洋書に出てくる英語表現0019:joined at the hip【おすすめ英語フレーズ編14】

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「洋書に出てくる英語表現」の第19回は、フレーズ編の第14回として「joined at the hip」を取り上げます。

日本人的な感覚からすると、この表現はその由来から考えて若干差別的な感じがするのですが、実際によく使われていますので、紹介しておきます。

Joined at the hipの意味と由来

この表現は、直訳すると「お尻のところでくっついている」となるのですが、みなさんは「お尻のところでくっついている」と聞いて何を想像されるでしょうか。

男と女の間で行われるエロティックな営みを想像される方もいるかもしれませんが、結合体双生児( conjoined twins)に由来するというのが一番有力な説です。

結合体双生児というのは、体の一部がくっついた状態で生まれてきた双子のことで、日本では1988年に日本で分離手術を受けたベトちゃんドクちゃんが有名です。

しかし、この「joined at the hip」の由来となったのは、ベトちゃんドクちゃんではなく、兄のチャンと弟のエンからなるブンカー兄弟(Chang and Eng Bunker)だと一般に言われています。

このブンカー兄弟は、現在のタイに相当するシャムの出身で、1830年頃にサーカスの見世物として欧米を巡業していて有名であったことから、 Siamese twins(シャム双生児)という言葉が生まれ、Siamese twinsという表現は結合体双生児を意味する言葉としてその後広く使用されるようになり、1933年に発行されたエラリー・クイーンの小説の題名にも使われました(『The Siamese Twin Mystery(シャム双子殺人事件)』)。

ブンカー兄弟がサーカスの見世物として欧米を巡業していたのは1830年頃で、死亡したのは1874年でした(兄のチャンが死亡していることに弟のエンが気付いてから約3時間後に弟のエンも死亡)。それに対して、この「joined at the hip」という表現は、アメリカで1960年代に使われだしたと一般には言われていますので、ブンカー兄弟が活躍してから約100年の時を経てこの表現が生まれたという説は実に怪しく、こじつけのように感じられます。

また、ブンカー兄弟がくっついていたのはヒップではなく、腹部から胸部にかけてであったことからも、この説の怪しさが感じられます。

しかし、ブンカー兄弟が由来になったかどうかは別にして、結合体双生児(conjoined twins)がこの表現の由来になったという説はある程度受けれられているようです。

さて、その「joined at the hip」の意味ですが、「とても仲が良くて、お尻がくっついているかのようにいつも一緒にいる」という意味で使われるパターンが一番多くみられます。

次に多いのが、「(二人の人や二つの物事が)密接に関連していて、切り離せない」という意味で使われるパターンです。結合体双生児の二人がずっと一緒にいるのは、仲が良いからではなく、当時の医学では切り離すことができなかったからだと考えられますので、こちらの方が本来の意味ではないかと推測されます。

日本語では、「一心同体である」や「切っても切り離せない」などと訳されます。

Joined at the hipの英語による定義

two people have a very close relationship to one another and are always together; two people or two things are closely related and inseparable

洋書におけるjoined at the hipの出現頻度

A[中頻度:高めの頻度で洋書に出てくる準必須の英語表現]
(AAA[超頻出]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

洋書におけるjoined at the hipの年代分布

1958年 – 2018年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1958年に発行され、オードリー・ヘップバーンの主演で映画化もされた『Breakfast at Tiffany’s(邦題:ティファニーで朝食を)』(カポーティ = 著)で、最も新しい洋書は2018年発行の『FIRE AND FURY: INSIDE THE TRUMP WHITE HOUSE(邦題:炎と怒り — トランプ政権の内幕)』(マイケル・ウォルフ = 著)でした。

既に記載したように、この表現は1960年代にアメリカで生まれたと言われていて、そのように記載されている資料も多いのですが、当ブログの調査では1958年に発行されたトルーマン・カポーティの『Breakfast at Tiffany’s(邦題:ティファニーで朝食を)』の中にもその使用が見られました。もしかして、この表現は、カポーティが『Breakfast at Tiffany’s』のなかで使ったことがきっかけとなって広がっていったのかもしれません。「joined at the hip」が『Breakfast at Tiffany’s』の中でどのように使われているのかについては、「洋書内の実例」の項で触れたいと思います。

Joined at the hipの出現パターン

joined at the hipのイメージ画像2です。

 

joined at the hipの出現パターンは主に以下の4つに分類することができます。

パターン1:A and B are joined at the hip(基本型・最頻出パターン)
パターン2:A is joined at the hip with B
パターン3:be動詞の替わりにseem、becomeなどの動詞を使うもの
パターン4:be born joined at the hip

パターン1は、最も高頻度にみられる基本型と言えるものです。仲の良い二人や密接に関連する二つの物事を主語とするパターンです。
例文を挙げると、次のようになります。

例文19-1)
John and Tom are joined at the hip. They are always together.
(ジョンとトムは一心同体だ。いつも一緒にいる。)

パターン2は、仲の良い二人や密接に関連する二つの物事のいずれか一方を主語にするパターンです。しかし、パターン2はまれで、パターン1の方が圧倒的に多くみられます。
例文を挙げると、次のようになります。

例文19-2)
John is joined at the hip with Tom. They are always together.
(ジョンはトムと一心同体だ。いつも一緒にいる。)

パターン3は、be動詞の替わりにseemやbecomeなどの動詞を使うもので、次のように使います。

例文19-3)
John and Tom seem joined at the hip. They are always together.
(ジョンとトムは一心同体のようだ。いつも一緒にいる。)

パターン4は、本来、結合体双生児を記述する際に使用される表現です。例えば、結合体双生児がお尻がくっついた状態で生まれてきた場合には「they were born joined at the hip」のように表現し、背骨のところがくっついた状態で生まれてきた場合には「they were born joined at the spine」と表現するわけですが、それを密接に関連する2つの物事を表現する際に使用したのがこのパターン4です。ただし、このパターン4はまれです。

洋書内の実例

joined at the hipのイメージ画像3です。

 

それでは、実際に洋書内にみられるjoined at the hipの使用例を紹介していきます。

まずは、基本型のパターン1からです。

パターン1:A and B are joined at the hip(基本型・最頻出パターン)

実例1(パターン1):『スティーブジョブズ 1995 ロスト・インタビュー』より

The pre-Macintosh days and the early Macintosh days, it was always the Steve and John show. You two were joined at the hip for a while there.
マッキントッシュ発表の前後の時期にかけては、いつもスティーブとジョンのショーを見ているようでした。あなたがた二人は一心同体のようでしたよ

引用元:
スティーブジョブズ 1995 ロスト・インタビュー』、講談社(2013年9月)
STEVE JOBS: THE LOST INTERVIEW
(この本には、インタビューの英語原文と日本語訳の両方が1冊に掲載されています)
(Blue-ray・DVD)スティーブ・ジョブズ1995~失われたインタビュー~
(prime video)スティーブ・ジョブズ1995~失われたインタビュー~(字幕版)

インタビュアーのポブ・クリングリーがスティーブ・ジョブズに語りかけている言葉です。引用文内の「John」とは、アップルの共同創業者であるスティーブ・ジョブズが伝説となった名セリフ

「Do you want to spend the rest of your life selling sugared water, or do you want a chance to change the world?(このまま一生、砂糖水を売り続けていたいのですか?それとも僕と一緒に世界を変えるチャンスに賭けてみませんか?)」

で口説き落として引き抜いてきたペプシコ社の元社長John Sculley(ジョン・スカリー)のことです。

このようにアップルに入社した当初のジョン・スカリーとスティーブ・ジョブズはお尻がくっついているのかと思うくらい仲が良くていつも一緒にいたのですが、その後、スティーブ・ジョブズは自分が呼んできたジョン・スカリーによってアップルから追放されることとなります。

実例2(パターン1):Michael Owen: Off the Record (2004)(邦題『オーウェン』、マイクル・オーウェン = 著)より

By the time she got to nine months, Gemma and I were like Siamese twins, joined at the hip.
九か月になった頃には、ジェマとぼくは、まるで双生児のようにいつも一緒だった

引用元:
(英語原著)Michael Owen: Off the Record (2004) by Michael Owen; 20 Gemma
(日本語版)『オーウェン』(マイクル・オーウェン = 著、東本貢司 = 訳)、PHP研究所(2006/6);第20章(ジェマ)より引用

「ジェマ」とは、「ワンダーボーイ」の愛称で知られる元サッカー・イングランド代表のストライカー、マイケル・オーウェン氏の第1子Gemma Rose Owenのこと。オーウェン氏は、プライバシーをあまり気にしないのか、この本の中で子供の生年月日や、子供が生まれた病院の名前、子供のフルネーム、出生児体重などを事細かに書いています。

なぜ、この文章を引用したのかというと、既に紹介した「Siamese twins(シャム双生児)」という表現が「joined at the hip」と同時に使われているからです。イングランド出身のオーウェン氏がこのような文章を書いていることからも、「conjoined twins」が「joined at the hip」の由来になったと一般に考えられていることが伺えます。

ちなみに「Siamese twins(シャム双生児)」は単なる双子ではなく、体の一部が結合した双子を指すのですが、この本では、その点を分かった上であえて「双生児」と訳しているのだろうと思われます。

実例3(パターン1):11/22/63 (2011)(邦題『11/22/63』、 スティーヴン・キング = 著)より

Mike and Bobbi Jill Allnut were practically joined at the hip.
マイクとボビ・ジル・オールナットは、腰のあたりでつながっているといってもいいほど仲がよかった

引用元:
(英語原著)11/22/63 (2011) by Stephen King; Chapter 13
(日本語版)『11/22/63』(スティーヴン・キング = 著、白石朗 = 訳)、文藝春秋(単行本2013/9、文庫本2016/10));第十三章より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間約5分;

ちなみに、「マイク」とはこの小説に出てくるデンホーム郡統合ハイスクールのフットボール部員で、ボビ・ジル・オールナットというのはそのマイクの恋人です。このように、友人としての仲の良さだけでなく、男女間の仲の良さを表す場合にも使われます。

次はパターン2です。

パターン2:A is joined at the hip with B

実例4(パターン2):Breakfast at Tiffany’s (1958)(邦題『ティファニーで朝食を』、カポーティ = 著)より

Am joined at the hip with duhvine $enor. Love? Think so.
すてきな旦那とくっついちゃったのよ。恋かって?そうかもしれないわ。

引用元:
(英語原著)Breakfast at Tiffany’s (1958) by Truman Capote
(日本語版)『ティファニーで朝食を』(カポーティ = 著、龍口直太郎 = 訳)、新潮社(1968/7)
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間約4分30秒;

物語の最後の部分で、ブエノス・アイレスにいる主人公のホリー・ゴライトリーからポールのもとに一枚のハガキが届きます。そのハガキに書かれていた文章の一部がこの引用文です。

この文章は、いきなり「Am」から始まっていて、セニョールのSがドルマークになっているし、最初は「一体何?」と思うかもしれませんが、まずこの文章は主語の「I」が省略されています。

そして、セニョールのSがドルマークになっているのは、ホリーがブエノス・アイレスで出会ったセニョール、つまり「旦那」が金持ちであることを表しているのかも知れません。この訳文では特にそうは訳されていないので、そういう意味ではないのかも知れませんが、村上春樹さんが訳された方の『ティファニーで朝食を』も一度見てみたいと思います。

実例5(パターン2):Dreams from My Father (2004)(邦題『マイ・ドリーム バラク・オバマ自伝』、バラク・オバマ = 著)より

That was the world in which my grandparents had been raised, the dab-smack, landlocked center of the country, a place where decency and endurance and the pioneer spirit were joined at the hip with conformity and suspicion and the potential for unblinking cruelty.
祖父母が育ったのはそんなアメリカのど真ん中の、「体裁と忍耐と開拓者精神」が、「調和と疑いと潜在的な残酷さ」と深く結びついているような場所である。

引用元:
(英語原著)Dreams from My Father (2004) by Barack Obama; Chapter 1
(日本語版)『マイ・ドリーム バラク・オバマ自伝』(バラク・オバマ = 著、白倉三紀子/木内裕也 = 訳)、ダイヤモンド社(2007/12);第一章(ナイロビからの電話)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-要約版一冊無料!Audible無料体験);Audible版はオバマ氏本人が朗読しています。サンプルだけでも聴く価値アリです。

【単語ノート】
landlocked = 陸地に囲まれた、内陸の
decency = 礼儀、良識
endurance = 忍耐、我慢強さ
conformity = 服従、適合、順応
unblinking = まばたきもしない、動じない
cruelty = 残酷さ

実例1から実例4では、人と人のお尻(腰)がくっついているパターンを見てきましたが、このように人以外にも使用することができます。

次は、be動詞の替わりにseem、becomeなどの動詞を使うパターン3です。

パターン3:be動詞の替わりにseem、becomeなどの動詞を使うもの

実例6(パターン3):FIRE AND FURY: INSIDE THE TRUMP WHITE HOUSE (2018)(邦題『炎と怒り — トランプ政権の内幕』、マイケル・ウォルフ = 著)より

During the early part of the transition, when Bannon and Kushner had seemed joined at the hip, this was part of their bond: an effort to disintermediate Flynn and his often problematic message.
政権移行の初期段階において、バノンとクシュナーがまるで一心同体のごとく結束していたのも、一つにはこれが理由だった。フリンとその問題発言から大統領を遠ざけるという共通の目的が両者を結束させていたのだ。

引用元:
(英語原著)FIRE AND FURY: INSIDE THE TRUMP WHITE HOUSE (2018) by Michael Wolff: 7 RUSSIA
(日本語版)『炎と怒り — トランプ政権の内幕』(マイケル・ウォルフ = 著、関根光宏、藤田美菜子 = 訳)、早川書房(2018/2);7(ロシア)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間約6分

この例では、be動詞のかわりにseemが使われています。

実例7(パターン3):Broken Music: A Memoir (2003)(邦題『スティング』、スティング = 著)より

Stewart and I are becoming more and more joined at the hip. We seem to have a growing belief in each other and that we somehow share a common future.
スチュワートと私はますます親密につるむようになっていた。明らかに、お互いに対する信頼の度が増し、そして何がしか共通の将来の夢を温めていた。

引用元:
(英語原著)Broken Music: A Memoir (2003) by Sting; Chapter 12
(日本語版)『スティング』(スティング = 著、東本 貢司 = 訳)、PHP研究所(2004/12);第12章(人生を変えたロクサーヌ)より引用

この例では、be動詞の替わりにbecomeが使われています。

「スチュワート」は、スティングとともに3人組のロックバンド、ポリスを結成したドラマーのスチュワート・コープランド(Stewart Copeland)のことです。

最後はパターン4です。

パターン4:be born joined at the hip

実例8(パターン4):The Vanished Man (2003)(邦題『魔術師』、ジェフリー・ディーヴァー = 著)より

Pride and power were born joined at the hip, Sachs knew.
プライドと力は切っても切り離せないものであることをサックスは知っていた。

引用元:
(英語原著)The Vanished Man (2003) by Jeffery Deaver; PART I. EFFECT
(日本語版)『魔術師』(ジェフリー・ディーヴァー = 著、池田真紀子 = 訳)、文藝春秋(単行本2004/10;文庫本2008/10);上巻・第1部(エフェクト)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間5分

イリュージョニスト見習いのカーラがニューヨーク市警鑑識課員アメリア・サックスとの会話の中で彼氏との関係について語っている場面です。自分から電話するといって3週間電話が掛かってこない彼氏に対して、自分からは電話しないときっぱり語ったカーラに対するサックスの感想を表したのが上の文章です。

プライドと力は、「お尻のところがくっついた状態で生まれてきた」、つまり「切っても切り離せないもの」と表現されています。

Joined at the hipのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

joined at the hip

  • 由来:いつも一緒にいる仲の良い二人や密接に関連する二つの物事は、お尻とお尻がくっついて生まれてきた結合体双生児(conjoined twins)のようであることから。
  • 意味:とても仲が良くていつも一緒にいる、一心同体である、(二つの物事が)密接に関連していて、切り離せない
  • 英語による定義:two people have a very close relationship to one another and are always together; two people or two things are closely related and inseparable
  • 出現頻度:A[中頻度:高めの頻度で洋書に出てくる準必須の英語表現]
  • 出現パターン
    パターン1:A and B are joined at the hip(基本型・最頻出パターン)
    パターン2:A is joined at the hip with B
    パターン3:be動詞の替わりにseem、becomeなどの動詞を使うもの
    パターン4:be born joined at the hip
  • 例文
    John and Tom are joined at the hip. They are always together.
    (ジョンとトムは一心同体だ。いつも一緒にいる。)
    John is joined at the hip with Tom. They are always together.
    (ジョンはトムと一心同体だ。いつも一緒にいる。)
    John and Tom seem joined at the hip. They are always together.
    (ジョンとトムは一心同体のようだ。いつも一緒にいる。)

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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