洋書に出てくる英語表現0003:born with a silver spoon in one’s mouth【おすすめ英語フレーズ編3】

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「洋書に出てくる英語表現」の第3回は「born with a silver spoon in one’s mouth」を取り上げます。

古くは、自己啓発書の古典である1880年発行の『The Art of Money Getting; Or, Golden Rules for Making Money』(邦題:『富を築く技術:稼ぐための黄金のルール20』、P・T・バーナム = 著)や1923年発行の『Whose Body?』(邦題:『ピーター卿乗り出す』、ドロシー・セイヤーズ = 著)から、近年の洋書では2014年発行の『ZERO to ONE』(邦題:『ゼロ・トゥ・ワン:君はゼロから何を生み出せるか』、ピーター・ティール = 著)に至るまで、幅広く使用されている表現です。

目次
  1. born with a silver spoon in one’s mouthの意味と由来
  2. born with a silver spoon in one’s mouthの英語による定義
  3. 洋書におけるborn with a silver spoon in one’s mouthの出現頻度
  4. born with a silver spoon in one’s mouthの年代分布
  5. born with a silver spoon in one’s mouthの出現パターン
  6. 洋書内の実例
    1. 実例1(パターン1):FIRE ON ICE: THE EXCLUSIVE INSIDE STORY OF TONYA HARDING (1994)(邦題『氷の炎 — トーニャ・ハーディング』、アビー・ヘイト& J・E・ヴェイダー、オレゴニアン新聞社スタッフ = 著)より
    2. 実例2(パターン1):Hero (The Secret) (2013)(邦題『ヒーロー:The Secret』、ロンダ・バーン = 著)より
    3. 実例3(パターン1):Ego Is the Enemy (2016)(邦題『エゴを抑える技術』 ライアン・ホリデイ = 著)より
    4. 実例4(パターン1):Whose Body? (1923)(邦題『ピーター卿乗り出す』 ドロシー・セイヤーズ = 著)より
    5. 実例5(パターン2):Pour Your Heart Into It: How Starbucks Built a Company One Cup at a Time (1997)(邦題『スターバックス成功物語』 、ハワード・シュルツ&ドリー・ジョーンズ・ヤング = 著)より
    6. 実例6(パターン2):ZERO to ONE (2014)(邦題『ゼロ・トゥ・ワン:君はゼロから何を生み出せるか』 ピーター・ティール = 著)より
    7. 実例7(パターン3):The Art of Money Getting; Or, Golden Rules for Making Money (1880)(邦題『富を築く技術:稼ぐための黄金のルール20 』 P・T・バーナム = 著)より
    8. 実例8(パターン3):Steve Jobs and the NeXT Big Thing (1993)(邦題『スティーブ・ジョブズの道』、ランドール・ストロス著)より
    9. 実例9(パターン3):HANDS OF STONE: The Life and Legend of Roberto Duran (2006)(邦題『ロベルト・デュラン 石の拳一代記』、クリスチャン・ジューディージェイ = 著)より
    10. 実例10(パターン3):Barca: The Making of the Greatest Team in the World (2012)(邦題『FCバルセロナの語られざる内幕 サッカー史上最強クラブはこうして誕生した』、グレアム・ハンター = 著)より
    11. 実例11(パターン3):A Storm of Swords (2000)(邦題『氷と炎の歌3 剣嵐の大地』、ジョージ・R・R・マーティン = 著)より
    12. 実例12(パターン3):Not a Penny More, Not a Penny Less (1976)(邦題『百万ドルをとり返せ! 』、ジェフリー・アーチャー = 著)より
    13. 実例13(パターン3):Hyperion (1989)(邦題『ハイペリオン』、ダン・シモンズ = 著)より
  7. born with a silver spoon in one’s mouthのまとめ

born with a silver spoon in one’s mouthの意味と由来

直訳すると、「銀のスプーンを口にくわえて生まれる」となります。

一説には、昔、ヨーロッパではgodfather(名付け親)がgodchild(名付け子)に純銀製のスプーンをプレゼントするという習慣があり、こういったプレゼントは裕福な家にしかできないことから、銀のスプーンが裕福さの象徴となり、この表現が生まれたとされています。

日本語では、「裕福な家に生まれる」、「富貴の生まれである」などと訳されます。

born with a silver spoon in one’s mouthの英語による定義

born into a privileged or rich family

洋書におけるborn with a silver spoon in one’s mouthの出現頻度

A[中頻度:高めの頻度で洋書に出てくる準必須の英語表現]
(AAA[超頻出]、AA[高頻度]、A[中頻度]、B[低頻度]、C[まれ]の5段階で評価)

born with a silver spoon in one’s mouthの年代分布

1880年 – 2016年*
(*当ブログで調査した1813年以降の洋書約1000冊のなかで、当該英語表現の使用が確認された洋書の発行年の範囲)

当ブログで調査した1813年以降に発行された約1000冊の洋書のなかで、当該表現の使用が確認された最も古い洋書は、1880年発行の『The Art of Money Getting; Or, Golden Rules for Making Money(邦題:富を築く技術:稼ぐための黄金のルール20、P・T・バーナム = 著)』で、最も新しい洋書は2016年発行の『Ego Is the Enemy(邦題:エゴを抑える技術、ライアン・ホリデイ = 著)』でした。

1800年代から現在に至るまで、幅広く使用されている定番表現ですが、古めかしさを感じる表現ではあります。そのため、わざと古めかしさを出すために使ってみたり、冗談半分で「mouth」を体の他の部分に変えて使用したりすることが多いように思います。こういった「もじりパターン」も後で紹介しますので、その雰囲気を味わってみて下さい。

born with a silver spoon in one’s mouthの出現パターン

born with a silver spoon in one’s mouthの出現パターンは主に以下の3つに分類することができます。

パターン1:born with a silver spoon in one’s mouth(基本型)
パターン2:born with a silver spoonなど、表現の一部を省略する「省略型」
パターン3: born with a “platinum spoon” in one’s mouthなどの「もじり型」

1つ目はこの表現を省略せずにフルに使うものです(パターン1、基本型)。

パターン1:born with a silver spoon in one’s mouth(基本型)

例文3-1)
His future is guaranteed and he doesn’t need to work hard, because he was born with a silver spoon in his mouth.
(彼は将来が保証されていて、一生懸命働く必要がない。なぜなら、彼は裕福な家に生まれたからだ。)

のように使用します。

2つ目は、表現の一部を省略して使用するパターンです。

パターン2:born with a silver spoonなど、表現の一部を省略する「省略型」

例文3-2)
Toyotomi Hideyoshi, one of the three “Great Unifier” of Japan, came from a peasant background, with no silver spoon.
(日本で天下統一を果たした3人のうちの1人である豊臣秀吉は、小作農の出身で、上流階級の生まれではない。)

3つ目は、「born with a “platinum spoon” in one’s mouth」のように表現の一部を他の表現に変えるものです。この「もじり型」については、このあとの「洋書内の実例」の中で紹介します。

洋書内の実例

まずは基本型のパターン1から紹介します。

パターン1:born with a silver spoon in one’s mouth(基本型)

実例1(パターン1):FIRE ON ICE: THE EXCLUSIVE INSIDE STORY OF TONYA HARDING (1994)(邦題『氷の炎 — トーニャ・ハーディング』、アビー・ヘイト& J・E・ヴェイダー、オレゴニアン新聞社スタッフ = 著)より

“My skating is me and what I like to do and what I want to do,” she said. “It really doesn’t matter whether I had a blue-collar background or whether I was born with a silver spoon in my mouth. My skating is happy. My life is happy.”
「スケートはわたし自身であり、わたしは自分の好きなこと、やりたいことをやっているだけ」と彼女は語った。「ブルーカラーの家に生まれようが、銀のスプーンをくわえて生まれてこようが、そんなことはどうでもいいの。滑っていれば、わたしは幸せ。わたしの人生は幸福そのものよ」

引用元:
(英語原著)FIRE ON ICE: THE EXCLUSIVE INSIDE STORY OF TONYA HARDING (1994) by Abby Haight and J. E. Vader, and the staff of The Oregonian; 5 The Hard Luck Club
(日本語版)『氷の炎 — トーニャ・ハーディング』(アビー・ヘイト& J・E・ヴェイダー、オレゴニアン新聞社スタッフ = 著、早川麻百合 = 訳)、近代文藝社(1994/4);第5章(不安(フアン)クラブ)より引用

トーニャ・ハーディングは、アメリカの元フィギュアスケート選手。1994年リレハンメルオリンピックのアメリカ代表選手となるため、元夫や元夫の旧友らと共謀して、代表選考会となる全米選手権の会場でライバルのナンシー・ケリガンを襲撃するという前代未聞の事件を起こしました。このいわゆる「ナンシー・ケリガン襲撃事件」は、当時日本でも大きな話題となり、連日ワイドショーで放送されましたのでご存じの方も多いと思います。その「ナンシー・ケリガン襲撃事件」について詳細に記載したのがこの『FIRE ON ICE(邦題:氷の炎)』という本です。

ハーディングはこの全米選手権で優勝し(ケリガンは負傷のため棄権)、リレハンメルオリンピックにアメリカの女子シングルス代表として出場しましたが8位入賞に終わりました(一方、特例で出場したケリガンは銀メダルを獲得)。

その後、ハーディングはオリンピック後に罪を認めることで懲役刑を免れ、1998年にはアメリカのテレビ番組でケリガンと再会し、本人に直接謝罪しています。

実例2(パターン1):Hero (The Secret) (2013)(邦題『ヒーロー:The Secret』、ロンダ・バーン = 著)より

By realizing your dreams, you will realize the greatness in you. Greatness is not being born with a silver spoon in your mouth. Following your dreams and realizing the hero within you is greatness.
夢を実現することによって、あなたは自分のすばらしさに気付きます。すばらしさとは裕福な家系に生まれることを意味しません。夢を追い求め、自己の内に潜むヒーローを実現することこそが、そのすばらしさなのです。

引用元:
(英語原著)Hero (The Secret) (2013) by Rhonda Byrne; Part One (THE DREAM)
(日本語版)『ヒーロー:The Secret』(ロンダ・バーン = 著、山川紘矢、山川亜希子、佐野美代子 = 訳)、KADOKAWA(2015/2);第一部(夢)より引用

世界的ベストセラーとなったロンダ・バーンの『ザ・シークレット(The Secret)』シリーズの中の1冊『Hero』からの引用です。ここでは、「born with a silver spoon in one’s mouth」が「裕福な家系に生まれる」と訳されています。

実例3(パターン1):Ego Is the Enemy (2016)(邦題『エゴを抑える技術』 ライアン・ホリデイ = 著)より

For someone born with a silver spoon in her mouth, the first decade and a half was what you’d call a baptism of fire. Graham faced difficulty after difficulty, difficulties that she wasn’t really equipped to handle, or so it seemed.
裕福な家に生まれ育った彼女にとって、最初の一五年ほどはまさしく試練といえるものだった。実際、苦難に次ぐ苦難に直面した。対処の仕方が分からない、少なくともキャサリンにはそう感じる苦難ばかり。

引用元:
(英語原著)Ego Is the Enemy (2016) by Ryan Holiday; PART III: FAILURE
(日本語版)『エゴを抑える技術』(ライアン・ホリデイ = 著、金井啓太 = 訳)、パンローリング(2016/12);Part 3(失敗)より引用。Kindle Unlimited会員は¥0で読めます(2020/6/9確認)。(Kindle Unlimited 無料体験
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株式市場で莫大な富を築いた父ユージン・マイヤーと美しく聡明な母との間に生まれたキャサリン・グラハムは、何不自由ない暮らしを送っていました。しかし、父が1933年に買収していたワシントンポスト紙を受け継ぐことになってから、キャサリンの気ままな人生は大きく変化し始めます。

当初、ワシントンポスト紙の経営は、夫に委ねていたのですが、その夫に奇行が目立ちはじめ、最終的に夫はキャサリンが寝ている間に猟銃で自殺してしまいます。

そして、1963年、三児の母親であった当時46歳のキャサリン・グラハムは、それまで仕事の経験などなかったにも関わらず、突然、社員数千人の大企業であるワシントンポストカンパニーの経営を指揮することになったのです。

というくだりで出てくるのが上の引用文で、その中に出てくる「裕福な家に生まれ育った彼女」というのがそのキャサリン・グラハム(Katharine Graham)です。

この文章に出てくる「baptism of fire」は「厳しい試練」という意味で、特に未経験の者や経験の浅い人が直面する試練(洗礼)を指す表現です。baptism自体が宗教上の「洗礼(の儀式)」の意味です。

実例4(パターン1):Whose Body? (1923)(邦題『ピーター卿乗り出す』 ドロシー・セイヤーズ = 著)より

That’s often the case with these men as are born with a silver spoon in their mouths,” said Mr. Graves. “Now, Sir Reuben, he’s never lost his good old-fashioned habits. Clothes folded up neat, boots put out in his dressing-room, so as a man could get them in the morning, everything made easy.”
いい家に生れた方は、しばしばそうなさるものです」グレーブス氏はそういうと「その点、サー・ルーベンは、旧式ですが、よい習慣をおもちでした。服は上手に始末されましたし、靴は更衣室の外においてあり、私どもはお蔭で大変助かりました」

引用元:
(英語原著)Whose Body? (1923) by Dorothy L. Sayers; Chapter IV
(日本語版)『ピーター卿乗り出す』(ドロシー・セイヤーズ = 著、小山内 徹 = 訳)、グーテンベルク21(2006/9);第四章より引用。Kindle Unlimited会員は¥0で読めます(2020/6/9確認)。(Kindle Unlimited 無料体験
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次は、表現の一部を省略して使うパターン2を紹介します。

パターン2:born with a silver spoonなど、表現の一部を省略する「省略型」

実例5(パターン2):Pour Your Heart Into It: How Starbucks Built a Company One Cup at a Time (1997)(邦題『スターバックス成功物語』 、ハワード・シュルツ&ドリー・ジョーンズ・ヤング = 著)より

I come from common roots, with no silver spoon, no pedigree, no early mentors. I dared to dream big dreams, and then I willed them to happen. I’m convinced that most people can achieve their dreams and beyond if they have the determination to keep trying.
私は庶民階級の出身だ。貴族でも名門の生まれでもない。家庭教師など無縁だった。私はあえて大きな夢を抱いた。そして、その夢の実現に挑戦したのだ。強い決意で夢に向かって挑戦しつづけさえすれば、だれでも自分の夢を実現し、さらに飛躍できる。私は、そう確信している。

引用元:
(英語原著)Pour Your Heart Into It: How Starbucks Built a Company One Cup at a Time (1997) by Howard Schultz with Dori Jones Yang; Prologue
(日本語版)『スターバックス成功物語』(ハワード・シュルツ&ドリー・ジョーンズ・ヤング = 著、小幡照雄、大川修二訳 = 訳)、日経BP(1998/4/23);プロローグより引用
(英語原著-Audible版)Audible版 – 要約版一冊無料!Audible無料体験)、サンプル聴けます

上の引用文内の「私」とは、皆さんご存じのコーヒーショップチェーン「Starbucks」を世界的な大企業に育て上げ、一時はアメリカ大統領選挙への出馬も噂されていたハワード・シュルツ(Howard Shultz)氏のことです。

そのハワード・シュルツ氏は、この本のプロローグの中で、「スターバックスの物語が二〇章で完結するとすれば、まだせいぜい三章ぐらい」で本を書くには早すぎると述べているのですが、伝えたいことがあって本を書くことにしたと言います。その伝えたいことの1つを表現したのがこの文章で、「born with a silver spoon in one’s mouth」を大幅に省略して「貴族の生まれでない」ことを「with no silver spoon」と表現しています。

実例6(パターン2):ZERO to ONE (2014)(邦題『ゼロ・トゥ・ワン:君はゼロから何を生み出せるか』 ピーター・ティール = 著)より

Did Bill Gates simply win the intelligence lottery? Was Sheryl Sandberg born with a silver spoon, or did she “lean in”? When we debate historical questions like these, luck is in the past tense.
ビル・ゲイツは単に知性の宝クジを当てただけだろうか? シェリル・サンドバーグは銀のスプーンをくわえて生まれたのだろうか、それとも「リーン・イン」に努めたのだろうか? こうした議論での「幸運」は過去形だ。

引用元:
(英語原著)ZERO to ONE (2014) by Peter Thiel with Blake Masters; 6. YOU ARE NOT A LOTTERY TICKET
(日本語版)『ゼロ・トゥ・ワン:君はゼロから何を生み出せるか』(ピーター・ティール、ブレイク・マスターズ = 著、関 美和 = 訳)、NHK出版(2014/9);第6章(人生は宝クジじゃない)より引用
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PayPalの創業者であるPeter Thiel(ピーター・ティール)氏の著書『ZERO to ONE』からの引用です。ティール氏は、この本の第6章で「成功は運か実力かという問題」を取り扱っています。成功した人の多くは、後から振り返って実力よりも、運やタイミングの方が重要だったという主旨のことを語っているのですが、ティール氏はそれに疑問を投げかけています。その疑問を表現したのが上の文章です。

この文章では、「born with a silver spoon in one’s mouth」の「in one’s mouth」が省略されています。

次は、「もじり型」のパターン3です。

パターン3: born with a “platinum spoon” in one’s mouthなどの「もじり型」

実例7(パターン3):The Art of Money Getting; Or, Golden Rules for Making Money (1880)(邦題『富を築く技術:稼ぐための黄金のルール20 』 P・T・バーナム = 著)より

For instance, a rich man at his decease, leaves a large estate to his family. His eldest sons, who have helped him earn his fortune, know by experience the value of money; and they take their inheritance and add to it. The separate portions of the young children are placed at interest, and the little fellows are patted on the head, and told a dozen times a day, “you are rich; you will never have to work, you can always have whatever you wish, for you were born with a golden spoon in your mouth.”
ある金持ちが、自らの死に際して、家族にたくさんの財産を遺したとしよう。年上の兄弟たちは父が財産を築くのを手伝ってきたので、お金のありがたみを知っており、 継いだ父の財産をさらに増やすことができる。 一方、 年若の兄弟たちは、自分たちの取り分を銀行に預けられ、毎日頭をなでられては、こうささやきかけられる。
「お前は金持ちだから、将来働く必要はないし、望むものは何でも手に入る。金持ちの家に生まれたことを感謝しなさい」

引用元:
(英語原著)The Art of Money Getting; Or, Golden Rules for Making Money (1880) by P. T. Barnum; Don’t get above your busines
(日本語版)『富を築く技術:稼ぐための黄金のルール20』(P・T・バーナム = 著、関岡孝平 = 訳)、パンローリング(2014/1);ルール8(ないものねだりをするな)より引用。Kindle Unlimited会員は¥0で読めます(2020/6/9確認)。(Kindle Unlimited 無料体験
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この文では、「silver spoon」の替わりに「golden spoon」が使用されています。「silver spoon」よりも高価な「golden spoon」を使用することで、特別金持ちであることを表現しているのだろうと考えられます。

実例8(パターン3):Steve Jobs and the NeXT Big Thing (1993)(邦題『スティーブ・ジョブズの道』、ランドール・ストロス著)より

Despite a background in which, he joked, he had been born with a “platinum spoon” in his mouth, he gloried in being cheap.
彼が冗談で言った“プラチナのスプーン”をくわえて生まれてきたというバックグラウンドにもかかわらず、彼は金をかけないことを得意げに語った。

引用元:
(英語原著)Steve Jobs and the NeXT Big Thing (1993) by Randall E. Stross; Chapter 6 Sundry Competition. Kindle Unlimited会員の方は¥0で読めます(2020/6/9確認)。(Kindle Unlimited 無料体験
(日本語版)『スティーブ・ジョブズの道』(ランドール・ストロス = 著、斉藤弘毅/エーアイ出版編集部 = 訳)、エーアイ出版(1995/1);第六章(さまざまな競争者)より引用

この文章の主語である「彼」はスティーブ・ジョブズではなく、米サン・マイクロシステムズ社の共同設立者の一人であるスコット・マクニーリー(Scott McNealy)を指しています。

1985年、アップルへの復讐を胸にネクストコンピュータ社を設立したスティーブ・ジョブズはネクスト社のロゴ作成を米国デザイン界の巨匠ポール・ランドに10万ドルで依頼したのに対し、サン・マイクロシステムズ社のマクニーリーは自社のロゴ作成を美大の学生に依頼して3000ドルで済ませたといいます。そうしたネクストとサンの正反対の金の使い方について記載しているくだりで出てくるのが上の文章で、「silver spoon」の替わりに「platinum spoon」が使われています。

ちなみに、今はプラチナ(白金)よりも金の方が価値が高いのですが、歴史的には金よりもプラチナ(白金)の方が希少性が高くて高価だったそうです。いずれにしろ、プラチナは銀より高価なので、この文章も、そこらへんにいるような金持ちではなく、特別な金持ちの家に生まれた、と冗談を言っていると考えられます。

実例9(パターン3):HANDS OF STONE: The Life and Legend of Roberto Duran (2006)(邦題『ロベルト・デュラン 石の拳一代記』、クリスチャン・ジューディージェイ = 著)より

Duran reviled the kid who grew up with a “golden spoon” in his mouth. He saw Leonard as the product of a privileged childhood.
デュランは「黄金のスプーンで食事をすくってもらうように」甘やかされて育つ子供たちに、少年時代から我慢がならなかった。彼の目にはレナードも、特権を受けて頂点に辿り着いた作り物に映った。

引用元:
(英語原著)HANDS OF STONE: The Life and Legend of Roberto Duran (2006) by Christian Giudice; 13. El Macho
(日本語版)『ロベルト・デュラン 石の拳一代記』(クリスチャン・ジューディージェイ =著、杉浦大介 =訳)、白夜書房(2013/3);第13章(マッチョ)より引用
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この文章では、「silver」が「golden」となり、「born」が「grow up」となっていて原形からかなり変化していますが、「born with a silver spoon in one’s mouth」を意識したもじり表現であると考えられます。

「デュラン」は、「石の拳」の愛称で知られるパナマ人プロボクサー、ロベルト・デュラン(Roberto Duran)のこと。1980年にWBC世界ウェルター級王者のシュガー・レイ・レナードを破って2階級制覇を達成し、1973年にはライト級王座の3度目の防衛戦で日本のガッツ石松と対戦し、石松から計5度のダウンを奪ってTKO勝ちしています。

ちなみに、この本の第8章ではガッツ石松さんが次のように紹介されています(下記英文のSuzukiとはガッツ石松の本名である鈴木有二のこと)。

Suzuki, a flamboyant personality with more courage than skill, was an attention-lover who later became a comedian and actor (Black Rain, Empire Of The Sun) and was noted for unintentionally humorous comments, such as, “My life has turned three hundred and eighty degrees because of boxing,” and, “I know the human being and the fish can coexist peacefully.”
派手好きな性格でスキルよりも勇気が目立つタイプの石松は、後に俳優やコメディアンとして活躍するほどの目立ちたがり屋。無意識に発する「ボクシングのおかげで俺の人生は380度変わった」「人間と魚は仲よく共存できる」といったようなユーモラスなコメントでも人気を博した。

実例10(パターン3):Barca: The Making of the Greatest Team in the World (2012)(邦題『FCバルセロナの語られざる内幕 サッカー史上最強クラブはこうして誕生した』、グレアム・ハンター = 著)より

Amador Bernabeu made Pique a socio (club member) the day he was born and the boy with the silver spoon in his boots grew up with the Camp Nou as a second home.
アマドル・ベルナベウはピケが生まれたその日に、孫をソシオ (クラブ会員)にした。裕福な家に生まれたその少年はサッカーシューズをはき、カンプ・ノウを第二の家として育った。

引用元:
(英語原著)Barca: The Making of the Greatest Team in the World (2012) by Graham Hunter; 8 – THE ODD COUPLE
(日本語版)『FCバルセロナの語られざる内幕 サッカー史上最強クラブはこうして誕生した』(グレアム・ハンター = 著、松宮寿美 = 訳)、SBクリエイティブ(2012/11);第8章(ピケとプジョール、サッカー界のおかしな2人)より引用
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この文章では、「ピケ」がサッカー選手であることから、「mouth」が「boots」にもじられています。

「ピケ」とは、スペインのバルセロナ出身で、本記事の執筆時点(2020年6月時点)でスペインのFCバルセロナに所属しているジェラール・ピケ選手のことです。また、「アマドル・ベルナベウ」は、ジェラール・ピケ選手の祖父で、FCバルセロナの副会長だった方です。このようにサッカー選手として恵まれた環境で育ったことから、「with the silver spoon in his boots」と表現されています。「カンプ・ノウ」はFCバルセロナのホームスタジアム。

実例11(パターン3):A Storm of Swords (2000)(邦題『氷と炎の歌3 剣嵐の大地』、ジョージ・R・R・マーティン = 著)より

As to your father, would that I’d been born a peasant woman with a big wooden spoon, I might have been able to beat some sense into his fat head.”
おまえの父親についていえば、私は木の大さじを持って生まれてきた農家の女だったらよかったと思うわ。そうすれば、かれの大きな頭にいくらかの常識をたたきこむことができたでしょうからね」

引用元:
(英語原著)A Storm of Swords (BOOK THREE OF A SONG OF ICE AND FIRE) (2000) by George R. R. Martin; 6 – SANSA
(日本語版)『氷と炎の歌3 剣嵐の大地(1・2・3)』(ジョージ・R・R・マーティン = 著、岡部宏之 = 訳)、早川書房(2006/11-2007/1);第1巻(6 – サンサ)より引用
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これまでは「silver spoon」よりも高価な「golden spoon」や「platinum spoon」を紹介してきましたが、この文章では「silver spoon」よりも安価な「wooden spoon」が登場しています。このように「silver spoon」の替わりに「wooden spoon」を使用することで「農家の生まれ」を強調しています。

実例12(パターン3):Not a Penny More, Not a Penny Less (1976)(邦題『百万ドルをとり返せ! 』、ジェフリー・アーチャー = 著)より

Between you, you lost approximately one million dollars. The others were a Harley Street doctor, Adrian Tryner, a London art dealer called Jean Pierre Lamanns, and a farmer, who I feel the sorriest of all for, really. He mortgaged his farm to put up the money, as far as I can gather. Titled young man: Viscount Brigsley. Metcalfe’s snatched the silver spoon out of his mouth all right.”
騙しとられた金額は四人合わせておよそ百万ドルです。ほかの三人は、エイドリアン・トライナーというハーレー・ストリートの医者、ジャン=ピエール・ラマンというロンドンの画商、そしてある農場経営者、いちばん気の毒なのがこの人です。わたしの推測では、この人は農場を担保にして借りた金を失くしているんですよ。ブリグズリーという若い貴族です。メトカーフは彼の口から銀の匙をひっさらっていったわけですな

引用元:
(英語原著)Not a Penny More, Not a Penny Less (1976) by Jeffrey Archer; Chapter 4
(日本語版)『百万ドルをとり返せ!』(ジェフリー・アーチャー = 著、永井淳 = 訳)、新潮社(1977/8);第4章より引用
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ここでは、貴族から大金をだまし取ったことを、「snatched the silver spoon out of his mouth(彼の口から銀の匙をひっさらっていった)」と表現しています。

最後にもう一つ「もじりパターン」を紹介しておきます。

実例13(パターン3):Hyperion (1989)(邦題『ハイペリオン』、ダン・シモンズ = 著)より

You might already be able to tell that I was born with a silver spoon up my ass.
小生が富貴の生まれであることは、以上の話からもう見当がついていよう。

引用元:
(英語原著)Hyperion (1989) by Dan Simmons; Chapter Three
(日本語版)『ハイペリオン』(ダン・シモンズ = 著、酒井昭伸 = 訳)、早川書房(1994/12);第三章(詩人の物語:『ハイペリオンの歌』)より引用
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この文章では、「mouth」の替わりに「ass」が用いられています。assは「お尻」の下品な言い方で、日本語の「ケツ」に近いニュアンスを持ちます。

以上、みてきたようにこの「born with a silver spoon in one’s mouth」という表現はそのままの形で使われるよりも、省略して使ったり、もじって使う方が多いことがお分かり頂けたかと思います。

born with a silver spoon in one’s mouthのまとめ

それでは、最後に以上の内容をまとめておきます。

born with a silver spoon in one’s mouth

  • 由来:ヨーロッパではgodfather(名付け親)がgodchild(名付け子)に純銀製のスプーンをプレゼントするという習慣があり、こういったプレゼントは裕福な家にしかできないことから。
  • 意味:裕福な家に生まれる、富貴の生まれである
  • 英語による定義:born into a privileged or rich family
  • 出現頻度:A[中頻度:高めの頻度で洋書に出てくる準必須の英語表現]
  • 出現パターン
    パターン1:born with a silver spoon in one’s mouth(基本型)
    パターン2:born with a silver spoonなど、表現の一部を省略する「省略型」
    パターン3: born with a “platinum spoon” in one’s mouthなどの「もじり型」
  • 例文
    His future is guaranteed and he doesn’t need to work hard, because he was born with a silver spoon in his mouth.
    (彼は将来が保証されていて、一生懸命働く必要がない。なぜなら、彼は裕福な家に生まれたからだ。)
    Toyotomi Hideyoshi, one of the three “Great Unifier” of Japan, came from a peasant background, with no silver spoon.
    (日本で天下統一を果たした3人のうちの1人である豊臣秀吉は、小作農の出身で、上流階級の生まれではない。)

今回は、以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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