洋書に出てくる英語表現0011:walk a tightrope【おすすめ英語フレーズ編11】

「洋書に出てくる英語表現0011:walk a tightrope【おすすめ英語フレーズ編11】」のアイキャッチ画像

「洋書に出てくる英語表現」の第11回は、前回予告した通り「walk a tightrope」を取り上げます。

前回紹介した「high-wire act」と似た表現なのですが、若干、ニュアンスに差があるのと、こちらは動詞句として使うことから「high-wire act」とは分けて扱うことにしました。

「high-wire act」と同様に比較的新しい表現で、2000年以降のノンフィクション作品によく出てきます。

目次
  1. walk a tightropeの意味と由来
  2. walk a tightropeの英語による定義
  3. 洋書におけるwalk a tightropeの出現頻度
  4. walk a tightropeの年代分布
  5. walk a tightropeの出現パターン
  6. 洋書内の実例
    1. 実例1(パターン1):Coco Chanel: An Intimate Life (2011)(邦題『シャネル、革命の秘密』、Lisa Chaney = 著)より
    2. 実例2(パターン1):My Life (2004)(邦題『マイライフ:クリントンの回想』 ビル・クリントン = 著)より
    3. 実例3(パターン1):Hard Choices: A Memoir (2014)(邦題『困難な選択(上・下)』、ヒラリー・ロダム・クリントン = 著)より
    4. 実例4(パターン1):LIVING HISTORY (2003)(邦題『ヒラリー・ロダム・クリントン自伝』、ヒラリー・ロダム・クリントン = 著)より
    5. 実例5(パターン2):My Life (2004)(邦題『マイライフ:クリントンの回想』 ビル・クリントン = 著)より
    6. 実例6(パターン2):The Everything Store: Jeff Bezos and the Age of Amazon (2013)(邦題『ジェフ・ベゾス 果てなき野望 ー アマゾンを創った無敵の奇才経営者』、ブラッド・ストーン 著)より
    7. 実例7(パターン2):Becoming Facebook (2017)(邦題『フェイスブック 不屈の未来戦略』、マイク・ホフリンガー = 著)より
    8. 実例8(パターン3):Hard Choices: A Memoir (2014)(邦題『困難な選択(上・下)』、ヒラリー・ロダム・クリントン = 著)より
    9. 実例9(パターン3):THE INTELLECTUAL DEVOTIONAL (2006)(邦題『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』)より
    10. 実例10(パターン3):Power Games : A Political History of the Olympics (2016)(邦題『オリンピック秘史 : 120年の覇権と利権』、ジュールズ・ボイコフ = 著)より
    11. 実例11(パターン4):Hard Choices: A Memoir (2014)(邦題『困難な選択(上・下)』、ヒラリー・ロダム・クリントン = 著)より
    12. 実例12(パターン4):Permutation City (1994)(邦題『順列都市(上・下)』、グレッグ・イーガン = 著)より
  7. walk a tightropeのまとめ

walk a tightropeの意味と由来

前回扱った「high-wire act」と同様に、サーカスなどで行う綱渡りに由来する表現ですが、若干ニュアンスが異なります。

「high-wire act」は、highという言葉で強調されているように、高所で行う綱渡りのような危険な行為という意味で、危険性に重きが置かれていることが多いのに対し、「 walk a tightrope」はtightという言葉に現れているようにピンと張ったロープの上で行う綱渡りのように絶妙なバランスや細心の注意が求められる難しい行為、つまり危険性よりもバランスや難しさに重きが置かれた表現だと言えます。

ただ、これはあくまで全般的な傾向であって、「high-wire act」と「walk a tightrope」のいずれの表現も、綱渡りのような 「危険な」行為という意味で使用されることもあれば、綱渡りのように「絶妙なバランス」や注意が必要な難しい行為という意味で使用されることもあります。

まとめると、「walk a tightrope」は主に「綱渡りのように絶妙なバランスや注意が必要な難しい状況にある」という意味で使われますが、危険性に重きが置かれている場合には「綱渡りのような危険な状況にある」、「危ない橋を渡る」という意味でも使用されます。

walk a tightropeの英語による定義

to be in a difficult situation where good balance or extreme caution is required

洋書におけるwalk a tightropeの出現頻度

A[中頻度:高めの頻度で洋書に出てくる準必須の英語表現]
(AAA[超頻出]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

walk a tightropeの年代分布

1987年 – 2017年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1987年発行の『TRUMP : THE ART OF THE DEAL(邦題:トランプ自伝 不動産王にビジネスを学ぶ)』で、最も新しい洋書は2017年発行の『Becoming Facebook(邦題:フェイスブック 不屈の未来戦略)』でした。

high-wire actの場合と同様に、サーカスで行う綱渡りはもっと古くからあったでしょうから、walk a tightropeという表現自体はもっと前からあったと考えられますが、それが「綱渡りのように絶妙なバランスや注意が必要な難しい状況にある」という意味で広く使用されるようになったのは比較的最近のことであると推測されます。

walk a tightropeの出現パターン

walk a tightropeの出現パターンは主に以下の4つに分類することができます。

パターン1:walk a tightrope(基本型・最頻出パターン)
パターン2:walk a (修飾語) tightrope(tightropeに修飾語がつくパターン)
パターン3:walk a tightrope between A and B
パターン4:tightrope walk(名詞句として使用するパターン)

最も基本的なパターン1の例文を挙げると次のようになります。

例文11-1)
I’m always afraid of getting fired, and sometimes feel like I am walking a tightrope.
(私はいつもクビになることを恐れていて、時々、自分が綱渡りをしているかのように感じることがある。)

パターン3は次のように使われます。

例文11-2)
Mike Tyson had to walk a tightrope between victory and defeat at that match.
(マイク・タイソンは、その試合で勝利と敗北の間をさまよわなければならなかった。)

パターン2とパターン4については、次の「洋書内の実例」のなかで紹介します。

洋書内の実例

それでは、基本型のパターン1から順に実例を紹介していきます。

パターン1:walk a tightrope(基本型・最頻出パターン)

実例1(パターン1):Coco Chanel: An Intimate Life (2011)(邦題『シャネル、革命の秘密』、Lisa Chaney = 著)より

In dressing the rich as if they were poor — in frustration, Poiret described this as her pauvre de luxe — she was forever walking a tightrope. A tightrope from which, nonetheless, she didn’t fall because, unlike the rebel, Gabrielle was not attacking culture.
裕福な人たちが着る服を、あたかも貧しい服であるかのようにシンプルに作りながら — ポワレは「贅沢な貧しさ」と表現する — ガブリエルは永遠の綱渡りをしていた
ガブリエルがそこから落ちなかったのは、反抗者とは違い、文化を攻撃しなかったからだ。

引用元:
(英語原著)Coco Chanel: An Intimate Life (2011) by Lisa Chaney; 16. The Strangest and Most Brilliant Years
(日本語版)『シャネル、革命の秘密』(Lisa Chaney = 著、中野香織 = 監訳)、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2014/3);第十六章(春の祭典)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間約3分

この文章に出てくる「ガブリエル(Gabrielle)」とは、世界的ファッションブランドのシャネルを創設したフランスのファッションデザイナー、ココ・シャネル(Coco Chanel;1883-1971)のことです。ちなみに、ココ・シャネルのココ(Coco)は彼女が副業としてキャバレーで歌を歌っていた時につけられた愛称で、本名は「ガブリエル・シャネル(Gabrielle Chasnel)」といい、本名のシャネル(Chasnel)とブランド名や愛称のシャネル(Chanel)は綴りが異なります。

この本『シャネル、革命の秘密』によると、ココ・シャネルことガブリエルは、富と力を見せつけるために贅沢さを利用する階層のために服を作っていましたが、ミニマリズムを追求するガブリエルは、その狭間で常に葛藤していたといいます。その葛藤を表したのがこの英文です。

「walk a tightrope」という表現は、「high-wire act」とは違って、危険性よりもバランスや難しさに重きが置かれた表現だと述べましたが、この英文を見ていただければ、その意味がわかっていただけるのではないかと思います。

実例2(パターン1):My Life (2004)(邦題『マイライフ:クリントンの回想』 ビル・クリントン = 著)より

Several days later, with Israelis evenly divided on the West Bank accord, Rabin survived a no-confidence vote in the Knesset by only one vote. We were still walking a tightrope, but I was optimistic. I knew the handover would proceed according to the handshake, and it did.
数日後、イスラエル議会で首相の不信任投票が行なわれて、ラビンは辛くも一票差で信任を得た。綱渡りが続く状態だったが、わたしは楽観していた。領土の割譲が握手にもとづいて実施されることも信じていたし、実際、それはそのとおりに実施された。

引用元:
(英語原著)My Life (2004) by Bill Clinton; Chapter 44
(日本語版)『マイライフ:クリントンの回想』(ビル・クリントン = 著、楡井浩一 = 訳)、朝日新聞社(2004/9);下巻、第44章より引用
(英語原著Audible版)Audible版-要約版一冊無料!Audible無料体験):Audible版はクリントンさん本人が朗読していてリスニングの練習に最適です。サンプルを聞くだけでも十分に価値のある内容となっています。サンプル再生時間は約10分です。

この文章の「ラビン」は、イスラエルの元首相のイツハク・ラビン氏のこと。ラビンは、1994年に中東平和への貢献を理由にノーベル平和賞を受賞しましたが、1995年に和平反対派のユダヤ人青年により暗殺されました。

実例3(パターン1):Hard Choices: A Memoir (2014)(邦題『困難な選択(上・下)』、ヒラリー・ロダム・クリントン = 著)より

Throughout the delicate transition process, the United States tried to walk a tightrope, promoting our democratic values and strategic interests without taking sides or backing particular candidates or factions.
デリケートな移行プロセスを通じて、米国は綱渡りを試みていた。誰の側につくこともなく、特定の候補者や派閥を支持することもなく、民主主義的な価値観と戦略的な利益を推進しようとした。

引用元:
(英語原著)Hard Choices: A Memoir (2014) by Hillary Rodham Clinton; 15. The Arab Spring: Revolution
(日本語版)『困難な選択(上・下)』(ヒラリー・ロダム・クリントン = 著、日本経済新聞社 = 訳)、日本経済新聞出版社(2015/5);下巻・第15章(アラブの春 — 革命)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間約5分

この例からも、「walk a tightrope」が危険性よりもバランスや難しさに重きが置かれた表現であることがわかると思います。

実例4(パターン1):LIVING HISTORY (2003)(邦題『ヒラリー・ロダム・クリントン自伝』、ヒラリー・ロダム・クリントン = 著)より

Like other Arab leaders whom I have met, Mubarak recognizes the dilemma he faces in governing a country beset by tensions between a Western-oriented educated minority that wants to pursue modernization and the more conservative majority, whose fear over the demise of its values and traditional ways of life can be politicized. Walking that tightrope — and staying alive — is a daunting challenge, and Mubarak’s tactics occasionally have led to criticisms that he is too autocratic.
国内には近代化を望む西洋志向のインテリ少数派がいる。かたや、自らの価値観と伝統的な生活様式の崩壊への恐れが時に政治問題化する保守的多数派がいる。その両者の間に緊張状態があり、わたしが会ったほかのアラブ諸国の指導者と同様、ムバラクもまた国を治める者として、そこにジレンマが存在することを認めている。そのような危ない橋を日々渡らなければならないとは — しかも、殺されずに — 何という覚悟だろう。なのに、ムバラクの戦術は時に、独裁的すぎるとの非難を受けてきた。

引用元:
(英語原著)LIVING HISTORY (2003) by Hillary Rodham Clinton; MIDTERM BREAK
(日本語版)『ヒラリー・ロダム・クリントン自伝』(ヒラリー・ロダム・クリントン = 著、酒井洋子 = 訳)、早川書房(2007/11);上巻・中間選挙より引用
(英語原著Audible版)Audible版-要約版一冊無料!Audible無料体験);ヒラリーさんご本人の朗読です。サンプル(再生時間約15分)を聴くだけでも十分にリスニング練習になります。

daunting」は「難しい」、「気の遠くなるような」という意味です。

 

次はtightropeに修飾語がつくパターン2です。

パターン2:tightropeに修飾語がつくパターン

実例5(パターン2):My Life (2004)(邦題『マイライフ:クリントンの回想』 ビル・クリントン = 著)より

As I write this, it seems reasonable and straightforward. But Fulbright, his committee colleagues, and the staff were in fact walking a high political tightrope across dangerous rocks.
本書を執筆している時点では、筋の通った率直な行動に思える。しかし、フルプライトと委員会の同僚たちとそのスタッフは、実のところ危険な岩山の上で政治的網渡りをしようとしていた

引用元:
(英語原著)My Life (2004) by Bill Clinton; Chapter 11
(日本語版)『マイライフ:クリントンの回想』(ビル・クリントン = 著、楡井浩一 = 訳)、朝日新聞社(2004/9);上巻、第11章より引用
(英語原著Audible版)Audible版-要約版一冊無料!Audible無料体験):Audible版はクリントンさん本人が朗読。サンプル再生時間約10分。

実例6(パターン2):The Everything Store: Jeff Bezos and the Age of Amazon (2013)(邦題『ジェフ・ベゾス 果てなき野望 ー アマゾンを創った無敵の奇才経営者』、ブラッド・ストーン 著)より

But Amazon was walking an almost impossible precarious tightrope, trying to assuage the fears of brand-name companies with industry-standard pricing while also using Endless as a way to undercut Zappos on price.
だが、アマゾンは不可能と言えるほどぎりぎりの綱渡りをしていた — 業界標準の価格でブランド企業の恐怖を和らげつつ、ザッポスを下回る価格をエンドレスで提供しようとしていたのだ。

引用元:
(英語原著)The Everything Store: Jeff Bezos and the Age of Amazon (2013) by Brad Stone; CHAPTER 9 Liftoff!
(日本語版)『ジェフ・ベゾス 果てなき野望 ー アマゾンを創った無敵の奇才経営者』(ブラッド・ストーン = 著、井口耕二 = 訳)、日経BP(2014/1);第9章(グーグル、アップルと並ぶ会社になる)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間約5分

ザッポス(Zappos)とは、アメリカのオンライン靴店Zappos.comのこと。2009年にアマゾンに約12億ドルで買収されましたが、その後もアマゾンの傘下で独立した営業を続けています。

実例7(パターン2):Becoming Facebook (2017)(邦題『フェイスブック 不屈の未来戦略』、マイク・ホフリンガー = 著)より

Until Facebook has a second (search? messaging?) — or more diversified — business, Zuckerberg will continue to walk a gutsy tightrope. A similar challenge exists for Google, and we should expect to see the two increasingly invading each other’s business to have better hedges for their respective positions.
フェイスブックが2つ目(検索かメッセージか)、あるいはそれ以上の収益のあるビジネスを構築できない限り、ザッカーバーグは引き続き危険な綱渡りに挑まなければならないだろう。もちろん、この問題はグーグルにもあてはまる。両者は、今後互いのビジネス領域に踏み込むことになるのだろう。

引用元:
(英語原著)Becoming Facebook: The 10 Challenges That Defined the Company That’s Disrupting the World (2017) by Mike Hoefflinger; 18 Nothing Lasts Forever?
(日本語版)『フェイスブック 不屈の未来戦略』(マイク・ホフリンガー = 著、大熊 希美 = 訳)、TAC出版(2017/6);第18章(いつかはなくなる?)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間約5分

英文中の「 gutsy」は日本語でよく使うガッツポーズのガッツ(guts;本来の意味は「内臓、はらわた、腸」)にyがついて形容詞化したもので、「勇敢な」や「ずぶとい」という意味です。

ザッカーバーグは、フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)のこと。ザッカーバーグは、ハーバード大学在学中の2004年にハーバード大学の寮でフェイスブックを立ち上げました。ザッカーバーグは、ビル・ゲイツと同様にハーバード大学を中退しています。

次はパターン3です。

パターン3:walk a tightrope between A and B

実例8(パターン3):Hard Choices: A Memoir (2014)(邦題『困難な選択(上・下)』、ヒラリー・ロダム・クリントン = 著)より

It appeared that the Communist Party leadership was trying to walk a tightrope between working constructively with us and salvaging the Strategic and Economic Dialogue, and satisfying the concerns of more hard-line elements in the security apparatus.
中国共産党の指導部は、我々と建設的に話し合い、戦略経済対話を守りながら、一方で公安当局にいる強硬派の懸念を宥(なだ)めるという綱渡りをしているようだった。

引用元:
(英語原著)Hard Choices: A Memoir (2014) by Hillary Rodham Clinton; 5. Beijing: The Dissident
(日本語版)『困難な選択(上・下)』(ヒラリー・ロダム・クリントン = 著、日本経済新聞社 = 訳)、日本経済新聞出版社(2015/5);上巻・第5章(北京 — 反体制活動家)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間約5分

また、クリントンですか、と思われるかもしれませんが、クリントン夫妻の著書には「綱渡り」を意味する表現がよく出てきます。やはり、夫婦ですから、普段の会話を通して使う言葉も似てくるのかもしれません。

実例9(パターン3):THE INTELLECTUAL DEVOTIONAL (2006)(邦題『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』)より

Anton Chekhov (1860-1904) was one of literature’s great masters of the short story and one of its finest dramatists. In several landmark plays and countless miniature prose masterpieces, he mined remarkable stories from everyday life. Although his works are by and large serious, they consistently walk the tightrope between comedy and tragedy.
アントン・チェーホフ(1860〜1904)は、短編小説の巨匠にして、最高の劇作家のひとりである。いくつかの代表的な戯曲と、数えきれぬほどある傑作短編小説で、彼は日常生活の中からすばらしい物語を掘り起こした。作品はおおむねシリアスなものだが、どれも常に喜劇と悲劇の微妙なバランスの上に話が展開していく

引用元:
(英語原著)THE INTELLECTUAL DEVOTIONAL: Revive Your Mind, Complete Your Education, and Roam Confidently with the Cultured Class (2006); WEEK 24, TUESDAY, DAY 2 LITERATURE, Anton Chekhov
(日本語版)『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』(デイヴィッド・S・キダー、ノア・D・オッペンハイム = 著、小林朋則 = 訳)、文響社(2018/4);「第24週、2日目(火)、163 文学、アントン・チェーホフ」より引用。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/6/11確認)。(Kindle Unlimited 無料体験

この例からも、「walk a tightrope」が危険性よりもバランスや難しさに重きを置いている場合が多いことがよくわかると思います。

アントン・チェーホフ(Anton Chekhov)は、医師免許も持つロシアの劇作家で、多くの作品を書きながら、医師も続けていたとのことです。

実例10(パターン3):Power Games : A Political History of the Olympics (2016)(邦題『オリンピック秘史 : 120年の覇権と利権』、ジュールズ・ボイコフ = 著)より

The modern Olympics have always walked a tightrope between chauvinism and internationalism. When Orwell wrote that “international sporting contests lead to orgies of hatred” he had the Olympics in mind.
近代オリンピックはその発足から排外主義と国際協調主義とのあいだで危険な綱渡りをしてきた
「国際スポーツ競技大会は過剰な憎悪につながる」と書いたとき、ジョージ・オーウェルはオリンピックを念頭に置いていた。

引用元:
(英語原著)Power Games : A Political History of the Olympics (2016) by Jules Boykoff; 1 Coubertin and Revival of the Olympic Games
(日本語版)『オリンピック秘史 : 120年の覇権と利権』(ジュールズ・ボイコフ = 著、中島由華 = 訳)、早川書房(2018/1);第1章(クーベルタンとオリンピック復活)より引用

次は、これまでのようにtightropeを動詞句として用いるのではなく、「 tightrope walk」という名詞句として使うパターン4です。

パターン4:tightrope walk(名詞句として使用するパターン)

実例11(パターン4):Hard Choices: A Memoir (2014)(邦題『困難な選択(上・下)』、ヒラリー・ロダム・クリントン = 著)より

It had been a delicate tightrope walk from the start, but now I felt we had proof that it had been worth it.
この作業は最初から細心の注意を要する綱渡りのようだったが、その甲斐があったというお墨付きを得た気分だった。

引用元:
(英語原著)Hard Choices: A Memoir (2014) by Hillary Rodham Clinton; 5. Beijing: The Dissident
(日本語版)『困難な選択(上・下)』(ヒラリー・ロダム・クリントン = 著、日本経済新聞社 = 訳)、日本経済新聞出版社(2015/5);上巻・第5章(北京 — 反体制活動家)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験)サンプル再生時間約5分

再び、クリントンさんです。奥さまの方です。今度は形を変えて「tightrope walk」として使ってきました。

実例12(パターン4):Permutation City (1994)(邦題『順列都市(上・下)』、グレッグ・イーガン = 著)より

It was a balancing act, a tightrope walk. A Copy could go insane, either way.
これはきわどい綱渡りだ。どちらに転んでも、〈コピー〉は正気を失うおそれがあった。

引用元:
(英語原著)Permutation City (1994) by Greg Egan; 8 (Remit not paucity)
(日本語版)『順列都市(上・下)』(グレッグ・イーガン = 著、山岸真 = 訳)、早川書房(1999/10);8(使途連述)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間約4分

He almost laughed, but his newly combed expression discouraged it. Expediency, honesty, complacency, insanity. It was a tightrope walk.
トマスは笑いだしそうになったが、髪を梳かされたばかりの表情を鏡で見て、思いとどまった。方便、誠実、自己満足、狂気。これは綱渡りなのだ

引用元:
(英語原著)Permutation City (1994) by Greg Egan; 8 (Remit not paucity)
(日本語版)『順列都市(上・下)』(グレッグ・イーガン = 著、山岸真 = 訳)、早川書房(1999/10);8(使途連述)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験);サンプル再生時間約4分

前回取り上げた「high-wire act」の中で、先に綱渡りのようなリスクの高い行為を先に書いておいて、その後に「It was a high-wire act.」と続けるパターンがよくみられる、と書きましたが、これはその「tightrope walk」版と言えます。

walk a tightropeのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

walk a tightrope

  • 由来:サーカスなどで行う綱渡りで、ピンと張ったロープの上を歩く様子から。
  • 意味:綱渡りをする(「綱渡りのように絶妙なバランスや注意が必要な難しい状況にある」という意味で用いることが多い)、危ない橋を渡る
  • 英語による定義:to be in a difficult situation where good balance or extreme caution is required
  • 出現頻度:A[中頻度:高めの頻度で洋書に出てくる準必須の英語表現]
  • 出現パターン
    パターン1:walk a tightrope(基本型・最頻出パターン)
    パターン2:walk a (修飾語) tightrope(tightropeに修飾語がつくパターン)
    パターン3:walk a tightrope between A and B
    パターン4:tightrope walk(名詞句として使用するパターン)
  • 例文
    I’m always afraid of getting fired, and sometimes feel like I am walking a tightrope.
    (私はいつもクビになることを恐れていて、時々、自分が綱渡りをしているかのように感じることがある。)
    Mike Tyson had to walk a tightrope between victory and defeat at that match.
    (マイク・タイソンは、その試合で勝利と敗北の間をさまよわなければならなかった。)

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

☆☆いつも応援ありがとうございます☆☆
にほんブログ村 英語ブログ 洋書・洋楽の英語へ
にほんブログ村

英語ランキング