洋書に出てくる英語表現0028:in the soup【おすすめ英語フレーズ編20】

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「洋書に出てくる英語表現」の第28回は、フレーズ編の第20回として「in the soup」を取り上げます。

時に英英辞書などで「old-fashioned(古めかしい表現)」と注意書きされているこの表現ですが、古めかしいからと言って使わないというわけではありません。

威厳を出すために「古めかしい表現」を好んで使う人もいれば、古めかしさを出すためにわざと「古めかしい表現」が使用される場合もあります。

実際に、洋書にもちょくちょく出てきますので、今回は古めかしい響きのある「in the soup」を紹介します。

In the soupの意味と由来

直訳すると「スープの中に」となります。

スープの中にいたら、温泉みたいにホカホカでスープも飲み放題だしいいなぁと思うかも知れませんが、この表現は窮地に陥っていることを意味します

スープの中にいることがなぜ窮地に陥っていることを意味するのかについては、「熱いスープの中に入れられると困ってしまうから」など諸説あるのですが、私が気に入っているのはあるドジなウェイターに由来するという説です。

そのウェイターはやけどしそうなくらい熱いスープを運んでいたのですが、その途中につまずいて転んでしまい、その熱々のスープを頭からかぶってしまいました。そこである客が振り向いて「あのウェイターは一体どうしたんだい?」と尋ねたところ、別の客が「He’s in the soup.」と言ったとされる説です。

この話が本当なのかどうかはわかりませんが、とても面白い説ですよね。

この表現は1800年代の中頃にアメリカで生まれたとされていますが、この後の「洋書内の実例」で紹介するように、イギリスの小説家P・G・ウッドハウスによる1923年発行の『The Inimitable Jeeves(比類なきジーヴス)』や同じくイギリスの推理作家アガサ・クリスティーによる1928年発行の『The Mystery of the Blue Train(青列車殺人事件)』にその使用がみられますので、早い段階でイギリスにも広まっていたと考えられます。

日本語では、「窮地に陥って」、「困り果てて」、「泥沼にはまって」、「苦境に陥って」などと訳されます。

In the soupの英語による定義

in trouble

洋書におけるin the soupの出現頻度

A[中頻度:高めの頻度で洋書に出てくる準必須の英語表現]

(AAA[超頻出]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

In the soupの年代分布

1923年 – 2018年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1923年発行の『The Inimitable Jeeves(邦題:比類なきジーヴス )』(P・G・ウッドハウス = 著)で、最も新しい洋書は2018年発行の『FIRE AND FURY: INSIDE THE TRUMP WHITE HOUSE(邦題:炎と怒り——トランプ政権の内幕)』(マイケル・ウォルフ = 著)でした。

「old-fashioned(古めかしい表現)」と注意書きされることのある表現の割には、古い書籍から新しい書籍まであまり偏りなく使用が認められました。

In the soupの出現パターン

in the soupの出現パターンは主に以下の2つに分類することができます。

パターン1:be in the soup(基本型・最頻出パターン)
パターン2:drop (throw, put, leave) someone in the soup

1つ目は、最も高頻度にみられるbe動詞を使うパターンで、例文を挙げると、

例文28-1)
I lost my bag. There’s my wallet, credit cards, and cell phone in it. I’m really in the soup.
(バックをなくしてしまいました。その中には財布やクレジットカード、携帯電話が入っていたので、本当に困っています。)

のようになります。

もう1つは、dropなどの一般動詞を使って「誰々を窮地に陥らせる」という意味で使用するパターンです。dropの他にも、throwやput、leaveなどの動詞が使用されます。

例文28-2)
I let him use my computer last week, but I never thought it would drop me in the soup at that time.
(先週、彼に私のパソコンを使わせてあげたのだけど、その時はそれが原因で私が窮地に陥ることになろうとは思いもしませんでした。)

洋書内の実例

in the soupのイメージ画像2です。

それでは、実際に洋書内にみられるin the soupの使用例を紹介していきます。

まずは、be動詞を使うパターン1から紹介します。

パターン1:be in the soup(基本型・最頻出パターン)

実例1(パターン1):My Life (2004)(邦題『マイライフ:クリントンの回想』 ビル・クリントン = 著)より

On March 29, I was back in the soup again, with a problem of my own making.
三月二十九日、わたしはみずからの失態でまた泥沼にはまってしまった

引用元:
(英語原著)My Life (2004) by Bill Clinton; Chapter 27
(日本語版)『マイライフ:クリントンの回想』(ビル・クリントン = 著、楡井浩一 = 訳)、朝日新聞社(2004/9);上巻、第27章より引用
(英語原著Audible版)Audible版-要約版一冊無料!Audible無料体験):Audible版はクリントンさん本人が朗読していてリスニングの練習に最適です。サンプルを聞くだけでも十分に価値のある内容となっています。サンプル再生時間は約10分です。

ビル・クリントン氏と言えば、日本でもよく報道されていた1998年のモニカ・ルインスキーさんとの「不適切な関係」(いわゆるモニカ・ルインスキー事件)の件で、「失態」のイメージが強い方も多いと思いますが、ここではそれとは別の失態について語られています。

あるテレビ討論会で、記者がクリントン氏に対し、オックスフォード大学在学中にマリファナ( marijuana)を試したことがあるか尋ねたところ、クリントン氏は英国で一度か二度試したことがあるが、その後は一度も試していない、という主旨の回答をしたため、マスコミがその話題に飛びつき、それがクリントン氏の「人格問題」に発展したということです。

ちなみに、選挙の報道などでよく耳にする「人格問題」は英語で「character issue」と言い、このクリントンさんの自伝でも「character issue」という表現が使われています。

「of my own making」という表現にも注目して下さい。「of one’s own making」は「自ら作り出した」という意味で、例えば

My success is not just of my own making.
(私の成功は私一人の力によるものではない)

You always blame others for problems of your own making.
(あなたは、あなた自身が招いた問題をいつも他人のせいにしますね)

のように使用されます。

実例2(パターン1):The Mystery of the Blue Train (1928)(邦題『青列車殺人事件』、アガサ・クリスティ = 著)より

“Is there any reason why I should pass them on?”
「私がそのような噂などを、お耳に入れるべき理由がございましょうか」

“Yes,” said Poirot, “I think there is. You may remember, M. Papopolous, that seventeen years ago there was a certain article in your hands, left there as security by a very – er – Prominent Person. It was in your keeping and it unaccountably disappeared. You were, if I may use the English expression, in the soup.”
「ございますとも。あなたは今から十七年前に、ある非常に高貴なお方から、担保としてある品があなたに託されたことをご記憶でございましょう。それがあなたの保管中に、不思議にも紛失して、あなたは苦境に陥ってしまわれました

引用元:
(英語原著)The Mystery of the Blue Train (1928) by Agatha Christie; Chapter 22 M. Papopolous Breakfasts
(日本語版)『青列車殺人事件』(アガサ・クリスティ = 著、松本恵子 = 訳)、グーテンベルク21(2004/6);3(ローシ伯爵出頭)、パポポラスの朝食、より引用。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/6/24確認)。(Kindle Unlimited 無料体験
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間10分

【単語ノート】
unaccountably = どういうわけか、不思議なことに

英文中の「er」は、いわゆる「間投詞」と呼ばれるもので、日本語の「あのー」や「えーと」に相当します。

実例3(パターン1):I Am a Cat (1972)(日本語原著『吾輩は猫である』、夏目漱石 = 著)より

“My father is very strict and my mother is only a stepmother, so if anything happened such as being expelled, I’d really be in the soup. Do you reckon I’ll get expelled?”
「先生、僕のおやじさんは大変やかましい人で、それにお母さんが継母ですから、もし退校にでもなろうもんなら、僕あ困っちまうです。本当に退校になるでしょうか」

引用元:
(英語版)I Am a Cat (1972) by Soseki Natsume, translated by Aiko Ito and Graeme Wilson; Volume Three Chapter III
(日本語原著)『吾輩は猫である』(夏目漱石 = 著)、初出:「ホトトギス」(1905〜1906);十より引用

【単語ノート】
expel = 追放する;除名する、退学させる
reckon = 推測する、思う

次は当ブログの調査で確認されたin the soupの最も古い使用例です。

実例4(パターン1):The Inimitable Jeeves (1923)(邦題『比類なきジーヴス』、P・G・ウッドハウス = 著)より

You see, I’m pretty well dependent on the old boy. If he cut off my allowance, I should be very much in the soup.
わかったろう。俺は伯父貴に完全に頼りきっているからな、もし小遣いを減らされることにでもなったら、大弱りなんだ

引用元:
(英語原著)The Inimitable Jeeves (1923) by P. G. Wodehouse; Chapter 1 JEEVES EXERTS THE OLD CEREBELLUM
(日本語版)『比類なきジーヴス』(P・G・ウッドハウス = 著、森村たまき = 訳)、国書刊行会(2005/2);第1章(ジーヴス、小脳を稼動させる)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

【単語ノート】
allowance = 手当、小遣い

 

続いて、dropなどの一般動詞を使うパターン2の実例を紹介します。

パターン2:drop (throw, put, leave) someone in the soup

実例5(パターン2):ALEX FERGUSON: My Autobiography (2013)(邦題『アレックス・ファーガソン自伝』、アレックス・ファーガソン = 著より)

I never went out of my way to drop a referee in the soup.
わざと審判を窮地に陥れようとしたことなどない。

引用元:
(英語原著)ALEX FERGUSON: My Autobiography (2013) by Alex Ferguson; 25. The Last Campaign
(日本語版)『アレックス・ファーガソン自伝』(アレックス・ファーガソン =著、小林玲子 = 訳)、日本文芸社(2014/5);第25章(最終シーズン)より引用
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2012年10月28日にチェルシーFCのホームスタジアムStamford Bridgeで行われたマンチェスター・ユナイテッドFC vs. チェルシーFC戦では、主審のマーク・クラッテンバーグがチェルシーの複数の選手に人種差別発言をしたとして、ロンドン警視庁が捜査を開始するという事態に発展しました(証拠がなかったため捜査は打ち切り)。

この試合では当時マンチェスター・ユナイテッドの監督であったアレックス・ファーガソンが主審のクラッテンバーグを脅してチェルシーの選手を退場にさせたという疑いが持たれていて、その点に関連してファーガソンが審判との関係について記載したのがこの引用文となります。

「go out of one’s way to 〜」は、「わざわざ〜する」という意味のフレーズです。

 

次は当ブログの調査で確認されたin the soupの最も新しい使用例です。

実例6(パターン2):FIRE AND FURY: INSIDE THE TRUMP WHITE HOUSE (2018)(邦題『炎と怒り — トランプ政権の内幕』、マイケル・ウォルフ = 著)より

Flynn was going to throw him in the soup.
フリンがトランプを窮地に追い込もうとしている。

引用元:
(英語原著)FIRE AND FURY: INSIDE THE TRUMP WHITE HOUSE (2018) by Michael Wolff: 16 COMEY
(日本語版)『炎と怒り — トランプ政権の内幕』(マイケル・ウォルフ = 著、関根光宏、藤田美菜子 = 訳)、早川書房(2018/2);16(コミー)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間約6分

実例7(パターン2):BUSH AT WAR (2002)(邦題『ブッシュの戦争』、ボブ・ウッドワード = 著)より

Cheney argued that to ask for a new resolution would put them back in the soup of the United Nations process – hopeless, endless and irresolute.
チェイニーは、新たな決議を求めることは、国連の手続きという、見込みもなく、いつ果てるともなく、煮え切らない厄介な事態にふたたびはまるだけだと主張した。

引用元:
(英語原著)BUSH AT WAR (2002) by Bob Woodward; EPILOGUE
(日本語版)『ブッシュの戦争』(ボブ・ウッドワード = 著、伏見 威蕃 = 訳)、日本経済新聞社(2003/2);エピローグより引用
(英語原著Audible版)Audible版-要約一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間15分

【単語ノート】
irresolute = 煮えきらない、優柔不断な

実例8(パターン2):Jeeves and the Wedding Bells (2013)(邦題『ジーヴズと婚礼の鐘』、セバスチャン・フォークス = 著)より

But this leaves me in the soup, doesn’t it? How am I supposed to play Cupid when there’s no one to press my evening shirt?’
だけど、それでは僕が厄介な立場に陥るだろう。夜会用のシャツをアイロンがけしてくれる者もいない状況で、どうやってキューピッド役を務められるというんだ?」

引用元:
(英語原著)Jeeves and the Wedding Bells (2013) by Sebastian Faulks; Chapter Three
(日本語版)『ジーヴズと婚礼の鐘』(セバスチャン・フォークス = 著、村山美雪 = 訳)、竹書房(2016/4);第3章より引用。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/6/24確認)。(Kindle Unlimited 無料体験
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

【単語ノート】
play Cupid = キューピッド役を務める、恋の橋渡し役をする
press = 押す;アイロンをかける

Georgiana had almost dropped me in the soup by using my real name – an odd lapse, I thought, for such a clever girl.
ジョージアナはほんとうの名前をうっかり口にして僕を窮地に陥らせかけた — あれほど聡明な女性にしては考えがたい過失だ。

引用元:
(英語原著)Jeeves and the Wedding Bells (2013) by Sebastian Faulks; Chapter Six
(日本語版)『ジーヴズと婚礼の鐘』(セバスチャン・フォークス = 著、村山美雪 = 訳)、竹書房(2016/4);第6章より引用。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/6/24確認)。(Kindle Unlimited 無料体験
(英語原著Audible版)Audible-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

【単語ノート】
lapse = 過失

この本は、P・G・ウッドハウスによるジーヴズシリーズをP・G・ウッドハウス以外の作家が執筆するという一種のパロディ作品なのですが、「in the soup」が上記の使用例を含めて3箇所出てきます。

「in the soup」は本家のジーヴズシリーズにも出てきますので、この作品ではジーヴズシリーズの世界観に近づけるために、「in the soup」という「古めかしい表現」を使用することによって、わざと古めかしさを出しているのだと考えられます。

In the soupのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

in the soup

in the soupのイメージ画像1です。

  • 由来:つまずいて熱々のスープを頭からかぶってしまったドジなウェイターの話から(諸説あり)。
  • 意味:窮地に陥って、困り果てて、泥沼にはまって
  • 英語による定義:in trouble
  • 出現頻度:A[中頻度:高めの頻度で洋書に出てくる準必須の英語表現]
  • 出現パターン
    パターン1:be in the soup(基本型・最頻出パターン)
    パターン2:drop (throw, put, leave) someone in the soup
  • 例文
    I lost my bag. There’s my wallet, credit cards, and cell phone in it. I’m really in the soup.
    (バックをなくしてしまいました。その中には財布やクレジットカード、携帯電話が入っていたので、本当に困っています。)
    I let him use my computer last week, but I never thought it would drop me in the soup at that time.
    (先週、彼に私のパソコンを使わせてあげたのだけど、その時はそれが原因で私が窮地に陥ることになろうとは思いもしませんでした。)

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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