「洋書に出てくる英語表現」の第53回は、フレーズ編の第40回として「on the same wavelength」を取り挙げます。
- On the same wavelengthの意味と由来
- On the same wavelengthの英語による定義
- 洋書におけるon the same wavelengthの出現頻度
- On the same wavelengthの年代分布
- On the same wavelengthの出現パターン
- 洋書内の実例
- 実例1(パターン1):Jony Ive: The Genius Behind Apple’s Greatest Products (2013)(邦題『ジョナサン・アイブ:偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー』、リーアンダー・ケイニー = 著)より
- 実例2(パターン1):My Life (2004)(邦題『マイライフ:クリントンの回想』 ビル・クリントン = 著)より
- 実例3(パターン1):Becoming Steve Jobs (2015)(邦題『スティーブ・ジョブズ 無謀な男が真のリーダーになるまで(上・下)』、ブレント・シュレンダー、リック・テッツェリ = 著)より
- 実例4(パターン1):THE UNWRITTEN RULES OF BASEBALL (2009)(邦題『メジャーリーグの書かれざるルール』、ポール・ディクソン = 著)より
- 実例5(パターン2):THE STEVE JOBS WAY: iLEADERSHIP FOR A NEW GENERATION (2011)(邦題『ジョブズ・ウェイ 世界を変えるリーダーシップ』、ジェイ・エリオット、ウィリアム・L ・サイモン = 著)より
- 実例6(パターン2):Wellcome to My World (2011)(邦題『ジョニー・ウィアー自伝 Welcome to My World』、ジョニー・ウィアー = 著)より
- 実例7(パターン2):THE PATH TO POWER (1995)(邦題『サッチャー 私の半生』 マーガレット・サッチャー = 著)より
- 実例8(パターン3):Grinding It Out: The Making of McDonald’s (1977)(邦題『成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝』、レイ・A・クロック、ロバート・アンダーソン = 著)より
- 実例9(パターン3):Rich Dad’s Success Stories (2003)(邦題『金持ち父さんのサクセス・ストーリーズ – 金持ち父さんに学んだ25人の成功者たち』、ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター = 著)より
- 実例10(パターン3):I AM OZZY (2009)(邦題『アイ・アム・オジー:オジー・オズボーン自伝』、オジー・オズボーン、クリス・エアーズ = 共著)より
- 実例11(パターン4):Kafka on the Shore (2005)(日本語原著『海辺のカフカ(上・下)』、村上春樹 = 著)より
- 実例12(パターン4):STEVE JOBS: THE BIOGRAPHY (2011)(邦題『スティーブ・ジョブズ』、ウォルター・アイザックソン = 著)より
- 実例13(パターン5):Raising the Bar: The Championship Years of Tiger Woods (2000)(邦題『新帝王伝説 タイガー・ウッズ 新たなる挑戦』、ティム・ロザフォート = 著)より
- 実例14(パターン5):Michael Owen: Off the Record (2004)(邦題『オーウェン』、マイクル・オーウェン = 著)より
- On the same wavelengthのまとめ
On the same wavelengthの意味と由来
直訳すると「同じ波長の上にいる」となります。
ここでいう「波長」はラジオの波長のことを指しています。波長(周波数)をきちんと合わせたラジオはクリアな音でよく聞こえることから、「on the same wavelength」は「2人またはそれ以上の人の考えや価値観がよく似ていて、お互いの理解や意思の疎通、意見の交換などが(周波数をきちんと合わせたラジオのように)上手くいく状態」を意味する表現として広く使用されるようになりました。
日本語でもよく「波長が合う」などと言いますが、「on the same wavelength」はそれにかなり近い英語表現といえます。
日本語では、「波長が合う」のほか、「同じような価値観を持っている」、「考え方がよく似ている」、「息が合う」などと訳されます。
On the same wavelengthの英語による定義
thinking in similar ways
洋書におけるon the same wavelengthの出現頻度
AA[高頻度: 高い頻度で洋書に出てくる必須の英語表現]
(AAA[超高頻度]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)
On the same wavelengthの年代分布
1977年 – 2018年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)
当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1977年発行の『Grinding It Out: The Making of McDonald’s(邦題:成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝)』(レイ・A・クロック、ロバート・アンダーソン = 著)で、最も新しい洋書は2018年発行の『Newcomer(日本語原著:新参者)』(東野圭吾 = 著)でした。
「意味と由来」の項で述べたように、この表現はラジオの波長(周波数)に由来しています。世界で初めての公共ラジオ放送は1920年にアメリカのピッツバーグで行われましたので、この表現は1900年代の前半に生まれ、その後のラジオの普及とともに広く使用されるようになったと推測されます。
On the same wavelengthの出現パターン
on the same wavelengthの出現パターンは主に以下の5つに分類することができます。
パターン1:be on the same wavelength(基本型・最頻出パターン)
パターン2:be (修飾語) on the same wavelength
パターン3:be on the same wavelength as 〜
パターン4:be動詞以外の動詞を使うもの(get、stayなど )
パターン5:前置詞onなしでthe same wavelengthの形で使うもの
パターン1は、この表現の基本型と言える最頻出パターンで次のように使用します。
例文53-1)
My husband and I are on the same wavelength.
妻と私は、同じような価値観を持っています。
パターン2は「on the same wavelength」の前にcompletelyやtotally、really、broadlyなどの修飾語を加えるもので、例文を挙げると次のようになります。
例文53-2)
My husband and I are completely on the same wavelength.
妻と私は、全く同じ価値観を持っています。
例文53-3)
My husband and I aren’t really on the same wavelength, but we have managed to get along well.
妻と私は価値観があまり似ているとは言えないのですが、何とかうまくやってきました。
また、次のような「so that構文」として出てくることもあります。
例文53-4)
We are so much on the same wavelength that we can understand each other without saying a word.
私たちは価値観がとてもよく似ているので、何も言わなくてもお互いに理解することができます。
パターン1では、2人の人が同じような価値観を持つ場合にその2人を主語に持ってきていましたが、次のように2人のいずれか一方のみを主語に持ってくることもできます(パターン3)。
例文53-5)
My husband is on the same wavelength as I am.
妻は私と同じような価値観を持っています。
パターン4は「stay on the same wavelength」のようにbe動詞以外の動詞を使うもので、パターン5は「share the same wavelength」のように前置詞onを使わないものです。
このパターン4とパターン5については、次の「洋書内の実例」の中で紹介します。
洋書内の実例
それでは、実際に洋書内にみられるon the same wavelengthの使用例を紹介していきます。
まずは、パターン1から紹介します。
パターン1:be on the same wavelength(基本型・最頻出パターン)
実例1(パターン1):Jony Ive: The Genius Behind Apple’s Greatest Products (2013)(邦題『ジョナサン・アイブ:偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー』、リーアンダー・ケイニー = 著)より
Mostly, though, he bonded with the soft-spoken Jony, who would later say that he and Jobs saw eye to eye immediately. “We discussed approaches to forms and materials,” Jony recalled. “We were on the same wavelength. I suddenly understood why I loved the company.”
なによりもジョブズは穏やかなジョニーを気に入った。ジョニーは後に、ジョブズとたちまち通じ合ったと語っていた。「僕らはフォルムや素材への姿勢を語り合った。波長が合ったんだ。自分がなぜアップルに惹かれたのか、そのときはっと気づいた」とジョニーは言う。
引用元:
(英語原著)Jony Ive: The Genius Behind Apple’s Greatest Products (2013) by Leander Kahney; CHAPTER 5 Jobs Returns to Apple
(日本語版)『ジョナサン・アイブ:偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー』(リーアンダー・ケイニー = 著、関 美和 = 訳)、日経BP社(2015/1);5(帰ってきたジョブズ)より引用
【単語ノート】
soft-spoken = 穏やかな話し方の
「see eye to eye」という表現にも注目してください。この表現は目と目を合わせれば心が通じ合うように「意見や気持ちが一致する」ことを意味し、ここでは「saw eye to eye immediately」で「たちまち通じ合った」と訳されています。
実例2(パターン1):My Life (2004)(邦題『マイライフ:クリントンの回想』 ビル・クリントン = 著)より
Because of allergies and exhaustion, I griped too much in the mornings. Luckily, Carville and I were on the same wavelength, and he always knew when I was serious and when I was just blowing off steam. I think the others on call came to understand it too.
アレルギーと疲労のため、朝はやたらと不機嫌だったのだ。幸い、カーヴィルはわたしと波長が一致していたので、わたしが本気で怒っているのか、単にガス抜きしているだけなのかをわかってくれた。
引用元:
(英語原著)My Life (2004) by Bill Clinton; Chapter 28
(日本語版)『マイライフ:クリントンの回想』(ビル・クリントン = 著、楡井浩一 = 訳)、朝日新聞社(2004/9);上巻、第28章より引用
(英語原著Audible版)Audible-要約版(一冊無料!Audible無料体験
):Audible版はクリントンさん本人が朗読していてリスニングの練習に最適です。サンプルを聞くだけでも十分に価値のある内容となっています。サンプル再生時間は約10分です。
【単語ノート】
gripe = 愚痴をこぼす、不平を言う
blow off steam = ガス抜きをする、ストレスを発散する
実例3(パターン1):Becoming Steve Jobs (2015)(邦題『スティーブ・ジョブズ 無謀な男が真のリーダーになるまで(上・下)』、ブレント・シュレンダー、リック・テッツェリ = 著)より
But a visit to Pixar helped him realize that he and his boss were on the same wavelength.
その彼が、実は自分とボスは波長が同じなのだと理解したのは、ピクサーを訪問したときだ。
引用元:
(英語原著)Becoming Steve Jobs: The Evolution of a Reckless Upstart Into a Visionary Leader (2015) by Brent Schlender and Rick Tetzeli; Chapter 15 The Whole Widget
(日本語版)『スティーブ・ジョブズ 無謀な男が真のリーダーになるまで(上・下)』(ブレント・シュレンダー、リック・テッツェリ = 著、井口 耕二 = 訳)、日本経済新聞出版社(2016/9);下巻・第15章(十全なウィジェット)より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版(一冊無料!Audible無料体験)
「彼」とは実例1でも出てきたアップルのデザイナー、ジョニー・アイブのことを指していて、「ボス」とはアップルの共同創業者スティーブ・ジョブズのことを指しています。
ジョニー・アイブは、まだジョブズのことをあまりよく知らなかったころは自分がいつ首になるのか戦々恐々としていたそうなのですが、ここでは、iMacの初代モデルを持ってジョブズのもう一つの会社であるピクサーを訪れた時に、ジョブズがジョニー・アイブのことをピクサーの人たちに紹介しているのを聞いて、自分とジョブズは「on the same wavelength」、つまり「波長が同じ」と理解したということが書かれています。
実例4(パターン1):THE UNWRITTEN RULES OF BASEBALL (2009)(邦題『メジャーリーグの書かれざるルール』、ポール・ディクソン = 著)より
15. The catcher and I were on the same wavelength.
(15)キャッチャーと俺は波長が合うんだ。
引用元:
(英語原著)THE UNWRITTEN RULES OF BASEBALL (2009) by Paul Dickson; PART II
(日本語版)『メジャーリーグの書かれざるルール』(ポール・ディクソン = 著、水戸重之 = 監訳)、朝日新聞出版(2010/7);II(野球に関する格言・教訓)より引用
フィリーズのリリーフ投手、ドン・カーマンは1990年のシーズン中に、インタビューでよく使う決まり文句のリストを自分のロッカーに貼っていました。
全部で37個ある決まり文句のうちの15番目がこの引用文で、「on the same wavelength」が「波長が合う」と訳されています。
他の決まり文句としては、「チームメートがいなかったら成し遂げられなかった」、「バッターを褒めるべきだね。いい投球を打ったんだから」などが挙げられています。
このリストは、ロッカーに貼られていただけでなく、「この中から必要な言葉をどうぞ」という文を添えて記者にも配られたそうで、1990年6月23日のAP通信の記事にもこのリストが掲載されたということです。
次は、「on the same wavelength」の前にcompletelyやtotally、really、broadlyなどの修飾語を加えるパターン2です。
パターン2:be (修飾語) on the same wavelength
実例5(パターン2):THE STEVE JOBS WAY: iLEADERSHIP FOR A NEW GENERATION (2011)(邦題『ジョブズ・ウェイ 世界を変えるリーダーシップ』、ジェイ・エリオット、ウィリアム・L ・サイモン = 著)より
John and Steve were so much on the same wavelength that they would sometimes complete each other’s sentences. (Well, actually I never heard them do that, but the story has become part of the John/Steve legend.)
ジョンとスティーブは非常に息が合って、「片方が言いかけたせりふをもう片方が締めくくる」といわれるほどだった(実際にはそんな場面を見たためしがないものの、この表現がふたりの伝説の一部と化している)。
引用元:
(英語原著)THE STEVE JOBS WAY: iLEADERSHIP FOR A NEW GENERATION (2011) by Jay Elliot with William L. Simon; PART III TEAM SPORTS, 6 The Product-Driven Organization
(日本語版)『ジョブズ・ウェイ 世界を変えるリーダーシップ』(ジェイ・エリオット、ウィリアム・L ・サイモン = 著、中山 宥 = 訳)、ソフトバンク クリエイティブ株式会社;第三部(チーム・スポーツ)、6(製品を軸とした組織)より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版(一冊無料!Audible無料体験
);サンプル再生時間約2分30秒
以前に「joined at the hip」という表現を紹介した時に記載したジョン・スカリーとスティーブ・ジョブズの関係がここでも記載されています。
ジョン・スカリーとは、スティーブ・ジョブズが自ら口説き落としてアップルに連れてきたペプシコ社の元社長で、以前紹介したときには2人の関係が「joined at the hip」(一心同体)と表現されていましたが、今回は「on the same wavelength」と表現されていて、「非常に息が合って」と訳されています。
「出現パターン」の項でも記載したように、「on the same wavelength」はこの引用文のように「so that」構文の形で出てくることがあります。
実例6(パターン2):Wellcome to My World (2011)(邦題『ジョニー・ウィアー自伝 Welcome to My World』、ジョニー・ウィアー = 著)より
We were totally on the same wavelength, amazing for any new relationship.
ぼくたちは考えることがまったく同じで、親しくなったばかりなのに驚くほどうまがあった。
引用元:
(英語原著)Wellcome to My World (2011) by Johnny Weir; 12 From Russia with Love (and an Iron Fist)
(日本語版)『ジョニー・ウィアー自伝 Welcome to My World』(ジョニー・ウィアー = 著、田村明子 = 訳)、新書館(2011/4);12 ロシアより愛をこめて(ついでに鉄拳も)より引用
「ぼくたち」とは、この本の著者で元フィギュアスケート選手のジョニー・ウィアーとそのコーチをつとめていたガリーナのことを指しています。
実例7(パターン2):THE PATH TO POWER (1995)(邦題『サッチャー 私の半生』 マーガレット・サッチャー = 著)より
For the next decade, however, we were to be broadly on the same wavelength on the East-West issues that dominated European politics.
しかしながら、この後の十年間、私たちは、ヨーロッパの政治を支配した東西問題について、広い範囲にわたって同じ波長で考えるようになったのだった。
引用元:
(英語原著)THE PATH TO POWER (1995) by Margaret Thatcher; PART ONE: CHAPTER X: Detente or Defeat?
(日本語版)『サッチャー 私の半生〈上・下〉』(マーガレット・サッチャー = 著、石塚 雅彦 = 訳)、日本経済新聞社 (1995/8);下巻、第10章(緊張緩和か、敗北か)より引用
次は、同じような価値観を持つ2人のいずれか一方のみを主語に持ってくるパターン3です。
パターン3:be on the same wavelength as 〜
実例8(パターン3):Grinding It Out: The Making of McDonald’s (1977)(邦題『成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝』、レイ・A・クロック、ロバート・アンダーソン = 著)より
I liked Paul Schrage’s approach, because he was a “detail man” in his field, and he was on the same wavelength as I was concerning the McDonald’s image.
ポール・シュラッゲルはディテールにこだわる人間で、彼のイメージするマクドナルドと私の持つイメージが同じであり、私は彼のやり方が気に入った。
引用元:
(英語原著)Grinding It Out: The Making of McDonald’s (1977) by Ray Kroc with Robert Anderson; Chapter 13
(日本語版)『成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝』(レイ・A・クロック、ロバート・アンダーソン = 著、野崎稚恵 = 訳)、株式会社プレジデント社(2007/1);第十三章(トップは孤独である)より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版(一冊無料!Audible無料体験
);サンプル再生時間5分
カリフォルニア州でドライブイン形式のハンバーガー店を経営していたマクドナルド兄弟からフランチャイズ権を獲得してマクドナルドを全世界に広めたレイ・クロック氏の自伝からの引用です。
ここでは、マクドナルドの全国CMの開始に関わったポール・シュラッゲルという人物の考えがレイ・クロック自身と同じであったことが「on the same wavelength as I was」と表現されています。
実例9(パターン3):Rich Dad’s Success Stories (2003)(邦題『金持ち父さんのサクセス・ストーリーズ – 金持ち父さんに学んだ25人の成功者たち』、ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター = 著)より
We’ve been fortunate enough to have a real estate agent/mentor that is on the same wavelength as people like Robert Kiyosaki and Dolf de Roos.
ロバートやドルフ・デ・ルースなどといった人と同じ考え方をする不動産エージェントであると同時によき師である人物を得た私たちは幸運でした。
引用元:
(英語原著)Rich Dad’s Success Stories (2003) by Robert T. Kiyosaki with Sharon L. Lechter; Chapter 9 A Mutual Decision
(日本語版)『金持ち父さんのサクセス・ストーリーズ – 金持ち父さんに学んだ25人の成功者たち』(ロバート・キヨサキ、シャロン・レクター = 著、春日井晶子 = 訳)、筑摩書房(2004/11);第9章(二人の決断)より引用
実例10(パターン3):I AM OZZY (2009)(邦題『アイ・アム・オジー:オジー・オズボーン自伝』、オジー・オズボーン、クリス・エアーズ = 共著)より
They were very weird people – somewhere-else people, if you know what I mean. Not on the same wavelength as the rest of the world.
彼らはとても変わっていて……私に言わせれば、まるで別の世界の住人のようだった。世の中の他の人達とは全く波長が違う、そんな感じだったんだ。
引用元:
(英語原著)I AM OZZY (2009) by Ozzy Osbourne with Chris Ayres; 4 ‘You Guys Ain’t Black!’
(日本語版)『アイ・アム・オジー:オジー・オズボーン自伝』(オジー・オズボーン、クリス・エアーズ = 共著、迫田はつみ = 訳)、シンコーミュージック・エンタテイメント(2010/8);第4章「お前達、黒くなんかないじゃないか!」より引用
イギリスのロックバンド「ブラック・サバス」のボーカル、オジー・オズボーンの自伝からの引用です。
ここでは、オジー・オズボーンがある夜に出くわしたマンソン・ファミリー(アメリカのカルト指導者チャールズ・マンソン率いるカルト集団)のメンバー達について記載されていて、彼らの醸し出す異様な雰囲気が「Not on the same wavelength as the rest of the world(世の中の他の人達とは全く波長が違う)」と表現されています。
次は、be動詞以外の動詞を使うパターン4です。
パターン4:be動詞以外の動詞を使うもの(get、stayなど )
実例11(パターン4):Kafka on the Shore (2005)(日本語原著『海辺のカフカ(上・下)』、村上春樹 = 著)より
He wasn’t sure why, but striped brown cats were the hardest to get on the same wavelength with.
猫の種類で分けると、どうしてかはわからないのだが、とくに茶色の縞猫とは会話の波長があわないことが多かった。
引用元:
(英語版)Kafka on the Shore (2005) by Haruki Murakami, translated from the Japanese by Philip Gabriel; Chapter 10
(日本語原著)『海辺のカフカ(上・下)』(村上春樹 = 著)、新潮社(2002/9);第10章より引用
(英語版Audible版)Audible-完全版(一冊無料!Audible無料体験
)
【単語ノート】
striped = 縞模様のついた
「get on the same wavelength」は、バスや電車に「乗る」の「get on」と同じ用法で、「同じ波長の上に乗る」と考えると理解しやすいと思います。
実例12(パターン4):STEVE JOBS: THE BIOGRAPHY (2011)(邦題『スティーブ・ジョブズ』、ウォルター・アイザックソン = 著)より
The ethereal quality that made her seem so spiritual to Jobs also made it hard for them to stay on the same wavelength.
彼女をスピリチュアルな存在だとジョブズに感じさせた霊妙な性格であるからこそ、ふたりは波長が合わなかったのだ。
引用元:
(英語原著)Steve Jobs (2011) by Walter Isaacson; CHAPTER TWENTY A REGULAR GUY Love Is Just a Four-Letter Word
(日本語版)『スティーブ・ジョブズ(I・II)』(ウォルター・アイザックソン = 著、井口耕二 = 訳)、講談社(2011/10-11);第3章(レギュラー・ガイ 凡夫を取り巻く人間模様)より引用
(英語原著Audible版)Audible-完全版(一冊無料!Audible無料体験
);サンプル再生時間5分
【単語ノート】
ethereal = この上なく優美な、霊妙な、この世のものとは思えない
「彼女」とは、ジョブズのかつての恋人ティナ・レドセのことを指しています。1985年の夏、アップルで権力を失った当時30歳のスティーブ・ジョブズは、ヨーロッパに失意の旅に出るのですが、その旅に同行していたのがティナ・レドセで、二人はセーヌ川のほとりでそのままフランスに残って新しい生活を始めることを話し合っていたといいます。しかし、野心冷めやらぬジョブズは、この旅の後、アップルへの復讐を胸にネクストコンピュータ社を設立することとなります。
最後は、「share the same wavelength」など、前置詞onを使用しないパターン5です。
パターン5:前置詞onなしでthe same wavelengthの形で使うもの
実例13(パターン5):Raising the Bar: The Championship Years of Tiger Woods (2000)(邦題『新帝王伝説 タイガー・ウッズ 新たなる挑戦』、ティム・ロザフォート = 著)より
In the 35-year-old Williams, Woods also had someone he could train with, use as a bodyguard, and, most important, share the same wavelength on yardage and club selection.
さらに、三十五歳のウィリアムズは、仲間としても、ボディガードとしても申し分なく、ここが肝心な点だが、ヤーデイジとクラブ選択に関してタイガーと波長が合った。
引用元:
(英語原著)Raising the Bar: The Championship Years of Tiger Woods (2000) BY TIM ROSAFORTE; Chapter 24. THE INNER CIRCLE
(日本語版)『新帝王伝説 タイガー・ウッズ 新たなる挑戦』(ティム・ロザフォート = 著、小林浩子 = 訳)、文藝春秋(2001/05);24章(チーム・タイガー)より引用
実例14(パターン5):Michael Owen: Off the Record (2004)(邦題『オーウェン』、マイクル・オーウェン = 著)より
In those situations, good players find the same wavelength, and our hope was that we could drag the game into a penalty shoot-out.
このような状況下では、まともなプレーヤーの考えることは皆同じだ。試合をPK戦に持ち込んで望みをつなぐ。
引用元:
(英語原著)Michael Owen: Off the Record (2004) by Michael Owen; 6 Wonder Goal
(日本語版)『オーウェン』(マイクル・オーウェン = 著、東本貢司 = 訳)、PHP研究所(2006/6);第6章(運命のワンダーゴール)より引用
1998年6月30日に南フランスのサンテティエンヌで行われたワールドカップフランス大会の決勝トーナメント一回戦、イングランド vs. アルゼンチン戦。イングランド代表として出場していた当時18歳のマイケル・オーウェンは、この試合で彼の人生を一変させる「ワンダー・ゴール」を挙げ、一躍スターダムにのし上がるのですが、この試合には、オーウェンの「ワンダー・ゴール」以外にもワールドカップ史に残る有名なシーンがありました。2-2で迎えた後半開始直後、アルゼンチンのディエゴ・シメオネの挑発行為に乗ってしまったデイビッド・ベッカムの一発退場でした。
上記引用文の「このような状況」とは、ベッカムの退場によりイングランドが一人少なくなった状況を指しています。イングランドは、この引用文のとおりに一人多いアルゼンチンの攻撃をしのいで何とかPK戦に持ち込むのですが、結局PK戦で敗れてしまいます。
On the same wavelengthのまとめ
それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。
on the same wavelength
- 由来:波長(周波数)をきちんと合わせたラジオはクリアな音でよく聞こえることから。
- 意味:波長が合う、同じような価値観を持っている、考え方がよく似ている、息が合う
- 英語による定義:thinking in similar ways
- 出現頻度:AA[高頻度: 高い頻度で洋書に出てくる必須の英語表現]
- 出現パターン:
パターン1:be on the same wavelength(基本型・最頻出パターン)
パターン2:be (修飾語) on the same wavelength
パターン3:be on the same wavelength as 〜
パターン4:be動詞以外の動詞を使うもの(get、stayなど )
パターン5:前置詞onなしでthe same wavelengthの形で使うもの - 例文:
My husband and I are on the same wavelength.
妻と私は、同じような価値観を持っています。
My husband and I are completely on the same wavelength.
妻と私は、全く同じ価値観を持っています。
My husband and I aren’t really on the same wavelength, but we have managed to get along well.
妻と私は価値観があまり似ているとは言えないのですが、何とかうまくやってきました。
We are so much on the same wavelength that we can understand each other without saying a word.
私たちは価値観がとてもよく似ているので、何も言わなくてもお互いに理解することができます。
My husband is on the same wavelength as I am.
妻は私と同じような価値観を持っています。
今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。