洋書に出てくる英語表現0014:「chemistry(化学)」には「●●●」という意味がある【第2・第3の意味編1】

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「洋書に出てくる英語表現」の第14回は「第2・第3の意味編」の第1回として「chemistry」を取り上げます。

ウディとジェフはインスタントな化学を持っている?

まず、次の文章を見て下さい。

“Udi and Jeff had instant chemistry,” says Dalzell.

『The Everything Store(邦題:ジェフ・ベゾス 果てなき野望 — アマゾンを創った無敵の奇才経営者)』からの引用です。

このchemistryが何を意味しているか分かりますでしょうか。

この英文に出てくる「Udi」はヤフーからアマゾンに転職したウディ・マンバー(Udi Manber)という人物で、Jeffはアマゾン・ドット・コムの創業者で2019年時点で2年連続世界長者番付1位のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)です。

そして、Dalzellというのはヤフーから退職する準備をしていたウディ・マンバーに声をかけてジェフ・ベゾスに紹介したリック・ダルゼルという人物です。そしてギーク(マニアやおたくの意味)の二人は一瞬で意気投合したというくだりで出てきたのがこの文章です。

分かりましたでしょうか。そうです。have chemistryは「うまが合う」という意味で、「chemistry」は「相性」という意味になります。

“Udi and Jeff had instant chemistry,” says Dalzell.
ふたりは相性がとてもよかったとダルゼルは証言している。

引用元:
(英語原著)The Everything Store: Jeff Bezos and the Age of Amazon (2013) by Brad Stone; CHAPTER 7 A Technology Company, Not a Retailer
(日本語版)『ジェフ・ベゾス 果てなき野望 — アマゾンを創った無敵の奇才経営者』(ブラッド・ストーン = 著、井口耕二 = 訳)、日経BP(2014/1);第7章(テクノロジー企業であって小売企業ではない)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験

化学の世界では、薬品Aと薬品Bを混ぜたら煙を出して爆発するのに、薬品Bと薬品Cを混ぜても何も起こらないといった、「相性」のようなものが存在することから、このような表現が生まれたのではないかと想像されます。

また、日本語でも、あるスポーツチームに新しい選手が加わった時に、監督が「チームに化学反応を起こして欲しい」みたいなコメントをしますが、この「化学反応」も新しく加わる選手とチームの「相性」の一種と考えられます。

二人の間に生じる化学反応(chemistry)であれば「相性」という日本語になりますし、もっと人数の多い家族やチーム全体の化学反応であれば、「結束力」や「団結力」といった日本語にもなります。また、特に男と女の間に生じる化学反応であれば、「恋愛感情」といった日本語にもなりますし、sexualという形容詞を付けて「sexual chemistry」とすれば「性的な相性」という意味にもなります。

chemistryの出現頻度

AAA[超高頻度:極めて高い頻度で洋書に出てくる必須の英語表現]
(AAA[超頻出]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

chemistryは、「化学」という意味で洋書に高頻度に出現するだけでなく、「相性」という意味でも洋書にかなりの頻度で出現します。

chemistryの出現パターン

ここでは、洋書でよく見られるchemistryの出現パターンを3つ紹介します。

パターン1:chemistry between A and B is —
パターン2:There is chemistry between A and B
パターン3:A and B have chemistry

まず1つ目は、

パターン1:chemistry between A and B is —

のパターンです。例文をあげると、

例文14-1)
Chemistry between Tom and John is good, but I don’t like either of them.
(トムとジョンは相性が良いけれども、僕は二人とも嫌いだ。)

のようになります。

次は、

パターン2:There is chemistry between A and B

のパターンです。例えば、例文14-1)をこのパターンで書き替えると

例文14-2)
There is chemistry between Tom and John, but I don’t like either of them.

となります(意味は同じ)。

次は、

パターン3:A and B have chemistry

のパターンで、上の例文をこのパターンで書き替えると、

例文14-3)
Tom and John have chemistry, but I don’t like either of them.

となります(意味は同じ)。

洋書内の実例

 

それでは、実際に洋書内にみられるchemistryの使用例を紹介していきます。

まずは、「パターン1:chemistry between A and B is —」から紹介します。

実例1(パターン1):iCon: Steve Jobs (2005)(邦題『スティーブ・ジョブズ 偶像復活』、ジェフリー・S・ヤング + ウィリアム・L・サイモン = 著)より

But the chemistry between Eisner and Katzenberg was wrong.
しかし、カッツェンバーグはアイズナーとの相性がよくなかった。

引用元:
(英語原著)iCon: Steve Jobs – THE GREATEST SECOND ACT IN THE HISTORY OF BUSINESS (2005) by Jeffrey S. Young and William L. Simon; 7 Master of Ceremonies
(日本語版)『スティーブ・ジョブズ 偶像復活』(ジェフリー・S・ヤング + ウィリアム・L・サイモン = 著、井口耕二 = 訳)、東洋経済新報社(2005/11);第7章(セレモニーの達人)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-要約版一冊無料!Audible無料体験

アイズナーは、ウォルト・ディズニー・カンパニー元CEOのマイケル・アイズナー(Michael Eisner)で、カッツェンバーグはウォルト・ディズニー・カンパニーの元重役で、アイズナーとの対立の末にディズニーを退社し、スティーブン・スピルバーグらとドリームワークスSKGを設立したジェフリー・カッツェンバーグ(Jeffrey Katzenberg)のことです。上記英文は、この2人の対立について記載しています。

実例2(パターン1):TOM CRUISE: AN UNAUTHORIZED BIOGRAPHY (2008)(邦題『トム・クルーズ 非公認伝記』、アンドリュー・モートン = 著)より

When she walked into the conference room to meet Tom and his colleagues, however, the chemistry between them was unmistakable.
だが会議室に足を踏み入れ、スタッフと顔を合わせた瞬間、ニコールとトムとのあいだにまぎれもない電気が走った

引用元:
(英語原著)TOM CRUISE: AN UNAUTHORIZED BIOGRAPHY (2008) by Andrew Morton; CHAPTER 6
(日本語版)『トム・クルーズ 非公認伝記』(アンドリュー・モートン = 著、小浜 杳 = 訳)、青志社(2008/2);6(ニコール・キッドマンとの結婚)より引用

昔、松田聖子さんが1998年に歯科医の波多野さんと結婚するとき、「ビビビッ!ときた」とコメントし、二人の結婚は「ビビビ婚」として話題になりましたが、その「ビビビッ!」こそが今回扱っているchemistryの正体です。友人同士のビビビであれば、「相性」という意味になり、男と女のビビビであれば「恋愛感情」という意味になるわけです。かつて松田聖子さんを直撃したビビビはトム・クルーズとニコール・キッドマンの間にも生じていたのですね。残念ながら、両夫妻ともにその後離婚していますが。

同じ本の第9章にも、同じパターンの文章が見られるので引用しておきます。

As director Cameron Crowe later pointed out, the chemistry between Tom and Penelope was crucial if they were going to sustain the intense love story that lies at the heart of the film.
監督のキャメロン・クロウがのちに指摘したように、映画の核をなす一途なラブストーリーを力強く描きだすためには、トムとペネロペの相性は欠かせない要素だった

引用元:
(英語原著)TOM CRUISE: AN UNAUTHORIZED BIOGRAPHY (2008) by Andrew Morton; CHAPTER 9
(日本語版)『トム・クルーズ 非公認伝記』(アンドリュー・モートン = 著、小浜 杳 = 訳)、青志社(2008/2);9(泥沼離婚とゲイ疑惑)より引用

ここにも「ビビビ」がありました。次は映画『バニラ・スカイ(Vanilla Sky)』でトム・クルーズと共演したペネロペ・クルス(Penelope Cruz)です。こちらは結婚目前で破局しています。

実例3(パターン1):Overheard (2007)(邦題『危険な恋に魅せられて』、マヤ・バンクス = 著)より

You and me, tearing up the sheets, eating each other alive. Gracie, when I’m with you, I swear I don’t even think straight. The chemistry between us is off the charts.
きみと一緒にシーツをくしゃくしゃにして、互いをむさぼり合いたい。グレイシー、おれたちの相性は抜群だ。きみと一緒にいると、おれの頭がまともに働かなくなるくらいだからな。

引用元:
(英語原著)Overheard (2007) by Maya Banks; Chapter Thirteen
(日本語版)『危険な恋に魅せられて』(マヤ・バンクス = 著、芦原夕貴 = 訳)、主婦の友社(2014/1);「バレンタインには夢をかなえて」、第十三章より引用

さらにすごいビビビがありました。シーツがくしゃくしゃになりました。「 off the charts」です。この表現を紹介したくて、この文章を引用したのですが、この「off the charts」というのは「グラフがチャートからはみ出るくらいに」という意味で、それくらい程度が凄いことを表します。

次はパターン2の紹介です。

パターン2:There is chemistry between A and B

実例4(パターン2):Cheating Death, Stealing Life: The Eddie Guerrero Story(2005)(邦題『エディ・ゲレロ自伝 』、エディ・ゲレロ、マイケル・クラッグマン = 著)より

After the match, I was told that there was a natural chemistry between Chyna and myself.
試合後、チャイナと俺は相性がいいと言われた。

引用元:
(英語原著)Cheating Death, Stealing Life: The Eddie Guerrero Story (2005) by Eddie Guerrero with Michael Krugman;CHAPTER 28
(日本語版)『エディ・ゲレロ自伝』(エディ・ゲレロ、マイケル・クラッグマン = 著、井川昌子ほか = 訳)、エンターブレイン(2006/10);第28章より引用

チャイナ(Chyna)はWWFで活躍し、新日本プロレスにも参戦したことのあるアメリカの女子プロレスラー。2016年に、薬物の過剰摂取により自宅で死亡していることろを発見されました(46歳没)。
この本の著者であるエディ・ゲレロも2005年に遠征先のホテルで動脈硬化性疾患により急死しています(38歳没)。

実例5(パターン2):Ric Flair: To Be the Man (2004)(邦題『リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン』、リック・フレアー、キース・エリオット・グリーンバーグ = 著)より

There was chemistry between the wrestlers. It was wild. It was intense. We bled. We gave our all, man.
リングに上がったレスラーたちには互いに通じるものがあった。ワイルドで激しい闘いを展開し、流血し、力の限りを尽くした一戦だった。

引用元:
(英語原著)Ric Flair: To Be the Man (2004) by Ric Flair and Keith Elliot Greenberg; CHAPTER 11 I JUST HAPPEN TO BE YOUR MASTER
(日本語版)『リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン』(リック・フレアー、キース・エリオット・グリーンバーグ = 著、山木詩織、横山加奈子、サトウナオコ = 訳)、エンターブレイン(2004/12);第11章(私はおまえらのご主人様なのだ)より引用

リングに上がったレスラーたちの間に芽生えたビビビを「互いに通じるもの」と訳されています。すばらしい訳だと思います。

最後のパターン3です。

パターン3:A and B have chemistry

実例6(パターン3):MY LIFE (1992)(邦題『マイライフ』、アービン “マジック” ジョンソン = 著)より

The biggest reason, I think, is that Greg Kelser and I had terrific chemistry on the court.
最大の勝因は、グレッグ・ケルサーとわたしの呼吸が絶妙だったことだと思う。

引用元:
(英語原著)MY LIFE (1992) by Earvin “Magic” Johnson with William Novak; CHAPTER 5 COLLEGE KID
(日本語版)『マイライフ』(アービン “マジック” ジョンソン = 著、ウィリアム・ノヴァク = 共著、池 央耿 = 訳)、光文社(1993/3);5(大学一年生)より引用

ミシガン州立大学は、マジック・ジョンソンが入学した最初のシーズンに25勝5敗の好成績を収めました。その要因をマジック・ジョンソン本人が分析したのがこの文章です。ここでは、「chemistry」が「呼吸」と訳されています。

同じ本の11章でも同様の表現が出てきます。11章では「chemistry」が「息」と訳されています。

The two of us had terrific chemistry on the court, just like I had back in college with Greg Kelser.
大学時代のグレッグ・ケルサー同様、ジェームズともコート上ではぴったり息が合った

引用元:
(英語原著)MY LIFE (1992) by Earvin “Magic” Johnson with William Novak; CHAPTER 11 THE BOYS ON THE BUS
(日本語版)『マイライフ』(アービン “マジック” ジョンソン = 著、ウィリアム・ノヴァク = 共著、池 央耿 = 訳)、光文社(1993/3);11(バスに乗った少年たち)より引用

最後に、chemistryが「結束力」を意味する例を示しておきます。

実例7:THE ONLY WAY I KNOW (1997)(邦題『カル・リプケン・Jr. 我が道を信じて』、カル・リプケン・Jr、マイク・ブライアン = 著)より

What I thought was unfair, what hurt me, was when a few people (no teammates, incidentally) said that my staying at a different hotel in some cities affected team chemistry.
私が不当だと思い傷ついたのは、数人の人から、別ホテルに泊まるのは、チーム結束力に影響すると言われたことだ。

引用元:
(英語原著)THE ONLY WAY I KNOW (1997) by Cal Ripken, Jr. & Mike Bryan; Chapter Fifteen
(日本語版)『カル・リプケン・Jr. 我が道を信じて』(カル・リプケン・Jr、マイク・ブライアン = 著、鈴澤 一 = 訳)、TOKYO FM出版(1998/11);15(野球ビジネス)より引用

この本の著者のカル・リプケン・ジュニアは、2632試合連続出場の世界記録をもつアメリカの元プロ野球選手です。1995年にルー・ゲーリックの持つ2130試合連続出場の大リーグ記録を更新し、1996年には日本の衣笠祥雄が持つ2215試合連続出場の世界記録を更新しました。

そのカル・リプケン・ジュニアは、1993年にいくつかの遠征先でチームが泊まっているホテルとは別のホテルに宿泊していました。最初は妻が遠征に同行している時にチームと別のホテルに泊まっていたのですが、チームと別のホテルに泊まった方が自分の時間を持てて安らかに過ごせることから、妻が同行していない時にも別のホテルに泊まることがあったとのことです。そしてその権利も、前年の契約更改交渉の席でチームからほぼ認めてもらっていたそうです。しかし、別のホテルに泊まることでチームの結束力に影響が生じるとの批判を受けたというくだりが上の文章です。

以上みてきたように、個人間の化学反応(chemistry)であれば「相性」という日本語になり、男と女の化学反応であれば「恋愛感情」の意味となり、家族やチームの化学反応であれば、「団結力」や「結束力」という日本語になるというのがお分かり頂けたかと思います。

chemistryのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

chemistry

  • 意味:「化学」以外にも「相性」や「結束力・団結力」、「恋愛感情」といった意味をもつ
  • 出現頻度:AAA[超高頻度:極めて高い頻度で洋書に出てくる必須の英語表現]
  • 出現パターン
    パターン1:chemistry between A and B is —
    パターン2:There is chemistry between A and B
    パターン3:A and B have chemistry
  • 例文
    Chemistry between Tom and John is good, but I don’t like either of them.
    There is chemistry between Tom and John, but I don’t like either of them.
    Tom and John have chemistry, but I don’t like either of them.
    (いずれも「トムとジョンは相性が良いけれども、僕は二人とも嫌いだ」の意)

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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