洋書に出てくる英語表現0015:「ropes(ロープ)」には「●●●」という意味がある【第2・第3の意味編2】

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「洋書に出てくる英語表現」の第15回は「第2・第3の意味編」の第2回として「ropes」を取り上げます。

ロープを学ぶ?

まず、次の文章を見て下さい。

In my first year at Lotus, as I learned the ropes, I had been no real challenge to him.

『NIGEL MANSELL: My Autobiography(邦題:全開 マンセル自伝)』からの引用です。

このropesが何を意味しているか分かりますでしょうか。

この文章の主語である「I」は、イギリスの元F1ドライバー、ナイジェル・マンセル(Nigel Mansell)のことです。日本でF1がブームだったころに、セナやプロストとともに活躍していたのでご存じの方も多いと思います。

「Lotus」とは、そのマンセルが1980年にF1のキャリアをスタートさせた時に所属していたチームの名前で、「him」はそのロータス時代のチームメートであるエリオ・デ・アンジェリスのことを指しています。

F1に参戦したばかりのマンセルは、チーム内で完全にナンバー2扱いで、新しいターボエンジンが供給されても、最初の半年間はチームメートのエリオの車にしかそのエンジンが搭載されなかったり、といったくだりで出てきたのがこの文章です。

分かりましたでしょうか。

そうです。この「ropes」は「コツ」や「やり方」という意味になります。

In my first year at Lotus, as I learned the ropes, I had been no real challenge to him.
ロータス1年生でコツを勉強しているころの私は、まだ彼にとって脅威でも何でもなかった。

引用元:
(英語原著)NIGEL MANSELL: My Autobiography (1995) by Nigel Mansell OBE with James Allen; 11 THE WILDERNESS YEARS
(日本語版)『全開 マンセル自伝』(ナイジェル・マンセル + ジェイムス・アレン = 著、熊倉重春 = 訳)、二玄社(1996/10);第11章(荒野の時代)より引用
(ちなみに、Nigel Mansell OBEの「OBE」は、マンセルが1990年に受勲した大英帝国勲章・オフィサー章[Officer of the Order of the British Empire]のこと)

ロータス1年目のマンセルは、まだ「ropes」、すなわち「コツ」や「やり方」を学んでいる段階だったということですね。

この表現は、1800年代に船乗り達が船の上で実際に使っていた表現に由来します。

トップ画像に示したように船の上には、無数のロープが張り巡らされています。そして、船乗りとして生きていくためには、それらのたくさんのロープの1本1本がどこにつながっていて、どのような役割を担っているのか、さらにはそれぞれのロープをいつどのように使うのかといった「ロープの扱い方」をまず学ばなければなりませんでした。そうしたことから、「ロープの扱い方を学ぶ」という意味の「learn the ropes」という表現が生まれ、それが「コツややり方を覚える」という意味で船の上以外でも広く使われるようになりました。

また、一人前の船乗りとして認められるためには、そうした「ロープの扱い方」を熟知していなければならないことから、「know the ropes」という表現も生まれ、それが転じて「コツややり方を知っている」という意味で船の上以外でも広く使われるようになりました。

さらに、「ロープの扱い方」を熟知する頃になれば、今度は後輩達にそれらを教えていかなければならないことから、「show someone the ropes」や「teach someone the ropes」という表現が生まれ、それが「コツややり方を教える」という意味で広く使用されるようになったというわけです。

なお、船の上にはたくさんのロープが張り巡らされていますので、ropeをこの意味で使う場合は、必ず「a rope」ではなく複数形の「ropes」を使います。

洋書におけるropesの出現頻度

AAA[超高頻度:極めて高い頻度で洋書に出てくる必須の英語表現]
(AAA[超頻出]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

ropesは、「ロープ、縄」という意味で洋書に高頻度に出現するだけでなく、「コツ、やり方」という意味でも洋書にかなりの頻度で出現します。

ropesの年代分布

1915年 – 2018年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1915年発行の『Of Human Bondage(邦題:人間の絆)』(サマセット・モーム = 著)で、最も新しい洋書は2018年発行の『RED CARD: How The U.S. Blew The Whistle On The World’s Biggest Sports Scandal(邦題:レッドカード:汚職のワールドカップ)』でした。

この表現は、一説によると1800年代の中頃には既に船の上で使われていて、1800年代の終わり頃に「コツややり方」の意味で広く使われるようになったとのことなので、当ブログの調査結果とだいたい一致しているのではないかと思います。

また、古い表現でありながら、今なお広く使用されていて、年代やジャンルに偏りがなく、さまざまな著者がさまざまな本で使用しているのも特徴と言えます。

ropesの出現パターン

ここでは、洋書でよく見られるropesの出現パターンを3つ紹介します。

パターン1:learn the ropes
パターン2:know the ropes
パターン3:show (teach) someone the ropes

3つとも上で既に紹介しました。

例文を挙げると次のようになります。

例文15-1)
If you would like to succeed in this business, you have to learn the ropes first.
(もしあなたがこのビジネスで成功したいのなら、まず最初にやり方を学ばなければなりません。)

例文15-2)
If you can’t do this job, ask Tom. He knows the ropes thoroughly. He can show you the ropes.
(もしあなたがこの仕事をすることができないのなら、トムに聞いてみるといいよ。彼はやり方を熟知しているし、彼ならやり方を教えることができるよ。)

洋書内の実例

それでは、実際に洋書内にみられるropesの使用例を紹介していきます。

まずは、「パターン1:learn the ropes」から紹介します。

実例1(パターン1):LIVING HISTORY (2003)(邦題『リビング・ヒストリー:ヒラリー・ロダム・クリントン自伝(上・下)』、ヒラリー・ロダム・クリントン = 著)より

I was still learning the ropes and still discovering what it meant to be America’s First Lady.
わたしはまだ仕事のコツを覚えようとしている途中だったが、しだいに米国大統領夫人であることがどういうことかが分かってきた。

引用元:
(英語原著)LIVING HISTORY (2003) by Hillary Rodham Clinton; VINCE FOSTER
(日本語版)『リビング・ヒストリー:ヒラリー・ロダム・クリントン自伝(上・下)』(ヒラリー・ロダム・クリントン = 著、酒井洋子 = 訳)、早川書房(2007/11);「ヴィンス・フォスター」より引用
(英語原著Audible版)Audible版-要約版一冊無料!Audible無料体験);ヒラリーさんご本人の朗読です。サンプル(再生時間約15分)を聴くだけでも十分にリスニング練習になります。

実例2(パターン1):1Q84 (2011)(日本語原著『1Q84』、 村上春樹 = 著)より

Ushikawa quickly learned the ropes — how to evade the authorities while still doing what was barely legal.
牛河も素早く要領を呑み込み、違法ぎりぎりのところで司直から身をかわすコツを体得していった。

引用元:
(英語版)1Q84 (2011) by Haruki Murakami, translated from the Japanese by Jay Rubin (Books 1 and 2) and Philip Gabriel (Book 3); Book 3, Chapter 16
(日本語原著)『1Q84 BOOK 3(10月-12月)』(村上春樹 = 著)、新潮社(2010/4);第16章(牛河 有能で我慢強く無感覚な機械)より引用
(英語Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間約4分30秒

「quickly learned the ropes」の「quickly」にも注目して下さい。「learn the ropes」の前に「quickly」を付けるのはよくあるパターンで、この訳文のように「素早く要領を呑み込む」、「呑み込みが早い」という意味でよく使われます。

次は、パターン2のknow the ropesです。

パターン2:know the ropes

実例3(パターン2):Barca: The Making of the Greatest Team in the World (2012)(邦題『FCバルセロナの語られざる内幕 サッカー史上最強クラブはこうして誕生した』、グレアム・ハンター = 著)より

The keeper knew the ropes, would not be pushed around by anyone, and yet was generous enough to see that two new saplings were going to be out of their depth unless they had a minder.
バルデスは誰からもいじめられないように2人を守る要領を心得ていて、同時に2人の新入りが用心棒なしで皆と打ち解けるよう離れて見守る懐の深さも持っていた。

引用元:
(英語原著)Barca: The Making of the Greatest Team in the World (2012) by Graham Hunter; 10 – THE SOLUTIONS MAN
(日本語版)『FCバルセロナの語られざる内幕 サッカー史上最強クラブはこうして誕生した』(グレアム・ハンター = 著、松宮寿美 = 訳)、SBクリエイティブ(2012/11);第10章(解決屋アンドレス・イニエスタ)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間約5分

「2人の新入り」とは、日本の久保建英選手も所属していたFCバルセロナの下部組織ラ・マシアに新しく入団した当時12歳のアンドレス・イニエスタとトロイテイロのこと。親元を離れ、大きな不安と恐怖を抱えてラ・マシアの寮に入ったイニエスタにとって、大きな心の支えとなったのが、この文章に出てくるビクトル・バルデス(Victor Valdes)というゴールキーパーで、バルデスは2つ年上ということもあって「knew the ropes」、すなわち「要領を心得ていた」ということです。

ちなみに、このバルデス氏はイニエスタと同様に、その後FCバルセロナのトップチームで活躍し、イニエスタは今もバルデスをサッカー界の親友の1人と呼んでいるそうです。

実例4(パターン2):NIGEL MANSELL: My Autobiography (1995)(邦題『全開 マンセル自伝』、ナイジェル・マンセル + ジェイムス・アレン = 著)より

I knew the ropes in F1, but in IndyCar terms I knew no-one.
F1のことなら何でもわかるが、インディーカーでは誰ひとり見分けがつかなかったのだから。

引用元:
(英語原著)NIGEL MANSELL: My Autobiography (1995) by Nigel Mansell OBE with James Allen; 25 THE AMERICAN ADVENTURE
(日本語版)『全開 マンセル自伝』(ナイジェル・マンセル + ジェイムス・アレン = 著、熊倉重春 = 訳)、二玄社(1996/10);第25章(アメリカン・アドベンチャー)より引用

再び、『全開 マンセル自伝』からの引用です。

日本でF1が大人気だったころのナイジェル・マンセルといえば、セナとプロストのマクラーレン・ホンダがあまりにも強すぎて、当時フェラーリのドライバーだったマンセルはエンジンの故障などでリタイアばかりといった印象を持っている方も多いのではないかと思います。

しかし、日本でF1ブームが過ぎ去った後の1992年にはウィリアムズ・ルノーのドライバーとしてF1のワールドチャンピオンを獲得しています。しかも、F1からアメリカのインディカー・シリーズに舞台を移した翌1993年にもタイトルを獲得するという離れ業をやってのけています。そのインディカー・シリーズ参戦1年目について記述したのが上の文章で、F1に関しては「knew the ropes」だが、インディカーに関しては誰も知らなかったと書いています。

次はパターン3の「show (teach) someone the ropes」です。

パターン3:show (teach) someone the ropes

実例5(パターン3):The Maze Runner (2009)(邦題『メイズ・ランナー』、ジェイムズ・ダシュナー = 著)より

He didn’t say much, but showed Thomas the ropes until he could start working on his own.
口数は少なかったが、トーマスが自分で仕事ができるようになるまで自ら手本を見せてくれた

引用元:
(英語原著)The Maze Runner (2009) by James Dashner; Chapter 16
(日本語版)『メイズ・ランナー』(ジェイムズ・ダシュナー = 著、田内志文 = 訳)、KADOKAWA (2015/4);第十六章より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間3分

ここでは、「show someone the ropes」が「手本を見せる」と訳されていますね。ぴったりの訳だと思います。

実例6(パターン3):Raising the Bar: The Championship Years of Tiger Woods (2000)(邦題『新帝王伝説 タイガー・ウッズ 新たなる挑戦』、ティム・ロザフォート = 著)より

It was O’Meara who had taken Tiger as his adopted brother, teaching him the ropes, providing both a set of eyes on the driving range and a tremendous family environment at Isleworth, where he bought a townhouse.
タイガーを弟のようにかわいがり、プレーの秘訣を教え、住まいがあるアイルワースで、練習を見守ってくれたり、広大な人脈を共有させてくれたのは、ほかならぬオメーラである。

引用元:
(英語原著)Raising the Bar: The Championship Years of Tiger Woods (2000) BY TIM ROSAFORTE; Chapter 20. HISTORY LESSON
(日本語版)『新帝王伝説 タイガー・ウッズ 新たなる挑戦』(ティム・ロザフォート = 著、小林浩子 = 訳)、文藝春秋(2001/05);20章(ゴルフ史の教訓)より引用

ここではropesが「プレーの秘訣」と訳されていますね。これもぴったりの訳だと思います。辞書の訳だけでなく、翻訳家の方が使用されている訳をみることでフレーズの理解がさらに深まると思います。

なお、パターン3の「show someone the ropes」では、このようにshowの替わりにteachを使うことがありますが、頻度としてはshowの方が圧倒的に多いです。

O’Mearaは、アメリカPGAツアー通算16勝のマーク・オメーラ(Mark O’Meara)。フロリダ州オーランドでタイガー・ウッズと隣りどうしに住んでいて、タイガーウッズは、マーク・オメーラを兄のように慕っているということです。

ropesのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

ropes

  • 由来:船の上には無数のロープが張り巡らされていて、一人前の船乗りになるためには、それらのロープの扱い方(コツ)を学ばなくてはならないことから。
  • 意味:「ロープ」、「縄」以外にも、「コツ」や「やり方」、「秘訣」などの意味で使用される。
  • 出現頻度:AAA[超高頻度:極めて高い頻度で洋書に出てくる必須の英語表現]
  • 出現パターン
    パターン1:learn the ropes
    パターン2:know the ropes
    パターン3:show (teach) someone the ropes
  • 例文
    If you would like to succeed in this business, you have to learn the ropes first.
    (もしあなたがこのビジネスで成功したいのなら、まず最初にやり方を学ばなければなりません。)
    If you can’t do this job, ask Tom. He knows the ropes thoroughly. He can show you the ropes.
    (もしあなたがこの仕事をすることができないのなら、トムに聞いてみるといいよ。彼はやり方を熟知しているし、彼ならやり方を教えることができるよ。)

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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