洋書に出てくる英語表現0010:high-wire act【おすすめ英語フレーズ編10】

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「洋書に出てくる英語表現」の第10回は「high-wire act」を取り上げます。

2000年以降に出版されたノンフィクション作品に多く見られる比較的新しい表現です。

目次
  1. high-wire actの意味と由来
  2. high-wire actの英語による定義
  3. 洋書におけるhigh-wire actの出現頻度
  4. high-wire actの年代分布
  5. high-wire actの出現パターン
  6. 洋書内の実例
    1. 実例1(パターン1):The snowball: Warren Buffett and the business of life (2009)(邦題『スノーボール ウォーレン・バフェット伝 (改訂新版)』、アリス・シュローダー = 著)より
    2. 実例2(パターン1):Tim Cook (2019)(邦題『ティム・クック:アップルをさらなる高みへと押し上げた天才 』、リーアンダー・ケイニー = 著)より
    3. 実例3(パターン1):Hard Choices: A Memoir (2014)(邦題『困難な選択(上・下)』、ヒラリー・ロダム・クリントン = 著)より
    4. 実例4(パターン1):Becoming Steve Jobs (2015)(邦題『スティーブ・ジョブズ 無謀な男が真のリーダーになるまで(上・下)』、ブレント・シュレンダー、リック・テッツェリ = 著)より
    5. 実例5(パターン1):The Audacity of Hope: Thoughts on Reclaiming the American Dream (2006)(邦題『合衆国再生 – 大いなる希望を抱いて 』、バラク・オバマ = 著)より
    6. 実例6(パターン1):How to Make a Spaceship (2016)(邦題『Xプライズ 宇宙に挑む男たち』、ジュリアン・ガスリー = 著)より
    7. 実例7(パターン1):Can’t Stop Won’t Stop: A History of the Hip-Hop Generation (2005)(邦題『ヒップホップ・ジェネレーション[新装版]』、ジェフ・チャン = 著)より
    8. 実例8(パターン1):Lucky Man: A Memoir (2002)(邦題『ラッキーマン』、マイケル・J・フォックス = 著)より
    9. 実例9(パターン2):Hard Choices: A Memoir (2014)(邦題『困難な選択(上・下)』、ヒラリー・ロダム・クリントン = 著)より
    10. 実例10(パターン3):My Life (2004)(邦題『マイライフ:クリントンの回想』 ビル・クリントン = 著)より
    11. 実例11(パターン3):The Green Mile (1996)(邦題『グリーン・マイル』、スティーヴン・キング = 著)より
  7. high-wire actのまとめ

high-wire actの意味と由来

サーカスなどで行う「綱渡り」に由来する表現で、「綱渡りのようなリスクの高い行為」を意味します。「綱渡りのように絶妙なバランスが必要な難しい行為」という意味で使用されることもあります。

類似表現に「 walk a tightrope」というのがあり、こちらも同様に「綱渡り」に由来する表現で文字どおり「綱渡りをする」という意味なのですが、今回取り上げる「high-wire act」とは若干ニュアンスが異なりますので、「walk a tightrope」については、次回の「洋書に出てくる英語表現0011」で取り上げます。

high-wire actの英語による定義

an action that is as risky as walking on a high wire

洋書におけるhigh-wire actの出現頻度

A[中頻度:高めの頻度で洋書に出てくる準必須の英語表現]
(AAA[超頻出]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

high-wire actの年代分布

1996年 – 2019年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1996年発行の『The Green Mile(邦題:グリーン・マイル、スティーヴン・キング = 著)』で、最も新しい洋書は2019年発行の『Tim Cook(邦題:ティム・クック:アップルをさらなる高みへと押し上げた天才)』でした。

ただ、スティーヴン・キングの『グリーン・マイル』は、厳密に言えば「high-wire act」ではなく「high-wire aspect」という形で使用されていて、「high-wire act」として使用されているものに限定すれば、2002年発行の『Lucky Man: A Memoir(邦題『ラッキーマン』、マイケル・J・フォックス = 著)』が最も古い使用例でした。

サーカスで行う綱渡りはもっと古くからあったでしょうから、high-wire actという表現自体はもっと前からあったと考えられますが、それが「綱渡りのようなリスクの高い行為」という意味で広く使用されるようになったのは1990年代以降であると推測されます。

当ブログで調査した1813年以降に発行された洋書全体でみると、使用頻度はあまり高くありませんが、2000年以降の洋書に限定すれば使用頻度の高い比較的新しい英語表現と言えます。

high-wire actの出現パターン

high-wire actの出現パターンは主に以下の3つに分類することができます。

パターン1:high-wire act(基本型・最頻出パターン)
パターン2:high-wire balancing act between A and B
パターン3:high-wire operationなど(actの替わりに他の名詞を使用するもの)

最も出現頻度の高いパターン1(基本型)の例文を挙げると、次のようになります。

例文10-1)
As a father of 5 children, pouring all money into the stock market is a high-wire act.
(5児の父親として、すべてのお金を株式市場につぎ込むのは危険な行為だ。)

次のパターン2ですが、頻度は高くありませんが、次のように使用することができます。

例文10-2)
Marriage is a high-wire balancing act between work and home.
(結婚とは、仕事と家庭との間で慎重にバランスを取りながら行う危険な綱渡りのようなものである。)

このようにバランスを取りながら注意して行わなければならないような物事を表現する際に使用されます。

次のパターン3については、この後の「洋書内の実例」のなかで紹介します。

洋書内の実例

それでは、基本型のパターン1から順に実例を紹介していきます。

パターン1:high-wire act(基本型・最頻出パターン)

実例1(パターン1):The snowball: Warren Buffett and the business of life (2009)(邦題『スノーボール ウォーレン・バフェット伝 (改訂新版)』、アリス・シュローダー = 著)より

Susie’s own life in San Francisco was something of a high-wire act, requiring a sure sense of balance. She had remained Mrs. Warren Buffett publicly for six years now while privately teetering on the fence of divorce and remarriage.
スージーのサンフランシスコでの生活は、たしかなバランス感覚を求められる綱渡りに似ていた。公にはウォーレン・バフェット夫人でありつづけたが、個人的には六年ものあいだ離婚と再婚のはざまで足踏みしていた。

引用元:
(英語原著)The snowball: Warren Buffett and the business of life (2009) by Alice Schroeder; 45: Call the Tow Truck
(日本語版)『スノーボール ウォーレン・バフェット伝 (改訂新版)』(アリス・シュローダー = 著、伏見威蕃 = 訳)、日本経済新聞出版社(2014/6/3);中巻・第45章(レッカー車を呼んでこい)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験

スージーとは、バークシャー・ハサウェイ社のCEOで「オマハの賢人(Oracle of Omaha)」と呼ばれるアメリカの資産家ウォーレン・バフェットの元妻スーザン・トンプソンのことを指しています。バフェットは、1978年から妻のスーザンに紹介された女性と同居しており、2004年に妻のスーザンが亡くなった後、その女性と再婚しています。

この実例の「 on the fence」という表現にも注目です。フェンスの上に座って、フェンスのこっち側におりた方が得か、あっち側に降りた方が得かと思案して態度を決めかねている状態を表す表現に「sit on the fence」というのがありますが、ここではその「sit」の替わりに「 teeter(ぐらつく、ためらう)」という動詞が使われています。

実例2(パターン1):Tim Cook (2019)(邦題『ティム・クック:アップルをさらなる高みへと押し上げた天才 』、リーアンダー・ケイニー = 著)より

Running Apple, Cook would be the most visible CEO in the world: a high-wire act.
アップルを経営するということは、クックにとって世界で最も注目を浴びるCEOになることを意味し、非常に高いリスクを伴うものだった

引用元:
(英語原著)Tim Cook (2019) by Leander Kahney;Chapter 1 The Death of Steve Jobs
(日本語版)『ティム・クック:アップルをさらなる高みへと押し上げた天才』(リーアンダー・ケイニー = 著、堤沙織 = 訳)、SBクリエイティブ(2019/9);第1章(スティーブ・ジョブズの死)より引用
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クックとは、アップルの共同創業者スティーブ・ジョブズの後を受けて2011年8月にアップルのCEOに就任したティム・クック(Tim Cook)のことを指しています。ティム・クックは、ライバルのIBMとコンパック社を経て1998年にアップルコンピュータに入社しました。1996年12月にアップルに電撃復帰していたスティーブ・ジョブズとともに、倒産寸前のアップルを立て直しました。自身がゲイであることを公表したことでも知られています。

実例3(パターン1):Hard Choices: A Memoir (2014)(邦題『困難な選択(上・下)』、ヒラリー・ロダム・クリントン = 著)より

Like Nelson Mandela, President Johnson Sirleaf grew up as the grandchild of a chief. As a young woman, she studied economics and public policy in the United States, receiving a Master of Public Administration degree from Harvard’s Kennedy School in 1971. Her career in Liberian politics was a high-wire act.
サーリーフはネルソン・マンデラ同様、首長の孫として育った。若い時に、米国で経済学と公共政策を学び、一九七一年にはハーバード大学ケネディスクールで行政学修士号を取得した。リベリア政界における彼女の経歴は危険に満ちていた

引用元:
(英語原著)Hard Choices: A Memoir (2014) by Hillary Rodham Clinton; 13. Africa: Guns or Growth?
(日本語版)『困難な選択(上・下)』(ヒラリー・ロダム・クリントン = 著、日本経済新聞社 = 訳)、日本経済新聞出版社(2015/5);上巻・第13章(アフリカ — 銃か成長か)より引用
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サーリーフとは、リベリア共和国の第24代大統領、エレン・ジョンソン・サーリーフ(Ellen Johnson Sirleaf)のことです。サーリーフは、2006年から2018年まで12年間にわたって同国の大統領を務めました。

実例4(パターン1):Becoming Steve Jobs (2015)(邦題『スティーブ・ジョブズ 無謀な男が真のリーダーになるまで(上・下)』、ブレント・シュレンダー、リック・テッツェリ = 著)より

THE IPHONE WAS introduced on January 9, 2007, at the annual MacWorld conference at San Francisco’s Moscone Center. It was a high-wire act. The handset was nowhere near ready to ship.
iPhoneは、2007年1月9日、サンフランシスコはモスコーニ・センターで毎年おこなわれるマックワールドで発表された。綱渡りだった。まだ、出荷できるような完成度ではなかったのだ。

引用元:
(英語原著)Becoming Steve Jobs: The Evolution of a Reckless Upstart Into a Visionary Leader (2015) by Brent Schlender and Rick Tetzeli; Chapter 15 The Whole Widget
(日本語版)『スティーブ・ジョブズ 無謀な男が真のリーダーになるまで(上・下)』(ブレント・シュレンダー、リック・テッツェリ = 著、井口 耕二 = 訳)、日本経済新聞出版社(2016/9);下巻・第15章(十全なウィジェット)より引用
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この例のように、先に綱渡りのようなリスクの高い行為を先に書いておいて、その後に「It was a high-wire act.」と続けるパターンがよくみられます。会話で使用する場合も、このパターンが使いやすいと思います。

ちなみに、この2007年1月のマックワールド・エキスポでは、iPhoneの発表以外にも、社名の「アップルコンピュータ」から「コンピュータ」を削除して、アップル(Apple Inc.)を正式な名称とすることが発表されました。既にipodを発売して音楽の分野に参入していましたし、さらに携帯電話も発売するということで、完全にコンピュータ専門の会社ではなくなりました。

次は、「high-wire act」が少し違う意味で使用されているものを紹介します。

実例5(パターン1):The Audacity of Hope: Thoughts on Reclaiming the American Dream (2006)(邦題『合衆国再生 – 大いなる希望を抱いて 』、バラク・オバマ = 著)より

For ten years before coming to Washington, I taught constitutional law at the University of Chicago. I loved the law school classroom: the stripped-down nature of it, the high-wire act of standing in front of a room at the beginning of each class with just blackboard and chalk, the students taking measure of me, some intent or apprehensive, others demonstrative in their boredom, the tension broken by my first question — “What’s this case about?” — and the hands tentatively rising, …(略).
ワシントンに来るまでの一〇年間、わたしはシカゴ大学で憲法学を教えていた。余分な設備がいっさいない法科大学院の教室が大好きだった。授業の始めに黒板とチョークしかない部屋の前に立つ緊張感。学生がわたしという人物を見ている。熱心な者もいれば、不安げな者もいる。退屈さをあらわにしている者もいる。「この事件はどういう事件ですか?」というわたしの最初の質問が緊張を破り、おずおずと手が挙がる。

引用元:
(英語原著)The Audacity of Hope: Thoughts on Reclaiming the American Dream (2006) by Barack Obama; Chapter 3 Our Constitution
(日本語版)『合衆国再生 – 大いなる希望を抱いて』(バラク・オバマ = 著、棚橋 志行 = 訳)、ダイヤモンド社(2007/12);第3章(憲法の真の力)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-要約版一冊無料!Audible無料体験);Audible版はオバマ氏本人が朗読しています。サンプルだけでも聴く価値アリです。

この文章では、「綱渡りのようなリスクの高い行為」というよりも、「綱渡りのような緊張感あふれる行為」という意味で使用されています。

実例6(パターン1):How to Make a Spaceship (2016)(邦題『Xプライズ 宇宙に挑む男たち』、ジュリアン・ガスリー = 著)より

His next challenge combined the precision of a high-wire act with the power of a drag race: landing an F/A-18 Hornet on an aircraft carrier at sea. It was a moving target where any mistake could be his last.
続いての訓練には、綱渡りの精密さとドラッグレースのパワーを求められた。戦闘機F/A-18「ホーネット」を空母に着艦させるのだが、揺れ動く甲板への降下はどんなミスでも死に直結する。

引用元:
(英語原著)How to Make a Spaceship (2016) by Julian Guthrie; 26. The Test of a Lifetime
(日本語版)『Xプライズ 宇宙に挑む男たち』(ジュリアン・ガスリー = 著、門脇弘典 = 訳)、日経BP(2017/4);第26章(人生最大の試練)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験

これも、high-wire actがすこし違う意味で使われている例です。通常、high-wire actはリスキーな行動の例として使われるのですが、ここでは精密さの求められる行動の例として使われています。

実例7(パターン1):Can’t Stop Won’t Stop: A History of the Hip-Hop Generation (2005)(邦題『ヒップホップ・ジェネレーション[新装版]』、ジェフ・チャン = 著)より

But his life was a high-wire act. As the biggest Black visual artist of the twentieth century, he spent his career in the minefield between white and Black expectations.
とはいえ、バスキアの人生は、綱渡りの曲芸のようだった。二〇世紀最大の黒人ヴィジュアル・アーティストとして、彼は白人からの期待と黒人からの期待の狭間という、地雷原のように危ない位置に立ちながら、そのキャリアを積んでいった。

引用元:
(英語原著)Can’t Stop Won’t Stop: A History of the Hip-Hop Generation (2005) by Jeff Chang; 10. End of Innocence: The Fall of the Old School
(日本語版)『ヒップホップ・ジェネレーション[新装版]』(ジェフ・チャン = 著、押野素子 = 訳)、リットーミュージック(2016/9);第10章(イノセントな時代の終焉:オールド・スクールの衰退)より引用。Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/6/11確認)。(Kindle Unlimited 無料体験

バスキアは、アメリカのストリート・アーティスト(画家)のジャン・ミッシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat)のこと。1988年にヘロインの過剰摂取により27歳で死亡しました。

実例8(パターン1):Lucky Man: A Memoir (2002)(邦題『ラッキーマン』、マイケル・J・フォックス = 著)より

Bryan Lourd and Kevin Huvane, my new agents at CAA, faced a couple of stiff challenges. The first, and most obvious, was finding a way to restore my status in the movie business — especially now, in the wake of another box office bomb. But these guys knew that Greedy was going to tank before they signed me, and resuscitating a once-promising career was exactly the kind of high-wire act they’d made their reputations on.
CAAのぼくの新しいエージェント、ブライアン・ロードとケヴィン・フーヴェインはふたつの難題に直面していた。ひとつ目でかつ非常にはっきりした問題は、映画業界の中での — 特に、またしても興行面で大失敗をしてしまったいまの時期に — ぼくのステイタスを立てなおす方法をみつけだすことだった。だが、ぼくと契約する前から『遺産相続は命がけ!?』が失敗するだろうことは彼らにはわかっていた。だから、かつては将来有望とみなされていたぼくのキャリアを復活させるのは、彼らが自分たちの評判をかけて取り組むべき大仕事だったのだ

引用元:
(英語原著)Lucky Man: A Memoir (2002) by Michael J. Fox; Chapter Six: Year of Wonders (Or: The [Real] Secret of My [Real] Success)
(日本語版)『ラッキーマン』(マイケル・J・フォックス = 著、入江真佐子 = 訳)、ソフトバンクパブリッシング(2003/1);第6章(驚異の年)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-要約版;マイケル・J・フォックス氏本人が朗読しています。サンプルだけでも聞く価値アリ。(一冊無料!Audible無料体験

英文内の「 box office」という表現にも注目して下さい。これは、映画などの「興行成績」を意味する表現で、洋書にかなり高い頻度で出現します。チケット売場が箱(box)の形をしていたことに由来しています。

ちなみに、『Greedy(遺産相続は命がけ!?)』は、1994年にアメリカで公開されたマイケル・J・フォックス主演のコメディ映画で日本では劇場未公開の作品です。日本では、DVDやBlue-rayとして発売されています。

次はパターン2の実例を紹介します。

パターン2:high-wire balancing act between A and B

実例9(パターン2):Hard Choices: A Memoir (2014)(邦題『困難な選択(上・下)』、ヒラリー・ロダム・クリントン = 著)より

Crafting American foreign policy has always been a high-wire balancing act between continuity and change.
米外交政策とはつねに、高い場所で綱を渡りながら、継続と変革のあいだでバランスをとるようなものである

引用元:
(英語原著)Hard Choices: A Memoir (2014) by Hillary Rodham Clinton; 2. Foggy Bottom: Smart Power
(日本語版)『困難な選択(上・下)』(ヒラリー・ロダム・クリントン = 著、日本経済新聞社 = 訳)、日本経済新聞出版社(2015/5);上巻・第2章(フォギー・ボトム — スマート・パワー)より引用
(英語原著Audible版)Audible版-完全版一冊無料!Audible無料体験

既に述べたように、通常、high-wire actはリスキーな行動の例として使われるのですが、ここでは、リスキーかつバランスの求められる難しい行動の例として使われています。

最後にパターン3の紹介です。

パターン3:high-wire operationなど(actの替わりに他の名詞を使用するもの)

実例10(パターン3):My Life (2004)(邦題『マイライフ:クリントンの回想』 ビル・クリントン = 著)より

I loved her and wanted to be with her, but I understood her reservations. I was passionate and driven, and nothing in my background indicated I knew what a stable marriage was all about. She knew that being married to me would be a high-wire operation in more ways than one.
わたしはヒラリーを愛していて、いっしょになりたいと願ったが、ヒラリーが二の足を踏む気持ちも理解できた。わたしは熱くなって突っ走るところがあり、また育ってきた環境を振り返れば、安定した結婚がどういうものかを知っているとは言いにくかった。わたしとの結婚が、いろいろな意味で、高所に張った綱を渡るのに等しいことをヒラリーは承知していた

引用元:
(英語原著)My Life (2004) by Bill Clinton; Chapter 18
(日本語版)『マイライフ:クリントンの回想』(ビル・クリントン = 著、楡井浩一 = 訳)、朝日新聞社(2004/9);上巻、第18章より引用
(英語原著Audible版)Audible版-要約版一冊無料!Audible無料体験):Audible版はクリントンさん本人が朗読していてリスニングの練習に最適です。サンプルを聞くだけでも十分に価値のある内容となっています。

ビル・クリントン元アメリカ大統領が将来妻となるヒラリーとの関係について語った部分です。この例では、actの替わりにoperationという名詞が使われています。

次は、「年代分布」の項でも触れたスティーヴン・キング の『グリーン・マイル』からの引用です。

実例11(パターン3):The Green Mile (1996)(邦題『グリーン・マイル』、スティーヴン・キング = 著)より

Ralph suggested a possible third alternative, a story that could be written the same way it would be read-in installments. And I liked the high-wire aspect of it, too: fall down on the job, fail to carry through, and all at once about a million readers are howling for your blood.
ラルフは現実的な第三の選択肢を提案してきた。書くほうも、読むほうとおなじ形式で — すなわち分冊形式で書いたらいいではないか。これは綱わたりのような作業だが、そこがわたしの心をとらえた。締切に間に合わなかったり、完成させられなかったりすれば、たちまち奈落の底にまっさかさま — そして血に飢えた約百万人もの読者が飛びかかってくるのである。

引用元:
(英語原著)The Green Mile (1996) by Stephen King; Foreword: A Letter
(日本語版)『グリーン・マイル』(スティーヴン・キング = 著、白石 朗 = 訳)、新潮社(2000/1);著者まえがき — 手紙、より引用

この例では、actの替わりにaspectという名詞が使われています。

high-wire actのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

high-wire act

  • 由来:サーカスなどで行う「綱渡り」から。
  • 意味:綱渡りのようなリスクの高い行為
  • 英語による定義:an action that is as risky as walking on a high wire
  • 出現頻度:A[中頻度:高めの頻度で洋書に出てくる準必須の英語表現]
  • 出現パターン
    パターン1:high-wire act(基本型・最頻出パターン)
    パターン2:high-wire balancing act between A and B
    パターン3:high-wire operationなど(actの替わりに他の名詞を使用するもの)
  • 例文
    As a father of 5 children, pouring all money into the stock market is a high-wire act.
    (5児の父親として、すべてのお金を株式市場につぎ込むのは危険な行為だ。)
    Marriage is a high-wire balancing act between work and home.
    (結婚とは、仕事と家庭との間で慎重にバランスを取りながら行う危険な綱渡りのようなものである。)

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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