洋書に出てくる英語表現0022:two-faced【ハイフンワード編5】

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「洋書に出てくる英語表現」の第22回は「ハイフンワード編」の第5回として「two-faced」を取り上げます。

Two-facedの意味と由来

前回の「about-face」からの「face」つながりということで今回「two-faced」を取り上げたわけですが、「about-face」のように想像もつかないような意味を持っているわけではありません。みなさんが想像する通りの意味だと思います。

まずは次の文章を見て下さい。

Say one thing during the campaign and do another thing once in office, and you’re a typical, two-faced politician.

2006年に発行されたバラク・オバマ元アメリカ大統領の『The Audacity of Hope: Thoughts on Reclaiming the American Dream(邦題:合衆国再生 – 大いなる希望を抱いて)』という書籍からの引用です。

ちなみに英文タイトル内の「 audacity」は「大胆さ、勇敢さ」という意味で、「 audacity of hope」で「大胆な希望」、すなわちタイトルにある「大いなる希望」という意味になります。

この本の第4章「政治の真実」によると、オバマ氏は予備選の選挙運動中に、さまざまな団体から送られてくる50を越える数のアンケートに回答したと言います。それらのアンケートには「もしあなたが当選したら何々の法律を廃止すると厳粛に誓いますか?」というような質問が10個ほど記載されていて、その多くの質問には「イエス」と答えられるのですが、たまに手が止まる質問があると言います。

オバマ氏はそういう質問には明確に回答せずに、「難しい政治的選択がともなう」と注釈を加えるのですが、それではアンケートを送ってきた団体からの支持が得られないと選挙スタッフが首を横に振るということです。

そういった流れで出てくるのが上の引用文で、「選挙運動中にあることを口にしておいて、公職に就いてから別のことをしたのでは、典型的なtwo-facedの政治家になる」と述べられています。

みなさんお分かりですね。「two-faced」は「表裏がある」という意味で、ここでは「二枚舌の」と訳されています。

Say one thing during the campaign and do another thing once in office, and you’re a typical, two-faced politician.
しかし、選挙運動中にあることを口にしておいて、公職に就いてから別のことをしたのでは、典型的な二枚舌の政治家になる。

引用元:
(英語原著)The Audacity of Hope: Thoughts on Reclaiming the American Dream (2006) by Barack Obama; Chapter 4 Politics
(日本語版)『合衆国再生 – 大いなる希望を抱いて』(バラク・オバマ = 著、棚橋 志行 = 訳)、ダイヤモンド社(2007/12);第4章(政治の真実)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-要約版一冊無料!Audible無料体験);Audible版はオバマ氏本人が朗読しています。サンプルだけでも聴く価値アリです。

このようにtwo-facedは、日本語では「表裏がある」や「二枚舌の」と訳されるほか、「二重人格の」、「陰日向がある」などと訳されます。

ただ、「red-handed」のところでも述べたように、その言葉の持つ本来の意味も意識しておく必要があります。「red-handed」の場合であれば、辞書にはよく「現行犯の」という訳語が載っていて、実際に「現行犯の」という意味で使われることが多いのですが、その本来の意味である「赤い手をした」という意味で用いられることもあれば、「手が血だらけの」という意味で用いられることもあります。そういった時に「red-handed=現行犯の」と杓子定規に覚えていると意味が理解できなくなると述べました。

それと同じように今回の「two-faced」も、「表裏がある」や「二重人格の」という意味で用いられることが圧倒的に多いのですが、まれに「2つの顔をもった」(比喩的な意味ではなく、本当に顔が2つある)という意味で使われることもありますので、その点を頭の片隅に置いておくと良いと思います。

洋書におけるtwo-facedの出現頻度

A[中頻度:高めの頻度で洋書に出てくる準必須の英語表現]
(AAA[超頻出]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

Two-facedの年代分布

1933年 – 2017年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1933年発行の『The American Gun Mystery(邦題:アメリカロデオ射殺事件)』(エラリー・クイーン = 著)で、最も新しい洋書は東野圭吾さんの『ゲームの名は誘拐』の英訳版である2017年発行の『The Name of the Game is a Kidnapping』でした。

少なくとも1900年代初期から使用されていて、現在も高頻度に使用されている定番の英語表現の1つであることに加えて、意味も理解しやすいので、英会話に安心して使用できる表現と言えます。

Two-facedの出現パターン

two-facedのイメージ画像2です。

 

two-facedの用法に特に出現パターンと言えるような特別な型は見当たりません。

多くの形容詞と同じように、「two-faced + 名詞」の形で用いる限定用法と「(主語) is two-faced」や「(主語) looks two-faced」のように補語として用いる叙述用法があります。

例文を上げると次のようになります。

例文22-1)
I can’t work with a two-faced man like him.
(彼みたいな二重人格の男とは働けない。)

例文22-2)
I can’t believe her, because she is a little bit two-faced.
(彼女は二重人格の気があるので、彼女のことを信じることはできない。)

洋書内の実例

two-facedのイメージ画像3です。

それでは、実際に洋書内にみられるtwo-facedの使用例を紹介していきます。

まずは、「two-faced + 名詞」の形で用いる限定用法から紹介していきます。

実例1(限定用法):Cheating Death, Stealing Life: The Eddie Guerrero Story(2005)(邦題『エディ・ゲレロ自伝 』、エディ・ゲレロ、マイケル・クラッグマン = 著)より

I knew him from back in Mexico and he was one of the most two-faced guys I’ve ever had the displeasure of working with.
He’d shake your hand and say, “I’m so thankful, it’s an honor to work with you,” then badmouth you behind your back. You could never believe half the shit he said. Maybe some of it was true, maybe it wasn’t. To this day, I still don’t know when that guy was being honest.
メキシコ時代からあいつのことは知っているが、一緒に働きたくないと思っていた二枚舌を持つ男なのだ。
「本当に嬉しいよ、一緒に働けて光栄だ」と言いながら握手をするのに、相手がいないところでは悪口を言う。あいつが言ったことは半分も信用できない。中には本当のこともあるのだろうが、そうでないことがほとんどだ。今日まであいつが正直だったことがあるのか、それはいまだに謎だ。

引用元:
(英語原著)Cheating Death, Stealing Life: The Eddie Guerrero Story (2005) by Eddie Guerrero with Michael Krugman;CHAPTER 24
(日本語版)『エディ・ゲレロ自伝』(エディ・ゲレロ、マイケル・クラッグマン = 著、井川昌子ほか = 訳)、エンターブレイン(2006/10);第24章より引用

「two-faced」の意味がとてもよく分かる文章だったので、一番最初に持ってきました。

この文章の主語である「I」は、エディ・ゲレロ(Eddie Guerrero)というアメリカ・テキサス州出身のメキシコ系アメリカ人プロレスラーを指しています。以前にも紹介したように、このエディ・ゲレロは、日本では、二代目ブラックタイガーとして、三代目タイガーマスクや獣神サンダー・ライガーと激闘を繰り広げたことでも有名で、2005年11月に遠征先のホテルで動脈硬化性疾患により38歳で急死しました。

そのエディ・ゲレロの自伝からの引用なのですが、この文章に出てくる「あいつ」とはバンピーロというtwo-facedなプロレスラーを指していて、ここでは「two-faced guy」が「二枚舌を持つ男」と訳されています。

「badmouth」という表現にも注目して下さい。これも頻出表現です。「けなす」とか「こきおろす」、「悪口を言う」という意味の動詞で、「bad-mouth」のようにハイフンが入ることが多いです。この文章のように「behind one’s back([人]のいないところで、陰で)」とともに用いるパターンもよく見られます。

実例2(限定用法):Harry Potter and the Deathly Hallows (2007)(邦題『ハリー・ポッターと死の秘宝』、J.K.ローリング = 著)より

‘And that’s the second time we’ve saved your life tonight, you two-faced bastard!’ Ron yelled.
「命を助けてやったのは、今晩これで二回目だぞ、この日和見の悪党!」ロンが叫んだ。

引用元:
(英語原著)Harry Potter and the Deathly Hallows (2007) by J.K. Rowling; CHAPTER THIRTY-TWO The Elder Wand
(日本語版)『ハリー・ポッターと死の秘宝』(J.K.ローリング = 著、松岡 佑子 = 訳)、静山社(2008/07);第32章(ニワトコの杖)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験

ここでは「two-faced」が「日和見の」と訳されていますね。bastardは「ろくでなし」という意味です。

実例3(限定用法):Edge (2012)(日本語原著『エッジ(上・下)』、鈴木光司 = 著)より

Despite herself, however, Saeko gave Seiji a smile. She didn’t like being two-faced, but she did her best to feign happiness to see him.
しかし冴子は、嫌々ながら精二に笑いかけた。二重人格と言われても仕方がないほど、心とは裏腹の作り笑顔……。

引用元:
(英語版)Edge (2012) by Koji Suzuki, translated by Camellia Nieh and Jonathan Lloyd-Davies; Chapter 1: Missing
(日本語原著)『エッジ(上・下)』(鈴木光司 = 著)、角川書店(2008/12);上巻・第一章(失踪)より引用。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/6/17確認)。(Kindle Unlimited 無料体験

feign」という動詞にも注目して下さい。「feign」は「〜を装う」、「〜のふりをする」という意味で、ここでは「幸せを装う」、つまり「精二に会えて嬉しいふりをする」、という意味で使われています。

このようにfeignの後には名詞が続くのが特徴で、

「控えめなふりをする」であれば「 feign modesty」、

「憤りを装う」であれば「 feign indignation」、

「ケガしたふりをする」であれば「 feign injury」、

「同情しているふりをする」であれば「 feign sympathy」、

「無関心を装う」であれば「 feign indifference」

のように、様々な形で出現します。

次は、two-facedを補語として用いる叙述用法の実例を紹介します。

実例4(叙述用法):TRUMP : THE ART OF THE DEAL (1987)(邦題『トランプ自伝 不動産王にビジネスを学ぶ』、ドナルド・トランプ、トニー・シュウォーツ= 著)より

He was never two-faced.
彼には全く表裏がなかった

引用元:
(英語原著)TRUMP : THE ART OF THE DEAL (1987) by Donald Trump with Tony Schwartz; 5 THE MOVE TO MANHATTAN
(日本語版)『トランプ自伝 不動産王にビジネスを学ぶ』(ドナルド・トランプ、トニー・シュウォーツ= 著、相原真理子 = 訳)、筑摩書房 (2008/2);5(マンハッタンヘ)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間約7分;Audible版はトランプさん本人が朗読しています。サンプルだけでも聴く価値アリです。

若き日のドナルド・トランプが一九七一年にマンハッタンに移り住んだ頃に出会ったロイ・コーンという弁護士について記載している部分からの引用です。この文章の「He」はそのロイという弁護士を指していて、ロイは非常に頭の切れる心底誠実な男で「never two-faced」だった、つまり「全く表裏がなかった」と記載されています。

実例5(叙述用法):CYNDI LAUPER: A Memoir (2012)(邦題『トゥルー・カラーズ:シンディ・ローパー自伝』、シンディ・ローパー&ジャンシー・ダン = 著)より

I had so much fun with Sharon Osbourne, who I adore, but the rest of the girls were two-faced.
憧れのシャロン・オズボーンとはすごく楽しかったけど、他の女の子たちは陰日向があった

引用元:
(英語原著)CYNDI LAUPER: A Memoir (2012) by Cyndi Lauper with Jancee Dunn; CHAPTER SIXTEEN
(日本語版)『トゥルー・カラーズ:シンディ・ローパー自伝』(シンディ・ローパー&ジャンシー・ダン = 著、沼崎敦子 = 訳)、白夜書房(2013/3);第十六章より引用

この文章の主語である「I」は、「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン(Girls Just Want to Have Fun)」(1984)などのヒット曲で知られるアメリカの歌手シンディ・ローパー(Cyndi Lauper)を指しています。

そのシンディ・ローパーがドナルド・トランプのリアリティ番組『アプレンティス(The Celebrity Apprentice)』に出演することになった時のことを書いているのがこの文章で、他の出演者の女の子たちがtwo-facedであったと書かれていて、ここでは「陰日向があった」と訳されています。

ここで出てくる「シャロン・オズボーン(Sharon Osbourne)」は、イギリスのロックバンド「ブラック・サバス」のボーカルであるオジー・オズボーンの奥さん兼辣腕マネージャーで、音楽プロデューサーもされている方です。

 

実例6(叙述用法):The Name of the Game is a Kidnapping (2017)(日本語原著『ゲームの名は誘拐』、 東野圭吾 = 著)より

When I really watched her, though, I saw that we weren’t the only ones she was two-faced with.
だけどよくよく観察してみると、表の顔と裏の顔を使い分けてるのは、俺たちに対してだけじゃないとわかってきた。

引用元:
(英語版)The Name of the Game is a Kidnapping (2017) by Keigo Higashino, translated by Jan Mitsuko Cash; Chapter 11
(日本語原著)『ゲームの名は誘拐』(東野圭吾 = 著)、光文社(2002/11);第11章より引用

映画化もされた東野圭吾さんの小説『ゲームの名は誘拐』の英訳版からの引用です。

敏腕広告クリエイターの主人公・佐久間駿介は、仕事で辛酸を舐めさせられた日星自動車の副社長・葛城勝俊の娘・樹理に狂言誘拐を持ちかけ、葛城勝俊から3億円を奪い取ることを計画します。

その主人公・佐久間駿介の両親は佐久間が幼い頃に離婚していて、佐久間は父親に引き取られるのですが、小学生の時に父親が病死したため、佐久間は実家に帰っていた母親のところで、祖父母や長男夫婦とともに暮らすことになります。

そうした生い立ちを葛城樹理に語っているのが上記の文章で、「she」は母親の実家で一緒に暮らしていた血のつながっていない伯母さんのことを指しています。血のつながっていない伯母さんにとっては、子連れの出戻りは迷惑以外の何者でもなかったが、露骨には表面に出しておらず、そのように「表の顔と裏の顔を使い分けているのは、俺たちに対してだけじゃないとわかってきた」と記載されていて、「表の顔と裏の顔を使い分けている」の部分の英訳にtwo-facedが使われています。

Two-facedのまとめ

two-facedのイメージ画像4です。

 

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

two-faced

  • 意味と由来:「2つの顔を持った」が本来の意味。それが転じて、「表裏がある」、「二枚舌の」、「二重人格の」という意味で用いられる。
  • 出現頻度:A[中頻度:高めの頻度で洋書に出てくる準必須の英語表現]
  • 出現パターン:多くの形容詞と同じように、「two-faced + 名詞」の形で用いる限定用法と「(主語) is two-faced」や「(主語) looks two-faced」のように補語として用いる叙述用法のパターンがある。
  • 例文
    I can’t work with a two-faced man like him.
    (彼みたいな二重人格の男とは働けない。)
    I can’t believe her, because she is a little bit two-faced.
    (彼女は二重人格の気があるので、彼女のことを信じることはできない。)

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。,

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