allocation & Leverage (2007) by RALPH VINCE; CHAPTER 12 The Leverage Space Portfolio Model in the Real World
(日本語版)『ラルフ・ビンスの資金管理大全:最適なポジションサイズとリスクでリターンを最大化する方法』(ラルフ・ビンス = 著、長尾慎太郎 = 監修、山下恵美子 = 訳)、パンローリング(2009/3);第12章(レバレッジスペース・ポートフォリオモデルの現実世界への応用)より引用

実例5:The Scandal of Father Brown (1935)(邦題『ブラウン神父の醜聞(1・2)』、G.K.チェスタートン = 著)より

When a man is told something that turns things upside-down; that the tail wags the dog; that the fish has caught the fisherman; that the earth goes round the moon; he takes some little time before he even asks seriously if it is true.
犬のしっぽが犬を振りまわすとか、魚が漁師をつかまえるとか、地球が月のまわりをまわるとかいうように、物事があべこべになった話を聞かされると、そりゃほんとですかと真剣にきいてみるまでにはいくらかひまがかかるものである。

引用元:
(英語原著)The Scandal of Father Brown (1935) by G. K. Chesterton; I : THE SCANDAL OF FATHER BROWN
(日本語版)『ブラウン神父の醜聞(1・2)』(G.K.チェスタートン = 著、村崎 敏郎 = 訳)、グーテンベルク21(2015/1);ブラウン神父の醜聞より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

実例6:The Boredom of Haruhi Suzumiya (2016)(日本語原著『涼宮ハルヒの退屈』、谷川流 = 著)より

“Yes. Reality is unlike the world of fiction. There is a minimal chance of an interesting sealed room murder occurring in our school. In that case, we should go to a place with a higher likelihood of something occurring; at least, that must be what Suzumiya is thinking.”
「ええ。現実は物語のようにはいきません。この学校内で興味深い密室殺人が発生する確率は低い。ならば、発生しやすそうな場所に行けばいい、と涼宮さんは考えたに違いありません」

I was reminded of the phrase “the tail wagging the dog.
本末転倒という熟語が俺の脳裏で点滅した。

引用元:
(英語版)The Boredom of Haruhi Suzumiya (2016) by Nagaru Tanigawa, translated by Chris Pai; REMOTE ISLAND SYNDROME
(日本語原著)『涼宮ハルヒの退屈』(谷川流 = 著)、角川書店(2004/1);孤島症候群より引用

実例7:How Google Works (2014)(邦題『How Google Works 私たちの働き方とマネジメント』、エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル = 著)より

There’s nothing wrong with continuous improvement and smart business tactics, but the tail is wagging the dog when market research becomes more important than technical innovation.
プロダクトの地道な改良を続けること、巧妙な戦術を駆使するのは何も悪いことではないが、市場調査を技術的イノベーションより重視するのは本末転倒だ

引用元:
(英語原著)How Google Works (2014) by Eric Schmidt and Jonathan Rosenberg, with Alan Eagle;Strategy — Your Plan Is Wrong
(日本語版)『How Google Works 私たちの働き方とマネジメント』(エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル = 著、ラリー・ペイジ = 序文、土方奈美 = 訳)、日本経済新聞出版社(2014/10);戦略  あなたの計画は間違っている、より引用

【単語ノート】
tactics = 戦術
market research = 市場調査
technical innovation = 技術革新

この引用文では、技術革新よりも市場調査を重視することが「the tail is wagging the dog」、つまり「しっぽが犬を振っている」と表現されていて、ここでは「本末転倒」と訳されています。裏を返せば、「技術革新」がご主人様たる「犬」で、市場調査はその「しっぽ」にすぎないということがこの表現から読みとれます。

このように「the tail wags the dog」という表現は、単に役割が逆転していることを表しているわけではなく、本来はあまり重要ではないものが、より重要なものの役割に取ってかわったり、実例1のように本来下にいるべき人間の立場や役割が本来上にいるべき人間と逆転することを意味することがお分かり頂けるかと思います。

The tail wags the dogのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

The tail wags the dog

The tail wags the dogのイメージ画像3です。

  • 由来:犬としっぽの役割が逆転して、しっぽが犬を振る様子から。
  • 意味:本来の役割が逆転していること、より小さなものや重要性の低いものが全体を支配していること、本末転倒、あべこべ
  • 英語による定義:a situation where usual roles are reversed, or something smaller or less important is controlling the whole thing
  • 出現頻度:B[低頻度:洋書内での出現頻度はそれほど高くはないがネイティブなら知っている英語表現]
  • 出現パターン:特に出現パターンと言えるような特別な型は見当たりません。
  • 例文
    There’s nothing wrong with studying through the night to get a good grade on an exam, but the tail is wagging the dog when you are too sleepy to concentrate during an exam.
    試験で良い成績をとるために徹夜で勉強するのは悪いことではありませんが、試験中に眠たくて集中できないようでは本末転倒です。

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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